遊びから生まれたマウンテンバイク(MTB)の起源 バイクで言うと「スクランブラー」に近い?
バイクのニュース / 2020年5月1日 11時0分
自転車の「MTB(マウンテンバイク)」は、ロードバイクに比べて歴史は浅く、モーターサイクルではモトクロスが盛んな時期に生まれました。その起源とは?
■MTBは、好き者たちの「遊び」から自然発生した
現在のスポーツサイクル(自転車)シーンにおいて、ロードバイク(ロードレーサー)と双璧を成す一大カテゴリーとなっているのがMTB(マウンテンバイク)です。
ところが、ロードバイクの歴史が100年を超えるのに対し、MTBの誕生は約40年前のこと。モーターサイクルの世界では、すでにモトクロス競技が盛んで、1967年に登場したヤマハ「DT-1」によって、一般ライダーの間でも広くオフロードライディングが楽しまれていました。自転車がオフロードに進出したのは、モーターサイクルよりもずっと後のことだったのです。
MTBは、好き者たちの「遊び」から自然発生しました。1970年頃、ヒッピーカルチャーの影響を受けたサンフランシスコの自転車乗りが郊外の山に集まり、カーブが連続する未舗装の山道を駆け降りて速さを競うというおバカな遊びをおっぱじめたのです。一種のカウンターカルチャーだったのでしょう。
もちろん現在のようなMTBはまだ存在しておらず、彼らは頑丈なフレームをもつ戦前の実用車や、クルーザーバイシクル(ビーチクルーザー)をベースに太いタイヤを履かせ、モーターサイクル用のハンドルバーやブレーキパーツなどを装着した改造自転車でこの危険な遊びに興じていました。
次第に斬新でエキサイティングな遊びとしてサイクリストの間で人気を獲得し、ルールを決めた競技らしきものが開催されるようになります。同時に自転車の改造度合いもエスカレートし、ロードレーサー用の多段変速機を組み込んだり、オフロード用に設計したオリジナルのフレームをビルダーに作らせる者まで現れるようになります。
これが後に、MTBへと発展することになったのです。
当時の映像を見ると、現在のようなシングルトラックのトレイルではなく、道幅の広い未舗装路を、ときに派手にスライドさせながら下っていることが分かります。
こうした改造車は、当時「クランカー」や「バルーナ」「ボマー」などと呼ばれていましたが、現在は主にクランカーで総称されることが多いです。
さてこのクランカー、何かを想起させませんか? そう、ロードスポーツ車をベースにブロックタイヤやアップマフラーを装着して悪路走破性を高めた「スクランブラー」と極めて似た存在なのです。
たとえば欧州のモーターサイクルメーカー、ドゥカティやトライアンフ、BMW Motorradなどは、モデル名にそのまま「スクランブラー」という言葉を使用していますね。
■急速に普及したMTB、当時は日本で製造していた
1980年代に入ると、この新たなムーブメントに注目した大手自転車メーカーから量産型のMTBが登場しました。コアなサイクリストのみならず、アウトドアアクティビティの愛好家も巻き込んで大きな流れとなります。
スタンプジャンパーの広告。新しい自転車ではなく、新しいスポーツであることが強くアピールされている(写真提供:スペシャライズド・ジャパン)
1981年に登場したスペシャライズド社(米国)の「スタンプジャンパー」は、一部の好事家向けに少量だけ生産されていた当時のMTBをはるかに下回る価格を実現して大ヒットとなりました。
サスペンションフォークは採用されていませんが、堅牢なクロモリ製フレーム&フォークに26インチのブロックタイヤ、ワイドレンジの15段変速などを装備し、当時は世界最大の自転車生産国だった日本で製造が行われていました。
日本でも1980年代後半から90年代にかけて大流行したので、当時の熱狂を覚えている方も多いことでしょう。
現在のMTBは「ダウンヒル」、「クロスカントリー」、「エンデューロ」など、様々なカテゴリーへと細分化され、とどまることなく進化しています。
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