【女優・堀田真由さん】インタビュー「納得できないくらいならやりたくない。不器用なんだと思います(笑)」
美人百花デジタル / 2024年1月21日 20時30分
派手なタイプではないのに、どんな役を演じても心に残ってしまう人。そんな堀田さんは「自分自身を出すのは苦手」だと言う。でも、よく笑う朗らかな素顔、柔らかな語り口は一瞬で人を引き込む力があり、見るものを魅了するお芝居は本人の魅力なくしては生まれないと実感。女優・堀田真由が〝心に残る〟、その理由を改めて深掘りしてみました。
オンオフ切り替えのコツは速攻で家に帰ること
見た瞬間「淑女」という言葉がパッと浮かんだ。これまで取材した女優さん含め、誰かにそんな印象を持ったのは初めてかもしれない。同じ意味の「レディ」とはまた違う、もっとしっとりして、ちょっとクラシカル、そして芯の強いイメージ。実際、堀田さんは自らチャンスをつかんできた不屈の人でもある。
「私は滋賀出身で、小中の9年間ほとんど同じメンバーの中で過ごしてきたんですけど、中3のとき、新しい世界に踏み出したいなと。それこそ〝高校デビュー〟したいと思って、東京で映画のオーディションを受けたんです。でも、気合いが入りすぎて寒い季節なのに半袖で行ってしまって(笑)。しかも周りは華やかな人たちばかり。結果、落ちたんですけど、当時は、こんなきらびやかな世界で自分は生きていけないと思って滋賀に帰りました」
しかし、オーディションを見ていたスタッフが「絶対に戻ってくるべき」と堀田さんを説得。高1の夏に現事務所のオーディションを受けて合格し、デビューが決まった。
「もう地元の高校に通っていたので事務所の方が『上京は卒業後でもいい』と言ってくださったんですけど、『いや、明日にでも東京に行きます』って。当時は怖いものがなくて無敵でした(笑)。あと、うちは祖母もいきなりインドに行ったりする人で、後先考えずパッションで動く身内が多いんです。なので私が上京を決めたときも両親の反対はなくて『行くなら、二度と帰ってこられないぐらいになりなさい』って言ってくれたんですよ」
チャレンジ精神は堀田家のDNA?(笑) 上京後はオーディションに落ち続け挫折も経験するが、少しずつ壁を乗り越える術を身につけていく。
「オーディションに落ちるとショックですけど、やり切った感覚があると意外とマイナスにならないんです。やり切ったからこそ自分を責めることもなく、悔しさをバネにできる。逆に全力でやらない自分はすごく嫌で、作品が重なっても1作1作納得するまで集中したいし、納得できないくらいなら、やりたくない……。不器用なんだと思います(笑)」
とはいえ今年だけでもドラマ作品は8本、待機映画は3本と仕事量は尋常ではない。毎回、全力投球だとパンクするのでは?
「私はがんばろうとしなくても、全力でやってしまう。そこはもう変えられないんですね。だったらそれを楽しむと言いますか。ハードルを下げるんじゃなく、全力でやりつつ、少し肩の力を抜くようにしています。そうしたら最近は切り替えが早くなりまして。前は1個の作品に没頭すると、元に戻るまで時間がかかったんですが、今はありがたいことにすぐ次のお仕事があるので自然に元に戻れる。そのせいか変に力が入らなくなり、気持ち的にもバランスが取りやすくなりました」
日常的なオンオフの切り替えも以前よりスムーズになったとか。そのコツは?
