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43年前に創られた「Two Bad」の衝撃 「Master of Customizer」アーレン・ネスの名を世に知らしめた名作に迫る

バイクのニュース / 2020年4月7日 11時0分

今から43年前にカスタム界の巨匠、故「アーレン・ネス」により手がけられた「Two Bad」は今から43年前に製作された名作です。いったいどのような特徴があるのでしょうか。

■米国カスタム界の巨匠「アーレン・ネス」

 一般的なカスタムバイクが足回りの強化やパワーアップなどの性能向上を求める一方、そこに『装飾性』や『オリジナリティ』をプラスし、極論を言えば「パフォーマンス」を犠牲にしてでも「芸術的な美しさ」が追及されたもの……アメリカで生まれたチョッパーというカスタム・カルチャーには、そうした側面があるのですが、その中で『究極』の部類に入るマシンがここに紹介する「Two Bad」であることは間違いありません。

 制作したのは米国で「Master of Customizer(マスター・オブ・カスタマイザー)」の異名を持つビルダー、アーレン・ネス。直訳すると『カスタム界の巨匠』や『カスタムの達人』と称されるこの人物は25歳の時、1960年代中頃からトラックドライバーや大工などのデイ・ワーク(日常の仕事)の傍ら、自宅のガレージでカスタムビルドをスタートします。

 1970年に自らの名を冠したショップ、「アーレンズ・モーターサイクルアクセサリー」をサンフランシスコの対岸にあるサンレアンドロという街で創業し、2000年代に入ると近郊の街、ダブリンの巨大な店舗に移転。
 
 屋号を「アーレン・ネスモーターサイクルズ」に変え、数々のカスタムバイクのみならず、『ディガー』や『バガー』などのカスタム・スタイルのジャンルすらも生み出してきたのですが、昨年2019年に癌との闘病の末、残念ながらこの世を逝去しています。

■全米に衝撃を与えたカスタムバイク「Two Bad」

 カスタム業界において数々の偉大な功績を持つアーレン・ネスというビルダーが、1977年にフロリダ州デイトナで開催された「ライド・イン・ショー」に出展し、その名を全米中に知らしめたマシンがここに紹介する「Two Bad」です。

エンジン二機がけのドラッグレーサーや他のビルダーが製作したカワサキZ1ベースのハブセンター・ステアリングのマシン、フレーム・トップチューブを持たないマグナサイクルのスポーツスターなど様々なカスタムの要素をミックスし、形になったという「Two Bad」。1977年製作ながら、今見ても色褪せない魅力を放つ一台です

 フレームのメインとなるトップチューブが排されたクロモリ鋼製のリジッドフレーム、1000ccへボアアップされたハーレー・アイアン・スポーツスターを二機がけした上でマグナソン製スーパーチャージャー(過給機)を装着し、始動用のフューエルインジェクションと路面スレスレの位置にウェーバー製キャブが取り付けられたエンジン。

 そしてトーションバー・サスを備え、ハブセンター構造となったフロントのステアリングなど一目見ただけで忘れられないであろう絶大なインパクトを誇るこのマシンですが、構想から完成まで二年の月日を費やしたとのことです。

 ちなみにガソリンタンクはリアのV字部分、オイルタンクはフロント部分に装着され、まるでフレームの一部であるかのように車体の中で巧くデザインの中に取り入れられています。こうした『この世に二つとない』オリジナリティ溢れるマシンが生み出されるのも『ショー・カスタム』というものの醍醐味です。
 
 実際、アーレン・ネスは生前に「自分がカスタムで出来る限界を皆に伝えたかった」と当時を振り返っていましたが、このように「アート」的な側面を持つのもチョッパーというカスタム・ジャンルの特異な部分かもしれません。

 走りを語る上では、スポーツバイクのようにコーナーをフルバンクで、とまではいきませんが、「ライド・イン・ショー」にエントリーを果たすレベルには仕上げられているようです。
 
 たとえばこうした装飾性の高い「ショー・カスタム」を前に『走る、走らない』という論争がしばしば起こることもありますが、すべてを『性能』だけで評価することが出来ないという部分もチョッパーというカスタム・ジャンルの特徴です。

 やはり評価されるべきは『独創性』とそれを具現化する『技術力』であり、もちろん『スタイル』や『センス』も重要です。そしてこの「Two Bad」のようなマシンを「有りとするか無しとするか」もチョッパー好きか否かの分岐点のような気がします。こうした『夢ある』マシンが生み出されるのもチョッパーというカスタム・ジャンルの魅力のひとつです。
 
 今から43年前、アーレン・ネスという偉大なビルダーが38歳の頃に創り上げられた「Two Bad」というマシン……この車両も間違いなくチョッパーの歴史を語る上で欠かすことの出来ない一台です。

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