世界最速の男たちはどんな装備で戦っているのか? レースも延期でつまらないので調べてみた
バイクのニュース / 2020年4月22日 11時0分
レースは走る実験場!MotoGPなどレースで活躍するライダーたちの装備は、ハイスピードでクラッシュしても最新技術により大きな怪我を負うことのない、安全重視で製作されたライディングギアです。各国のライディングギア製造会社は、MotoGPで技術を高め合っています。
■MotoGPクラス、ライダーのレース装備分布図
世界最高峰の2輪レース、MotoGPで戦うライダーたちはどんな装備を身につけているかご存知ですか?レースなんて興味ないし、見ていないから関係ない…、なんて思っている人もいるかもしれませんが、レースはいわば走る実験場。彼らが身を挺して装備の性能を試してくれているのです。
試しているのはマシンだけじゃないんですよ! 私達の安全を守ってくれる、ヘルメットやライディングギアもテストされているんです! なのでライダーであれば、全員に関係することでもあったりします。ハイスピードでクラッシュしても大きな怪我をしない、ライダーたちの安全を守る、最新の技術が生まれている場所って考えたらちょっと興味が湧いてきませんか?
レースの装備といえば、ヘルメット、レーシングスーツ(ツナギ)、グローブ、ブーツ、プロテクターが必須アイテム。そして近年ではエアバッグの装備も義務つけられています。さらに、昨年からFIM(国際モーターサイクリズム連盟/簡単にいうと2輪モータースポーツを統括する総元締めともいえる国際競技連盟)が開催するレースでは、FIMに認定されたヘルメット「FIM Racing Homologation Program for Helmet(FRHP)」しか使えないというルールも追加され、バイクの性能が進化するとともに、装備に対する安全性の意識も非常に高められています。
ライダーが装着するライディングギアの総重量は約15Kg
その結果、ライダーが装着するライディングギアの総重量はなんと約15Kg!1.5Lのペットボトル10本分を背負って走っているという感じですが、重いと感じるか軽いと感じるかはライダーそれぞれ。重さが感じられないような設計になっているので、着込んでしまったらそれほどには感じられないかもしれないのですが、命を守る重みだと考えたら、軽いのかも知れないですね。
ということで、最速のMotoGPライダーたちは自分たちの身を守るために、どんな装備を選んでいるのかひとりひとり調べてみました!今年のMotoGP参戦ライダーは11チームで合計22名。勢力図を表で表してみると、ヘルメットは意外な結果に、レーシングスーツはイタリアンメーカ強し! ということが見えてきました。
まずはヘルメット。ちょっと前まではAraiユーザーが多かった印象ですが、なんと、現在はAGVユーザーが5人と全体の23%を締め一番人気! ついでSHARK、HJCが3人、Arai、SHOEI、NOLAN&X-LITE、SUOMYがそれぞれ2人、SCORPION、KYT、NHKが1人ずつという、なんともバラける結果になりました。たくさんのメーカーが登場して、それぞれに安全性や信頼性を向上させた結果、軽さ、形、理念など、好みによって選べるようになった、ということではないでしょうか。
SHOEIを愛用するマルケス(兄弟)
特に、最近ではHonda乗りがSHOEIのマルケス(兄)レプリカをそれと知らずに被っている若者が多いように見受けられます。ロッシのレプリカはロッシ、ヤマハファンが多いですよね。AGVとSHOEIはそれぞれのレプリカヘルメットを、ハイエンドラインだけでなく、比較的手に入れやすい価格のラインで販売してくれているのも、人気の秘密かもしれませんね。そして最近注目株が、SHARKです。昨シーズンで引退してしまい、今年はヤマハのテストライダーとして戻ってきたホルヘ・ロレンソが使用していたことで大幅な進化を遂げ、大注目を浴びました。日本では、ワイズギアがSHARK製品を取り扱っています。
■ユーザーの詳細はこちら!
