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【女優・清原果耶さん】 私につき合ってくれる人たちのためなら、自分の持っているすべてで向き合いたい

美人百花デジタル / 2024年5月17日 20時40分

【女優・清原果耶さん】 私につき合ってくれる人たちのためなら、自分の持っているすべてで向き合いたい

デビューから10年。若手実力派俳優として着実に爪痕を残してきた清原果耶さん。その軌跡を掘り下げ浮かび上がってきたのは、驚くほどまっすぐひたむきに生きる素顔。役を愛し、人を愛する尊い姿勢に、こちらの背筋もしゃんと伸びた気がしました。

「困難が多いほうがいい人生になる」って言われて。うれしくはなかったけど、腑に落ちました

ーー12歳のとき「アミューズオーディションフェス2014」で3万2214人の中から、グランプリに輝いた清原さん。実は当時、取材でその様子を会場で実際に観ていたのだが、後出しでも何でもなく、清原さんはひときわ輝いていた。同行者とも「あの子が選ばれるだろうね」と話していたのだが、選ばれるべくして選ばれた原石=ダイヤモンドの別格感があったのを覚えている。

 

「本当ですか? でもオーディションを受けたのは実は(アミューズ所属の)Perfumeさんに会いたかったからなんです。だから、選ばれた時は驚いてしまって、その顔が映像に残っていて恥ずかしいです(笑)」

 

ーー清原さんがお芝居に目覚めたのは、オーディションの翌年に出演したデビュー作、連続テレビ小説『あさが来た』だった。

 

「初めてドラマに参加させていただいたので、たくさんお叱りをいただきました。でも『難しいけどがんばろう』って稽古をつけてくださったスタッフさんや励ましてくださったキャストさんとの出会いがあって、大変だったけど楽しかった。私、ある時占いで『困難が多いほうがいい人生になる』って言われたことがあって、あまりうれしくはなかったんですけど(笑)、腑に落ちたというか。役をやっているときって悔しいとか悲しいとか寂しいって感情が、ぎゅーっと詰まっている感覚があるけど、そういう感情が湧けば湧いただけ、作品に向き合ってきたって思える。それが自分の誇りになっている気がします」

 

役の感情や記憶がよみがえって試写ではずっと泣いていました

ーーそんな清原さんの最新作は、日本と台湾を舞台にした映画『青春×2 君へと続く道』。演じるアミ役は、清原さんをイメージした藤井道人監督のアテ書きだ。

 

「自分はアミのように溌剌(はつらつ)としたタイプではないかもしれないと思っていたのですが、藤井監督の目に今私はこんなふうに映っているんだなって、ちょっと緊張しました。同時に、強くて可憐なこの少女をどう表現しようかなと。アミの感情を最大まで保っておかないとできないシーンもいくつかあって、緊張を絶やさないようにしていました。あと何より大事にしたいと思っていたのは台湾のスタッフさんや共演者の方とのコミュニケーションでした。台湾語の勉強をして、相手役のシュー・グァンハンさんはじめ、みなさんと少しでも同じ言葉でお話しできたらなって。素敵な心遣いもたくさんしていただいて、(日本に)帰りたくなくなるぐらい楽しい撮影でした」

 

ーー現場では「アミと一心同体になって生きた実感も得られた」と言う。

 

「試写を観た時はアミの記憶や感情がよみがえってきて、ずっと泣いていました。そんな自分にびっくりしたのですが、ちゃんと役に自分を投影して生きられたんだなと。そう思ったら、うれしくてまた涙が出てきて『私、何でこんなに泣いてるんだろう?』って、少し面白かったです(笑)」

 

ーー「Perfumeさんに会いたくて」この世界に入った12歳の少女が、こんな素敵な俳優に。それはラッキーなシンデレラストーリーではなく、一段一段、自分の足で高みへ登ってきた努力の軌跡だ。

 

「でも、ひとりで登っているわけじゃなく、作品づくりは周りに支えられ励まされながら、みんなで高い山を登っていくもの。それはかけがえのないことだと気づいたので、これからも一生懸命取り組んでいきたいです」

 

演じる役のことは全部知っておきたいし、知らないと胸を張って役に向かえない

「私にとってのお芝居のいちばんの楽しさは、与えてもらった役の理解を深めることです。演じる役のことはできる限り全部知っておきたいし、知らないと胸を張って役に向かっていけないなって。自分が役のいちばんの理解者でありたいと思っているんです」

 

ーーそこまで役、つまり「人」への理解にこだわるのはなぜだろう?

