医師に聞いた！ヘルニアになりやすい人とは？

あなたは、腰痛に悩まされた経験はありませんか？　腰痛と聞くと、「ヘルニア」を思い浮かべる方が大半だと思います。今回は、医療法人藍整会「なか整形外科」の樋口直彦先生に、ヘルニアの症状について伺いました。

ヘルニアの症状を教えてください

国民生活基礎調査によると、身体の悩みのトップの座を占めているのが腰痛です。そのため「腰椎椎間板ヘルニア」と言えば多くの人が知っている病名だと思います。腰椎椎間板ヘルニアは腰の痛みにはじまって、足のしびれと痛みが出てきます。足腰に激痛（坐骨神経痛）、激痛で動けない、それが腰椎椎間板ヘルニアです。足の痛み、しびれは片足のみの場合が多いです。重度の場合は排尿がうまくできなくなることがあり、その場合は緊急手術が必要になることがあります。特徴として、前かがみになったり、座ったりすると腰や足の痛みが強まることが多いです。ソファに座っていられない、椅子に座るのが怖い、靴下を履くときに痛い、あぐらをかけないなど、そういう症状がある場合は、腰椎椎間板ヘルニアかもしれません。

20～30代の女性だと、どんな人がヘルニアになりやすいですか？

腰椎椎間板ヘルニアは背骨の間にあるクッションの役割の椎間板がへたり、後ろに飛び出すことでなります。ですので、この椎間板に負担がかかるとなりやすくなります。職業として、運輸・清掃・看護・介護の仕事をする人は腰椎椎間板ヘルニアの発生率が高くなります。想像するとわかると思いますが、腰（腰椎）に負担がかかる仕事がなりやすいということです。また、長時間座っていることが多い仕事、運転する仕事の方もなりやすいです。座っている姿勢は、一般の方が考えているより腰に負荷がかかっています。ですので、長時間同じ姿勢で座っていることもリスクになります。また、喫煙も椎間板への血流を阻害することから腰椎椎間板ヘルニアになりやすいことがわかっています。

ヘルニアになった時の対処法・治療法を教えてください

腰椎椎間板ヘルニアは激痛でとても困るのですが一般的に３ヵ月以内に自然に治ることがほとんどです。ですので、痛み止めで痛みを散らしながら、痛くないように生活することになります。椎間板に圧をかけないように前かがみの姿勢や急な動作、荷物の持ち運びは避けて過ごしましょう。また、激しい痛みの方には注射で神経ブロックを行うこともあります。排尿障害や麻痺が出て重い症状の方、仕事や家事などで長く安静にできなく、早く社会復帰したい場合、痛みが強く激しい場合は手術をすすめることがあります。また、予防は体幹の筋力、全身の柔軟性を維持しておくことが重要です。運動の習慣をもつことが大切で、ヨガやピラティスなどはおすすめです。

最新の治療法があれば教えてください

手術となった場合、近年では皮膚の切開が小さく身体への負担が少ない低侵襲の手術方法が増えています。例えば「顯微内視鏡下椎間板切除術（MED）」は、腰部を2㎝程切開し、内視鏡で手術を行います。「経皮的内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術（PEDまたはPELD）」は、約8mmと非常に小さな切開で手術を行えるため、短期間の入院で治療ができる手術方法です。「レーザー椎間板治療（PLDD）」は、局所麻酔で手術が可能とている医療施設もありますが、健康保険が適応されず、すべての椎間板ヘルニアに効果があるわけではないので、確認が必要です。

教えてくれたのは

医療法人藍整会「なか整形外科」 樋口直彦先生

帝京大学医学部卒業。その後数々の病院で勤務し、2021年1月に医療法人藍整会「なか整形外科」の理事長に就任。バレーボールVリーグのサントリーサンバーズのチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。Vリーグ サントリーサンバーズの選手の治療の経験を含めてスポーツ整形外科医として、患者さんの個々のケース、タイミングを共に考え最善の治療を行なっている。HPはこちらからチェック！