【美人百花DIGITAL限定】New Single発売記念!chayロングインタビュー(前編)
美人百花デジタル / 2019年4月24日 19時0分
美人百花でモデルとしても活躍するchayさんが、本日2019年4月24日にニューシングル『大切な色彩(いろ)』をリリースします! 今回はそのリリースを記念して、美人百花DIGITAL限定インタビューを実施。前編では新曲の制作秘話や下積み時代のエピソード、28歳を迎えたchayさんが今思う「青春」をじっくり伺いました。
あの頃って、何でも楽しかったと同時に不安がすごく大きくて。
勝手に疎外感と、劣等感を感じてた
——————前作、昨年12月にリリースされたCrystal Kayさんとのコラボレーション曲『あなたの知らない私たち』の艶っぽいイメージから一転した、爽やかな新曲になりましたね。今回のテーマは「青春」ということなんですが。
chay::今回は富士フイルムさんの “#教室アルバム”というキャンペーンのタイアップソングで。その話を伺ってから「青春」をテーマに作りたいと思って、自分自身の青春を思い出しながら作った一曲です。自分自身の青春時代を思い返してみると、すごくキラキラした毎日が浮かんできて。歌詞の中にもある「理由(わけ)もなくはしゃいだ帰り道」とか、本当にたわいもないことでお腹がよじれるぐらい笑ってたこととか。今思えば小さいことで凄く思い悩んでいたことも、思い返すとすべてが愛おしくて。でもその当時の自分はそれが青春だってことを知らないから、この時間がいかに一瞬で過ぎてしまう儚いものかっていうのを知らないまま過ごしてたなと思って。まさに今青春を過ごしてる人たちも、きっと今がそんな貴重なものだと思って過ごしてないと思うんです。28歳になった目線で、一瞬一瞬の大切さをこの曲を通して伝えることができたらなと思って作りました。
——————chayさんにとっては、やっぱりシンガーソングライターを目指していた下積み時代も思い出深い「青春」時代ですか?
chay:本当に、まさに青春ですね。小さい頃から歌手になるのが夢だったんですけど、大学入学と同時に本格的に音楽活動を始めて。音楽塾ヴォイス(家入レオ、絢香なども輩出したミュージックスクール)にも、両親に内緒で入ったり。両親にはずっと芸能活動を反対されていたので、夢が形になるという確約があるまでは、きっと反対されるだろうなと思って内緒にしていたんです。ヴォイスは本当スパルタの塾なんですよ。授業とは別に、私はずっと勝手に入り浸ってはいたんですけど(笑)。学校が終わってすぐに塾に引きこもって6時間くらい……とにかくずっと、来る日も来る日もギターを弾いてっていう日々だったんです。
——————本当に「夢に捧げた」毎日だったんですね。
chay:そうですね。もちろん大変なんですよ。ギター弾いて指も痛いし、弾けなくて悔しいし怒られるし。すごく大変なんだけど、それよりどんどん上達していくのがすごく達成感があって、楽しかったんです。「こんなの弾けるわけないじゃん!」っていうフレーズでも、毎日毎日、何時間も何百回も同じことを練習していると、ある日突然、ふと弾けるようになるんです。あの時代に不可能が可能になる瞬間をたくさん体験して。今思い返せば、それが私の中で一番の青春かなあと思います。今同じことをやれって言われたらちょっと無理かも(笑)。若さゆえのエネルギーと、どうしても夢を叶えたいという強い気持ちと悔しい気持ちがあった、あの頃だったからこそできたのかなと思います。
——————さて、楽曲について伺っていこうと思いますが、今回、作詞作曲ともに4名の方の連作になっていて。chayさんがこんなメッセージを歌いたいんだというのがメインにあって、それにみなさんで肉付けをしていったという形なんですか?