 

「他人のすべてを知ることは無理なんじゃないかと思っていて。でも、それをわかっているからこそ、知りたくなるし、もし私が知っていたら、何かできることがあるんじゃないかなって思うんです。私自身、自分のことを知ってくれる人から助け船を出してもらってきた人生だから、人のことを考えちゃうんでしょうね」

 

ーーちなみに、藤井監督も「助け船」を出したひとり。

 

「以前、『考えすぎて面倒くさいタイプ』って言われたことがあって、ちょっと悩んでいたんです。それを藤井監督に話したら『果耶ちゃんの面倒くささは良いところ。あなたは、その面倒くささにつき合ってくれる人と一緒にお仕事ができるといいよね』って。その言葉をもらったとき、私につき合ってくれる人たちのためなら、自分の持っているすべてで向き合いたいって気持ちになりました」

 

ーー話を聞けば聞くほど、「清原果耶」の愛される理由がわかってくる。そのひたむきさ、真面目さ、一途さは、みんなで守るべきもの、守りたくなる宝だ。

 

大阪出身なので苦手なバラエティーもがんばりたい(笑)

「でもお芝居以外では、これじゃなきゃ絶対ダメみたいなこだわりはなくて、自分の性格を分析するとマイペース、気まぐれ、自由(笑)。お芝居も好きだから集中するし、掃除とかも好きだからやるって感じなんです。ただ最近は視野を広げるため、苦手なことにも挑戦したいと思っていて。例えば、私は大阪出身なので、バラエティーとかで相手がボケると『何か面白いこと言わなきゃ』って考えてしまって緊張しちゃうんですね。でもこれからはもっとがんばりたいなって」

 

ーーそこはそんなに考えなくていいんじゃないですか?(笑)

 

「もう考えることがクセになっちゃってるのかもしれないです(笑)。そのせいか、私は文字がたくさんある小説より余白の多い詩集のほうが好きで。余白があると自分のペースで考えて埋められるじゃないですか。でも、文字で埋め尽くされていると考える余地がなくて追われちゃう。全部読み取らなきゃってなって、しんどくなってきてしまうときがあるんです」

 

ーー恒例の「あなたにとって美人とは?」の質問にも、じっくりゆっくり考えながら答えてくれた。

 

「やさしい人ですかね。私の友人にいろんな人のいろんな感情を全部受け止めてしまう人がいるんです。それを見ていると『何で自分の心を削ってまで、全部抱きしめられるんだろう?』ってすごく儚さを覚えるけど、濁りのない魂を持っているんだなと思っていて。そういうやさしい人は傷ついてほしくないし、大事にされるべき美しい人だと思います」

 

ーーまるでドラマや映画の中に出てきそうな人物像。清原さんが演じたら、間違いなくハマりそうだ。

 

「うれしいです。確かに、素敵ですね。そんな役を生きてみたい。そして、そんなやさしさを持てるようになりたいです」

 

シャツ¥44,000/テーロプラン(テーロプランカスタマーサポート) イヤリング¥110,000/カスカ(カスカ表参道本店)

 

Profile

清原果耶(きよはらかや)

2002年1月30日生まれ。2015年、NHK連続テレビ小説『あさが来た』でデビュー。2021年の同『おかえりモネ』ではヒロインを演じる。2024年は『碁盤斬り』など2本の映画が公開。2025年には主演映画『片思い世界』が待機中。

 

Information

『青春18×2 君へと続く道』日本と台湾を舞台に〝初恋の記憶〟をめぐり18年前と現在の想いがせつなく交錯する、ラブストーリー。18年前、高校生だったジミーは日本人バックパッカー・アミに恋をする。そして現在36歳になったジミーはある約束を果たすため、日本への旅に出るのだが……。

出演:シュー・グァンハン、清原果耶、道枝駿佑、黒木華 ほか

配給:ハピネットファントム・スタジオ

公開中

(c)202「4青春18×2」FilmPartners

 

掲載:美人百花2024年5月号「幸福美女図鑑」

撮影/女鹿成二 スタイリング/井阪恵(dynamic) ヘアメイク/赤松絵利(ESPER) 取材・文/若松正子 再構成/美人百花.com編集部

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