見分けが難しい? 気になるオフロードバイクの種類 モトクロッサーとエンデュランサーは何が違う?
バイクのニュース / 2020年4月27日 17時0分
オフロードバイクの競技車両「モトクロス」と「エンデューロ」は、見た目は似ていますが専用の設計がなされています。ヤマハの車両を例に、その違いを見てみましょう。
■「モトクロッサー」と「エンデュランサー」、ナニが違う?
オフロードバイクを初めて見た方は「モトクロスとエンデューロのバイクはどこが違うの?」と思うかもしれません。例えばヤマハ「YZ250F」(=モトクロッサー)と「YZ250FX」(=エンデュランサー)は、かなり似ていますが作りは異なります。
まず見た目で異なるのは、「エンデュランサーにはサイドスタンドが付いている」「エンデュランサーにはアンダーガードが付いている」「モトクロッサーはリア19インチ、エンデュランサーはリア18インチのタイヤを装着している」などがあります。
ガレ場や木の根、丸太などにヒットすることの多いエンデュランサーは、衝撃から車体を保護するためのガード類が装着されます。また、軽快性が求められるモトクロスは19インチ、クッション性が求められるエンデューロは18インチのリアタイヤが一般的となっています。
細かい箇所を挙げるとたくさんあります。例えば「エンジン懸架ブラケットの肉厚」が違うのもそのひとつです。
YZ250FX(エンデュランサー)は、プレートを追加して剛性を高めています。エンデューロに詳しい人は、ここでツッコミを入れるかもしれません。
モトクロスのような高速走行、ジャンプ着地の衝撃に耐えられるようなシチュエーションよりも、エンデューロでは細かいギャップの追従性や、安定性、快適性を求められるので、剛性が落とされるべきでは(サスペンションも柔らか目にセットされることが多い)? という考え方が主流ではあります。
しかし2020年型のYZ250FXでは、あえて懸架ブラケットの剛性を上げることで安定感が増すことをヤマハの開発陣が発見し、実現したのです。奥が深いです。
ヤマハは、エンジン懸架メインブラケットは車体特性を大きく変えるチューニングパーツとして捉えており、一般的にしなやかさが求められるエンデュランサーに、あえて補剛材を追加して剛性を高めている
●変速装置、変速比が違う
YZ250Fの5速に対して、YZ250FXは6速とワイドレシオ化されています。高速走行の多いモトクロスと、タイトで低速セクションの多いエンデューロのシチュエーションの違いによるものです。
また、2次減速比も異なります(YZ250F=3.846、YZ250FX=3.923)。エンデューロは登坂時の最初の駆け出しや、丸太などのセクションでのピックアップ特性が求められることも多いため、ギア比がショート(ドリブンスプロケの丁数が大きい)になる傾向があります。
●エンジン仕様
ヤマハのウェブサイトでは、YZ250FXとYZ250Fのスペック数値比較ができるので分かりやすいのですが、両車共に同じ仕様のエンジンを採用しています。しかし、それぞれに専用ECUが搭載され、YZ250FXは燃料噴射量や点火時期のマップがクロスカントリー、エンデューロ向けに最適化されています。両モデルはスマホで操作が可能な「パワーチューナー」により、好みの特性に簡単に変更することが可能です。
●サスペンションの仕様
一般的に、ハイスピードでギャップに突っ込み、ジャンプの着地に備えるモトクロッサーよりも、細かいギャップ、ガレ場などでの衝撃吸収性が求められるエンデュランサーのほうが柔らかい仕様になっています。YZ250FとYZ250FXも然り。
ただし、欧州やアメリカのトップライダーはモトクロッサーの硬いサスペンションを好み、コンフォート性よりもタイムアップを狙う傾向があります。世界のトップレースを経験した日本人ライダーが驚く要素でもあります。
●燃料タンク容量の違い
YZ250Fの容量6.2リットルに対し、YZ250FXは8.2リットルと、エンデュランサーの方が容量が大きくなっています。これは走行距離や時間の違いによるものです。
※ ※ ※
一見すると同じように思える2種類のオフロードバイクですが、走行シーン(競技)に合わせて最適な装備、設計がなされています。一言でオフロードバイクと言っても、いろいろな種類があり、内容を見るとじつに興味深いものがありますね。
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