chay:いわゆるコライトっていうか、チームで作るというやり方が近年音楽業界でとても増えていて。私は初めてだったんですが、直接みなさんとお会いして、何度も話し合って作っていきました。自分の実体験とか、青春の思い出を細かく話しながら、ここはもっとこういう風にしたいとか、こんな言い回しがいいとか、そういうのをレコーディング当日ギリギリまでやっていました。
―—————そんな中で、武部聡志さん(数多くのアーティストを手掛け、ドラマや映画などの音楽監督も担当する大御所音楽プロデューサー)の存在は大きかったのでは?
chay:そうですねー! 『ずっと きっと 叶う』(2018年リリースの5周年アニバーサリーソング)からご一緒させていただいているんですけど、ほんとに音楽の人間国宝みたいな方で。とにかく音楽のことを熟知されているので、他の楽器のプレイヤーの気持ちも、歌い手の気持ちも、すごくわかってくださるんです。すべての楽器の事についてよく理解しているからこそ、ものすごく的確な指示をしてくださるので、全幅の信頼を寄せています。武部さんのアドバイスはすごくしっくりくるから、本当にやりやすいです。
——————chayさんの王道とも言える軽快でキャッチーな楽曲になりましたが、レコーディングはスムーズだったんですか?
chay:今回はポップで爽やかな曲なので、楽器隊の方々もとてもフレッシュな人選をしていただいて。年齢が近い方も多くて、和気藹々と楽しくレコーディングをしました。普段だとオケのレコーディングをしたあとに私の歌のレコーディングをするんですけど、今回は(ヴォーカルとオケを一緒に)「せーの」で録ってみたりして。楽しくてあっという間の時間でした。こういう勢いと疾走感のある曲は、レコーディングに時間をかければかけるほど煮詰まっちゃうんです。私は心配性なのでいつも時間が許す限り粘るんですけど、今回はテーマが「青春」だと言うのもあって、やっぱりフレッシュで元気な方がいいと言う話になって。結局最初のほうに歌ったテイクを使いました。
——————前作では昭和歌謡とジャズの融合のような、ちょっとダークな楽曲で、今作は王道のポップチューン。近年とても音楽性の幅も広がって、いろんなことに挑戦されてますよね。
chay:そうですね。いろんなジャンルに今までも挑戦していて、今回も前作とはガラッと変えてみたりしてるんですけど、私自身が作る曲もジャンルを定めているわけではないんですよ。例えばアルバム1枚作るときに、よく言えばバラエティーに富んだ1枚になっているし、悪く言えばコンセプチュアルじゃない。それは多分、自分自身がカントリーも、60’sも好きだし、王道なポップスも好きだし、いろんなものを聴いて育っているからで。でもコンセプチュアルなアルバムも好きだからこそ、これってどうなんだろう? と思うこともよくあります。でも、最近気付いたのが、「chayってバラエティに富んだ楽曲を、そのときそのときで歌っていいキャラクターだ」ってことで。
—————―うんうん。
chay:作品 1枚を通していろんな顔を見せて、いい意味でサプライズ的に楽しんでもらえるアーティストにchayが今なれている、ということなのかなと思っています。そう前向きに捉えることができてからは、前はこうだったからそのジャンルで引き継いだ方がいいとか、あんまり考えてないです。今やりたいことだって、年齢が変われば考え方も変わるし。今いいと思うことを、素直にやっていきたいと思います。
——————一貫して私はコレ!っていうのも素敵ですけど、いろんな顔を見せられる、いろいろな表現ができる、というのもchayというアーティストの強みですよね。ライブでの演出でもいろんなチャレンジをされていると思うんですけど、ライブの部分でもエンターテインメント的なものを追求する意識は強いんですか?