ヘルメットメーカー装着率(MotoGPクラス)
<AGV>5人
バレンティーノ・ロッシ(Monster Energy Yamaha MotoGP)
フランコ・モルビデリ(PETRONAS Yamaha SRT)
ジョアン・ミル(TEAM SUZUKI ECSTAR)
ジャック・ミラー(ALMA PRAMAC RACING)
ポル・エスパルガロ(RED BULL KTM FACTORY RACING)
<SHARK>3人
ヨハン・ザルコ(REALE AVINTIA RACING)
ミゲル・オリベイラ(RED BULL KTM TECH 3)
イケル・レクオーナ(RED BULL KTM TECH 3)
<HJC>3人
カル・クラッチロー(LCR HONDA CASTROL)
アンドレア イアンノーネ(APRILIA RACING TEAM GRESINI)
ブラッド・ビンダー(RED BULL KTM FACTORY RACING)
<Arai>2人
マーベリック・ビニャーレス(Monster Energy Yamaha MotoGP)
中上貴晶(LCR HONDA IDEMITSU)
<SHOEI>2人
マルク・マルケス(REPSOL HONDA TEAM)
アレックス・マルケス(REPSOL HONDA TEAM)
<NOLAN&X-LITE>2人
アレックス・リンス(TEAM SUZUKI ECSTAR)
ダニーロ・ペトルッチ(Mission Winnow Ducati Team)
<SUOMY>2人
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Mission Winnow Ducati Team)
フランチェスコ・バグナイア(ALMA PRAMAC RACING)
<SCORPION>
ファビオ・クアルタラロ(PETRONAS Yamaha SRT)
<KTY>
アレイシ・エスパルガロ(APRILIA RACING TEAM GRESINI)
<NHK>
ティト・ラバト(REALE AVINTIA RACING)
■レーシングスーツは、アルパインスターズとダイネーゼで65%を占める
次に、レースングスーツ。ほとんどのメーカーがレーシングスーツに合わせて、グローブとブーツも作っているので、グローブとブーツはレーシングスーツと同じメーカーのものを使用しているのがほとんどですのでそこは割愛。
アルパインスターズを着用しているライダーは全体の45%10名(マルケス兄弟)
一番人気は22人中10人が使用していたアルパインスターズ。全体の45%を占めるという圧倒的な強さを見せました。次いでダイネーゼが5人で23%、この2メーカーだけで全体の約7割を占めるという結果となりました。装着が義務となっているエアバッグシステムもこの2つのメーカーが圧倒的なシェアを誇っており、他メーカーのツナギもアルパインスターズの<Tech-Air>か、ダイネーゼの<D-air>のどちらかを装備しているのがほとんどです。こういったことからも、この2つのメーカーを選ぶライダーが多いともいえるでしょう。
安全性の取り組みなど、絶対的な信頼感を得ているということがわかりますね。次いでIXONが4人、REV’IT、SPIDI、BERINGが各1名づつでした。レーシングスーツも素材、プロテクションの進化により、昔と随分と勢力図が変わったように思われます。番外編で、Moto3,Moto3で戦うライダーには、クシタニ、TAICHIの愛用者もいることを付け加えておきましょう!
■ユーザーの詳細はこちら!
レーシングスーツメーカー装着率(MotoGPクラス)
<Alpinestars>
マルク・マルケス(REPSOL HONDA TEAM)
アレックス・マルケス(REPSOL HONDA TEAM)
カル・クラッチロー(LCR HONDA CASTROL)
中上貴晶(LCR HONDA IDEMITSU)
マーベリック・ビニャーレス(Monster Energy Yamaha MotoGP)
ファビオ・クアルタラロ(PETRONAS Yamaha SRT)
アレックス・リンス(TEAM SUZUKI ECSTAR)
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Mission Winnow Ducati Team)
フランチェスコ・バグナイア(ALMA PRAMAC RACING)
ヨハン・ザルコ(REALE AVINTIA RACING)
<DAINESE>5人
バレンティーノ・ロッシ(Monster Energy Yamaha MotoGP)
フランコ・モルビデリ(PETRONAS Yamaha SRT)
ジョアン・ミル(TEAM SUZUKI ECSTAR)
ジャック・ミラー(ALMA PRAMAC RACING)
ポル・エスパルガロ(RED BULL KTM FACTORY RACING)
<IXON>4人
ティト・ラバト(REALE AVINTIA RACING)ブーツはForma
アレイシ エスパルガロ(APRILIA RACING TEAM GRESINI)ブーツはAlpinestars
ブラッド・ビンダー(RED BULL KTM FACTORY RACING)ブーツはTCX
ミゲル・オリベイラ(RED BULL KTM TECH 3)ブーツはAlpinestars
<REV’IT>
ダニーロ・ペトルッチ(Mission Winnow Ducati Team)ブーツはForma
<SPIDI>
アンドレア イアンノーネ(APRILIA RACING TEAM GRESINI)ブーツはAlpinestars
<BERING>
イケル・レクオーナ(RED BULL KTM TECH 3)ブーツはAlpinestars
以上、いかがでしたか? レースもちょっと違った目線で見ると面白く感じたりしませんか?
過去のMotoGPレースを見て、ライディングギアの進化を見つけるのも良いかもしれません(2003年 Repsol Honda Teamバレンティーノ・ロッシ選手)
ライダーの安全を守る技術が生まれる現場、ちょっと覗いてみてはいかがでしょう。とはいっても、今は新型ウイルスの影響でレースが全て延期状態…。でも!過去のレースがMotoGPの公式サイトで現在無料公開されていますので、是非この機会に観戦してみてはいかがでしょう。
自分が乗る愛車のメーカーのライダーに注目するもよし、ライディングスタイルで選ぶもよし、顔で選ぶもよし。お気に入りのライダーが見つかったら、レースがもっと楽しくなります。40歳にしてなお現役でレースに参戦するバレンティーノ・ロッシを筆頭に、今はイケメンライダー多し!異次元の世界で起こっているような、理解の限界を超えた超絶なライディングが堪能できますよ。いろんな楽しみ方を見つけてみてくださいね!
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