【俳優・山田裕貴さんインタビュー】理想は何もせず何も言わなくても、お互いが不安にならない関係性【いま彼】

レディたちが気になる「彼」の本音に迫る『#いま彼を知りたい』。今回は俳優・山田裕貴さんのインタビューの後半をお届けします。

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感情がプラマイゼロになって今はいちばん最強の状態

出典: 美人百花.com

――追求する人は他者への欲求も強い。現在公開中の映画「夜、鳥たちが啼く」で演じる小説家・慎一も愛する人に「自分をわかってほしい」と強く望み、それゆえ傷つけてしまうのだが、そういった破壊的な衝動も山田さんは理解できるとか。

 

「慎一が持っているのは『僕は愛しているし、あなたも同じ気持ちならわかってくれるよね』っていうエゴだと思うんです。『こんなオレでも受け止めて』っていう甘えを怒りで表現してしまう……。でもこういう人は相手と距離感があった方がいいかもしれないとも思います」

 

――では山田さんが思う理想の関係性とは？

 

「理想は何もせず何も言わなくても、お互いが不安にならない関係性かな。男女関係なく人間の習性だと思うのですが、親しくなってくると相手への要求が増えませんか？　感謝も忘れがちになるし。この間までこのラインでよかったのに、慣れてくるとそれじゃダメって満足してくれない、とかあったりしますよね。あと僕はすごくマイペースな部分があって、例えば休みの日は何か決めたことをするより、一緒にいられるだけでいい派なんです。でもそれだと『何もしたくないの？』とか『私に興味がない』というところまで勝手に想像されたりしちゃいそう(笑)。もちろん、そこで相手が不安になるようなら『そんなことない』って一生懸命説明しますよ。でもそれが続いたら、疲れてしまうかもしれない。そうならないためにはやっぱり近すぎない方がいいと思います」

出典: 美人百花.com

――その結論に至るのは、相手に対してどこまでも真剣に向き合っているから。とことん誠実なのだ。ではそんな山田さんはどんな人を「美しい」と感じるのだろう。例えば最近の〝あざと女子〞とかについては、どう思います？

 

「そもそも僕、何があざといのかわからないんです。なのですぐ引っかかりそう。嫌だな(笑)。そう考えるとね、やっぱり正直で裏表のない心のきれいな人がいい。人と接するときに計算せずにハートで動ける人は美人だなって思います。あと、質問が多くない人。『何してたの？』とか『何食べたの？』とか、コミュニケーションのひとつなんだろうけど、ちゃんと答えないと怒られそうな圧を出す人は苦手かも。これは『美人』の話ってよりは僕の願望ですけど(笑)」

 

――エネルギッシュで繊細、生真面目だけどチャーミング。たまに〝ぼやく〞顔も愛嬌があり、どこを切り取っても人としての色濃い魅力が溢れ出てくる人だ。ただ、最近は「感情が無になっている」とのこと。そのおかげで今は次のフェーズに突入しているらしい。

 

「昔は自分の中にガソリンがあって、常にエンジンを動かし続けている感覚がありました。でもちょっと走りまくりすぎたのかな。最近は感情がプラマイゼロになって何も感じない。気持ちを入れていると分量的に乗り切れないから、目の前にあることを無心にやり続ける。でもその〝無〞っていうのが今の自分にはすごくしっくりきている。もちろん一切手を抜くことはしないです。これってもしかしていちばん最強の状態なんじゃないかなって思います」

 

Profile

山田裕貴(やまだゆうき)

1990年9月18日生まれ。2011年俳優デビュー。以後、数々のドラマ、映画に出演する他、舞台でも活躍。今年はNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」出演も話題に。2023年には大河ドラマ「どうする家康」や「東京リベンジャーズ2」の公開が控えている。

 

Information

「夜、鳥たちが啼く」

出典: ©2022 クロックワークス

小説家デビューするもうまくいかず恋人にも去られ、鬱屈した日々を送る慎一。そんな彼の元に友人の元妻・裕子が幼い息子を連れて引っ越してくる。同じ敷地内の母屋と離れに住むという「半同居」をするうち2人の間にほのかな光が差していくのだが……。

出演:山田裕貴、松本まりか 他

監督:城定秀夫 脚本:高田亮

12月9日(金)新宿ピカデリー他、全国公開

 

掲載：美人百花2022年12月号「#いま彼を知りたい」

撮影/中村完(f-me) スタイリング/森田晃嘉 ヘアメイク/小林純子 取材・文/若若松正子 再構成/美人百花.com編集部