「速攻で帰ることかな?(笑) ドラマ(テレビ朝日系『たとえあなたを忘れても』/2023年10〜12月放送)でも、撮影が終わった瞬間、衣装を脱ぎながら衣装部屋に向かって、着替えたら、すぐ帰るみたいな。家に着いたらすぐお風呂を入れて、お湯につかったら完全にオフ。寝る前とかも、昔は明日のこととか考えていましたけど、今は時間もないので『とりあえず寝よ』ってすぐ眠れるようになりました。きっと忙しい今のスタイルが私には合っているんでしょうね」
姿勢がいい人はそれだけで美しく自信があるように見える
意外だが「人前に立つのは恥ずかしい」という。女優さんなのに?と思わずツッコミを入れてしまったが、その性格が実は「演じる」原動力になっている。
「表舞台には立ちたいけど、〝堀田真由〟として私自身に目を向けられるのは苦手なんです。自分を消すというか我がないタイプなので、お芝居で自分じゃない誰かになっている方が殻を破れるんですね。だから、演じるときは自分と役を切り離してできるだけフラットになり、主観を入れない。セリフも、家では文字だけで覚えるようにして、ニュアンスや音の響き、強弱は現場で作るようにしています。そうやって、役として会話をしている方が楽しくて居心地がいい。そこは昔も今もずっと変わらないです」
まさに天性の役者体質。そして堀田さんの最新作は、1月26日公開の映画『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』。ゾンビアクションドラマとして話題になった人気シリーズのFINALで、堀田さんは新規キャストとして初参加している。
「有名なシリーズだったので、お話を聞いた時点で『あ、あの〝きみセカ〟ですか!』って、役をいただけたことがすごくうれしかったです。しかも、主演の竹内涼真さんが本当に主人公の響にしか見えない。座長として作品全体の士気を上げていきたいって、熱い魂が最初の本読みから伝わってきたというか。普通、本読みは顔合わせしつつ、全体のバランスを見る準備段階みたいな部分があるんですけど、この作品に関してはセリフを交わした瞬間、すでにアクションが始まっていまして。振り落とされないよう私も腹から声を出さないとついていけないなって。あの熱い本読みは忘れられません」
劇中も熱く、ときに辛いシーンも多いが、その中で堀田さん演じる看護師・葵は一服の清涼剤のような存在。でも、物語のキーパーソンとなる重要な役柄だ。
「私はユートピアという研究所の中にいるシーンが多いので、男性陣のキャストよりは、ミライ役(響の娘)の英茉ちゃんと一緒にいる時間が長くて。そこだけはホッとする空間で、英茉ちゃんはいつも撮影が終わると『大変よくできました』ってシールを貼ってくれるんです。大人になるとそんなことを言われることはあまりないから、癒されましたね」
先ほど「役と自分を切り離す」と言っていたけれど、今回、初めてお会いしたこちらの勝手なイメージだと、堀田さん自身と葵は近い気がする……。これって、合ってます?
「確かに、葵の意志が強いところや大切なものを守ろうとするところは似ているかもしれない。自分で言うのも何ですが、合っていると思います(笑)」
そんな堀田さんが思う美人の定義は「姿勢がいい人」。
「私はずっとバレエをやっていたので姿勢を意識することが多かったのですが、やっぱり姿勢のいい人は美しいなと。それだけで立ち振る舞いもいで立ちも自信があるように見えると思っているので、
私もがんばって姿勢を良くするようにしています」
それを聞いて「淑女」という言葉が浮かんだ理由がわかった。撮影中、立ち姿はもちろん、床に座ってもスッと無理なく伸びた姿勢は鍛え抜いた体幹の表れ。その品のある美しい佇まいが真の通った〝淑女感〟、堀田さんのまっすぐな心の背筋を映し出していたのだ。
ニット¥28,600、ワンピース¥121,000/ともにティート トウキョウ、リング[薬指]¥16,500/リフレクション(以上ザ・PR) イヤリング¥7,700、リング[人さし指]¥8,250/ともにソムニウム ネックレス¥48,000/ジェンマ アルス(GEMMA ALUS)
Profile
堀田真由(ほったまゆ)
1998年4月2日生まれ。2015年デビュー。今年は『大奥』の他、連ドラ初主演ドラマ『たとえあなたを忘れても』など話題作に数多く出演。映画『ある閉ざされた雪の山荘で』が公開予定。
Information
「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」
日本テレビ×Hulu共同製作の連続ドラマ「きみセカ」シリーズのFINAL。ゴーレムと呼ばれる化け物、そして、それに対抗するワクチンを開発する研究者と戦う主人公・響。大切な人を守るための最後のサバイバルが始まる。
出演:竹内涼真、高橋文哉、堀田真由 他
2024年1月26日(金)全国ロードショー
掲載:美人百花2024年1月号「幸福美女図鑑」
撮影/土山大輔(TRON) スタイリング/辻村真理 ヘアメイク/小笹博美 取材・文/若松正子 再構成/美人百花.com編集部
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