正しいデリケートゾーンのお手入れ方法とは？医師がアンサー！

なかなか人に話しづらいデリケートゾーンのお手入れ。ケア方法や注意点についてを「veary clinic（ヴェアリークリニック）」の井上裕章先生に伺いました。

デリケートゾーンの悩みの種類と、その原因を教えてください。

デリケートゾーンの悩みで多いものは、匂い・かゆみなど衛生面に関すること、黒ずみ・形など整容面に関すること、尿もれ・入浴時に水が入る・性交渉時のゆるみなど膣圧に関することなどがあります。

・匂いやかゆみの原因

女性ホルモンの減少による自浄作用の低下・感染症・汗・外陰部がきちんと洗えていないことなどがあげられます。膣内に侵入する雑菌や病原体がほとんど死滅するのは、膣内が通常、酸性に保たれているからです。これを膣の自浄作用と言いますが、女性ホルモンが低下すると、膣内は酸性の状態を維持しにくくなり、感染症を起こしやすくなります。また、外陰部の形状で衛生状態を保ちづらいという方もいらっしゃいました。

・黒ずみの原因

女性ホルモンの働きによる色素沈着や、きついショーツを常に履くなどの継続的な摩擦によるもの、皮膚がたるんでシワが黒っぽく見える、などがあげられます。ご相談としても多い小陰唇というひだ状の皮膚は、そもそも周囲より黒っぽいものなので、その色味が気になるという方もいらっしゃいます。

・膣圧に関する原因

膣圧は、骨盤底筋という膣を締める筋肉の力と、膣壁の弾力性や膣が狭いもしくは広いなどの構造上の要因によって決まってきます。年齢とともに筋力低下を起こしたり、女性ホルモンのバランスが崩れると膣壁が弾力性を失って萎縮することがあります。

デリケートゾーンのケア方法を教えてください。

とにかく清潔に保つことが重要です。ムレも気になってくる部位なので、風通しの良い下着などを着用できるときは着用すると良いでしょう。外陰部は、ひだ状の構造をしていたり、凹凸の多い形ということもあるので、洗いにくい部分もありますが、低刺激の石鹸で優しく洗ってください。さまざまな専用のソープも市販されていますので、自分の体にあったものを使用するのもおすすめです。また、膣内は、デーデルライン桿菌という常在菌が存在しており、これが膣内を守る役割を果たしています。膣の中を直接石鹸などで洗うと、この常在菌も殺してしまうことになるため、膣内を石鹸で洗うことは避けましょう。

膣圧に関しては、日々の筋力トレーニング（いわゆる膣トレ）が重要です。今現在特に症状のない場合も、日々の習慣にすることで予防効果も期待できるため、習慣化していくと良いと思います。このトレーニングには、特別な道具はいりません。膣を10秒間締め続けたら少し休むというのを10回繰り返します。これを1セットとして、1日3セット行うだけで数ヶ月もすると随分違ってきます。

デリケートゾーンのケア方法の注意点を教えてください。

洗いすぎや正しくない洗い方には注意しましょう。外陰部もデリケートな部位で、皮膚の薄さは目と同じくらいだと言われています。繊細な場所をゴシゴシこすることは、逆に皮膚症状の原因になります。顔を洗うときのように、泡をたっぷり用意し、そっと洗ってあげるといいですね。また、刺激の強い石鹸やボディソープはなるべく避けましょう。洗浄成分の強い石鹸やボディソープをもともと皮膚の薄いデリケートゾーンに使用すると、乾燥を悪化するためです。具体的にはアルコール分などがないものや少ないものが良いかもしれません。
そして、意外と落とし穴になっているのが、「ビデ」の使いすぎです。きれいになるからと頻繁に使用していると、膣内の常在菌も減らしてしまうので、臭いが強くなる可能性があります。他にもカンジダ外陰膣炎や細菌性膣炎を繰り返しやすくなるので、こうした病状で治療が多いなと感じる方は、洗いすぎには気をつけてください。道具のいらない膣トレについて紹介しましたが、膣トレのときに補助器具を使用する方もいらっしゃると思います。こうした道具を膣に挿入する際は、衛生面に気をつけましょう。不衛生な道具を使っていると膣炎の原因になってしまうことがあります。

デリケートゾーンの脱毛はした方がいいのでしょうか。

脱毛はした方が良いということはありませんが、ムレ、汗臭さや経血の臭いが気になる、などの場合には脱毛を検討しても良いと思います。おしゃれな下着を選べるようになった、生理中の不快感がなくなった、出産や介護に向けてやってみたというお声もよく聞きます。それ以外にも、毛がなくなったことでデリケートゾーンに保湿クリームなどが塗りやすくなり、ケアが楽になるというメリットもありますね。特に自己処理でカミソリなどを使用されていた方は、毛嚢炎や埋没毛が減ってきれいになったという感想もお聞きしました。
デメリットとしては、痛みや、お肌の弱い方だと、脱毛後の肌トラブルの可能性が挙げられます。陰毛には、外部から雑菌や病原体を防ぐ役割があるため、逆に不衛生なる可能性があるためです。こうしたトラブルが起こってから元に戻したくなった時に、脱毛が完了しているとなかなか戻すこと、すなわち、再度毛を生やすことは難しいということも知っておいた方が良いと思います。

また、デリケートゾーンの脱毛は、他の部位と比べると毛が濃いために時間やお金もかかります。メリットとデメリットを考慮して、自分にとってより良いと思った方を、自分をより好きになれる方を選択すると良いでしょう。

教えてくれたのは

出典: 美人百花.com

下半身専門美容クリニック「veary clinic（ヴェアリークリニック）」井上裕章先生

東京大学医学部卒業後、骨盤臓器の外科手術を専門としてがん治療に携わるなか、とある患者様との出会いをきっかけに医師としての価値観が大きく変化し、「癌は自分でなくても治療する医者はいくらでもいる。しかし、この下半身美容分野は自分にしかできない。」と美容医療の領域に踏み出す。その後、単身で韓国へと渡り、女性器形成分野の第一人者Dr.シムに師事することになる。女性器の外見だけでなく、腟内の形状までをも意のままに変化させる画期的な治療法を学び、技術を体得。