コロナも関係が?女性の薄毛の原因について医師に聞きました
美人百花デジタル / 2022年3月8日 20時15分
「薄毛」と聞くと、高齢者が悩むものと思っていませんか? 近年、20〜30代の女性でも薄毛で悩んでいるケースが増えていると言われています。今回は、薄毛についてのあれこれを「逗子メディスタイルクリニック」院長の徳永理恵先生に質問しました。
薄毛になる原因を教えてください
まず「薄毛」とは毛髪数の減少、毛が細くなる、短い毛が増加する、伸びが遅くなるという4つの現象を指します。女性の薄毛の原因はさまざまです。ホルモンバランス、ストレス、加齢、外力、喫煙、薬剤性、アレルギー性疾患など多岐にわたり、ジヒドロテストステロンというホルモンが原因となる男性のAGA(男性型脱毛症)に比べると原因を一つに特定することは難しいのですが、昨今注目されているのは“亜鉛欠乏症”です。
近年、亜鉛欠乏症に対する治療薬が保険適応になったことで積極的に検査するようになった結果、亜鉛や鉄を始めとしたミネラル分のアンバランスが薄毛(女性)の原因の多くを占めていることが分かりました。また、新型コロナなど体に大きく影響する感染症や急な激しいダイエット、あるいは出産の後しばらくしてヘアサイクルが乱れたために起こる“休止期脱毛”なども本来健康であるはずの20~40代くらいの女性の急な薄毛の原因の一つです。
特にもともと猫っ毛だったという人は、体調の変化による髪の毛の影響が出やすいので、気を付ける必要があります。年齢の影響も大きく、30代をピークに毛髪の数は減少すると言われています。毎日のケアやヘアスタイルなどで、知らず知らずに髪の毛にストレスをかけていることもあります。
医療治療とサロン治療のメリット・デメリットをそれぞれ教えてください
医療治療では血液検査などを駆使し、原因を調べ診断することができます。少しずつでも薄毛が進行していたり、人から指摘を受けるような場合はすぐに医療治療をうけた方がいいでしょう。実は疾患が隠れていたということになればその治療が最優先となります。薄毛治療を熱心に行っている病院やクリニックでは内服薬や外用薬、注射など、その方の体調や生活習慣、常用薬に合わせていろいろな治療が選べますし、少なからず効果が実感できると思います。医療機関だからこそ、ただ塗るだけでは十分な量と濃度を入れ込むことのできない薬剤などを注射などでしっかり毛包(もうほう)に届かせることができます。
サロン治療はまださほど薄毛に悩んでいるわけではないけれど、薄毛の予防をしたい、正しいケアの仕方を知りたい方に向いています。歯のクリーニングを歯医者さんで行うように、普段の正しい洗髪やヘアケアを知り、なおかつプロのケアをうけることは理にかなっています。また、頭皮の乾燥や、過剰な皮脂分泌に悩まれている方も、サロン治療を試されるとよいと思います。ただし、サロン治療は基本的に一時的なものになります。定期的に受け続けなければならない、などのデメリットもあることを頭に入れておきましょう。
市販で売っているスカルプケアは薄毛に効きますか?
その方の薄毛の原因に対応するスカルプケア製品であれば薄毛を回避できる可能性はあります。医薬部外品の育毛剤であれば、血行を良くする成分や発毛を促す成分が配合されていることがあります。ただし、医療治療で使う薬よりも濃度は低いと思われます。頭皮環境が整っていることは薄毛回避のために最低限必要なことですから、頭皮の状態によって、育毛剤やスカルプケアローションなどの種類を選ばれると良いかもしれません。
医療用よりも弱いエネルギーではありますが、発毛促進のために赤色LEDなどを使った製品もあるようです。また、低い温度のドライヤーや当たりの柔らかいブラシなど、脱毛の原因を“作らない”ようにする製品や、髪が育っていくために必要となる栄養の補助となるサプリメントを使うことは推奨できます。ただし、原因に対応しているケア製品でなければ効果はありませんし、また複数の原因が絡み合っている場合、いくつかのケア製品を使う必要があります。
おうちでできる薄毛対策を教えてください
実は頭皮マッサージなどは薄毛対策として逆効果になることが多いです。血行を促進したり、保湿になる成分の育毛剤をつける際にもゴシゴシ擦りこむことは避け、頭皮を優しく扱うことが重要です。どうしても頭皮マッサージを行いたい場合は指圧をするように、指を垂直に当てて離すを繰り返すようにしましょう。決してズリズリ音が出るほど動かし、毛包を傷めるような力をかけてはいけません。
頭皮の血行を良くするためのマッサージは、頭皮に直接行うよりも耳を動かすマッサージが有効です。耳の近くには頭皮へ向かう重要な血管や、頭皮から戻ってくるリンパ管が多く集まっています。上中下の3か所ぐらいに分けて耳をつまみながら、引っ張りすぎないようにゆっくりと円を描くように動かすことで周囲の筋膜のストレッチと共に、血行の促進と頭皮のむくみ予防になります。首を皮膚にしわが寄らないくらい軽いタッチで上から下に向けてさすることで頭皮も含め、頭頚部全体のむくみが改善され血行がよくなりますよ。
教えてくれたのは
逗子メディスタイルクリニック院長 徳永理恵先生
国立東京医科歯科大学医学部を卒業後、同大学形成外科所属。横須賀市立市民病院では美容レーザー外来の立ち上げを行う。
都内美容皮膚科勤務を経て、「医療の力でQOLを上げる」をコンセプトに、2010年逗子メディスタイルクリニックを歯科医の夫と開院。その人本来の美しさをナチュラルに引き出す「美肌プログラム」を提供するとともに、自然・健康・美容のまち“逗子葉山”で、生活の一部としての美容医療を啓蒙している。3人男子の育児にも奮闘中。
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