ホンダ「CBR650R」の直4エンジンに思わず笑みがこぼれる! ほどよいバランスのスーパースポーツモデルとは?
バイクのニュース / 2020年4月25日 13時0分
2019年3月に新登場となったホンダ「CBR650R」は、直列4気筒エンジンを搭載するミドルクラスのスーパースポーツモデルです。一体どんな乗り味なのでしょうか。
■排気量、走行性能、存在感、すべてが「ほどよい」まとまり感
ホンダ「CBR650R」は、直列4気筒エンジンを搭載したスーパースポーツモデルです。しかし、そのスーパースポーツの意味に含まれる「体育会系」なイメージだけではなく、どんな場面にもフィットする「ちょうど良さ」がパッケージングされているのです。
スタイルはスポーティでスリム、左右からしっかり見える4気筒エンジンや、レイヤードされたフェアリングからのぞく整然と並んだ4本のエキゾーストパイプ、美しさの中にホンダロードスポーツの伝統も織り込みます。
この見え方のもうひとつの主役がフレームです。ツインスパー形状のスチールフレームは、強度、剛性をクリアしながら、細身に仕立てることでエンジンなどの見える範囲も大きくとれています。アルミフレームだとこうはいきません。
スイングアームピボットを支えるプレートも、中身を凝縮した鍛造製から中空モナカ構造としたり、デザインに合わせてシートレールの長さも短縮化することで、先代となる「CBR650F」よりもこのフレームだけで6.5kgの軽量化を達成しています。
前後のホイールも軽量化されていたほか、メインスイッチの設置位置を燃料タンク側に移し、重心に近づけるなど、軽量化はもちろん運動性向上への設計改良があちこちに施されています。結果的に、完成車として5kgほどダイエットしている点は注目です。
搭載するエンジンも、カムシャフトをより高回転を得意とするものに交換し、それに合わせてバルブスプリング、バルブシートなど改良も施されました。同時にピストン形状も見直し、ルックスに見合うパワーフィールとなっています。
ホンダ「CBR650R」(2019年型)カラー:マットバリスティックブラックメタリック
また、LEDヘッドライト両脇からエンジンに空気を送り込むエアインテークを持ち、改良された吸気ボックスに走行風圧も利用した仕組みも採用されました。
跨がるとステップ位置が高く後退し、セパレートハンドルはトップブリッジの下にマウントすることで、より前傾姿勢が強まりました。かと言ってツーリングも楽にできそうな設定です。
実際、市街地では軽い車体と4000rpm以下でもキビキビ走るトルク感により、走りが軽快です。前傾姿勢ながらしっかり前方視界が取りやすいレベルなので、デイリーユースにも適するでしょう。
高速道路に入ると、6速巡航時に80km/h、90km/h、100km/hと硬質で少しくすぐったい振動がシートやタンク、ステップに出る場面もありました。ウエア、ブーツによっても感じ方が異なるため個人差もあるかもしれませんが、もう少し伝わり方がマイルドだと嬉しいな、と思います。
巡航時、低めのフェアリングは見た目以上にライダープロテクション性能を持っているようです。長い距離の移動も苦にならないでしょう。ツーリングシーンでは、持ち前のスムーズなトルク特性により、走りだけに集中せず風景も楽しめます。
ホンダ「CBR650R」に試乗する筆者(松井勉)
低いギアで6000rpmあたりを維持して走ると、鋭さが増してワインディングを楽しませてくれます。前後ブレーキはこの車体ととてもバランスが良く、市街地から峠道、そして強い減速が欲しい場面でも自在に制動力を引き出せるチューニングで、尖っていないけど、足りない物は何も無い、というバランスの良さ。
前後サスペンションが造る姿勢変化も解りやすく、減速、コーナリング時にタイヤのグリップが感じやすく安心です。この排気量のモデルは、一般道を味わうにはもってこいだ、そんな言葉が頭に浮かびます。
峠道ではさらに楽しさを発見できました。左右へのカーブを綺麗に切り取るほどよい鋭さ。知らない道を楽しめる感覚は良くできたバイクの証です。しっかり路面を捉えながら綺麗に曲がってゆく。細身に仕立ててあるタンク、シート周りが乗り手との一体感をサポートします。
排気量648ccの水冷直列4気筒エンジンを搭載
なにより4気筒らしい音とシームレスなパワー感!「コレコレ」と、思わず笑みがこぼれます。結論を言えば、ぱっと見、ツンデレに見えて、その中身は魅惑が詰まり、すぐに友達になれるタイプです。しかも親友に。それが「CBR650R」なのです。
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