chay:かなり。私が大尊敬しているシンディ・ローパーさんとか松任谷由実さんもそうなんですが、とにかくエンターテイナーなアーティストのことを尊敬しているし、憧れています。これは個人的な意見なんですけど、そもそも音楽や映画、本にしても、娯楽ってエンターテインメント性があるからこそ、日常を忘れて楽しめると思っていて。私も嫌なこととか辛いことがあっても、エンターテインメントに心が救われてきた部分があるので、私自身もエンターテイナーでありたいと強く思っています。特にライブは、非日常的な世界にお客さんを連れていきたいという想いがすごく強くて。日頃、みんないろんなことがあると思うけど、このライブに来てくれている瞬間だけは、嫌なことも辛いことも忘れてシンプルに楽しんでほしいと思ってます。耳だけじゃなくて目でも楽しんでほしいという思いもあるので、衣装替えとかも多かったりとか。
——————ステージセットもいつも作り込まれたものになっていますよね。
chay:でも考えるのも好きなので。楽しいんですよ。こういうことしたら楽しんでくれるかな、笑顔になってくれるかな、びっくりしてくれるかなと考えながら、いつも作っています。
———―——普段本誌の撮影で一緒にお仕事させていただいていても、chayさんっていつでも全力投球というか、一瞬一瞬を丁寧に、大事に生きている方だなあと思うことがすごくあって。『大切な色彩(いろ)』では“「一瞬」止めて”というフレーズが印象的ですが、chayさんの活動の中で、一瞬止めて、と思う瞬間はありますか?
chay:日々特別な瞬間があって……例えばライブとかが特にそうなんですが、この時が止まってくれたらいいなと思います。一瞬一瞬を大事にしようっていうのは、モットーというか。例えば曲を書くにしても、その時その時にしか浮かばないような言葉もいっぱいあって。例えば『nineteen』(1stAlbum『ハートクチュール』収録)っていう曲があるんですが、18歳でも20歳でも書けない、19歳だからこそ出てきた言葉がいっぱい詰まっていて。曲を作る時も、一瞬一瞬を大切に切り取って作っていきたいなとは、ずっと思っています。
————————青春の一瞬の輝きを切り取っている『大切な色彩(いろ)』には、大人になったchayさんが青春時代の子たちを見て思う気持ちと、青春時代のchayさん自身に話しかけているような気持ち、いろんな目線を感じました。ご自身が青春時代に戻れるなら、どんな声をかけてあげたいですか?
chay:何だろう……安心できるような一言をかけてあげたいですね。あの頃って、何でも楽しかったと同時に、夢にがむしゃらに向かってて、不安がすごく大きくて。なんでこんなに悩むのかってくらい悩んでたんですよね。人と比べちゃうことも多くて。勝手に自分が特殊なような疎外感と、劣等感を感じていて。特に大学生の頃は、周りのみんなはすごく就活を頑張っていて、黒いスーツを着て大学に通っている中、私はギターを背負って路上ライブをしまくって、オーディション落ちまくって、という現状に、私は私と思いながらもどこかで比べてしまう時期が結構長かったので。
———————少し孤独でもあったんですね。
chay:あんまり人に夢を言ってなかったんです。なんかプライドもあって。馬鹿にされたくなかったし、夢見る夢子ちゃんだと思われたくなくて。「絶対デビューして見返してやる!」じゃないけど、夢が叶うまで言いたくなかった。だからその頃の自分には、そうだなあ、なんて言ってあげたいかなぁ……。そのままおいでって言いたいかな。自分で頑張ったって言うのも好きじゃないけど、あの頃って、とにかく夢しかなくて。それに向けて今じゃ考えられない位の時間を費やしてた自分があったからこそ無事デビューできたし、もう7年も活動を続けられて、歌い続けられているから。それは確実に、あのギターを弾き続けていた5年間があったからこそだと思っているんですよ。路上ライブで、誰も足を止めてくれない日なんていっぱいあったし。だけど諦めずに続けてくれたあの頃の自分に、ありがとうって言いたいです。
(interview &text:岡野里衣子 編集協力:阿部文香)
・リリース情報
chay 12th Single
「大切な色彩(いろ)」
2019年4月24日Release
WPCL-13040/¥1,500(税別)
24pブックレット仕様
[収録曲]
M1:大切な色彩(いろ)
M2:With
M3:最後の春休み(松任谷由実カバー)
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