昭和時代にみんな乗っていた懐かしのレトロ自転車の世界!
バイクのニュース / 2020年5月4日 11時0分
昭和後期、自転車は「ジュニアスポーツ車」や「ロードマン」という商品名で、小学生から高校生を中心に大流行していました。現在、その多くはプレミア品となっており、当時若者だった人は懐かしさや思い入れから自転車をレストアする人も少なくありません。
■ブームを巻き起こしたジュニアスポーツ車
昭和40年代半ば~昭和50年代半ば、小学生・中学生の憧れの対象はスーパーカーにありました。そして、その憧れであるスーパーカーの各部メカニズムを取り入れた自転車は「ジュニアスポーツ車」と呼ばれ、小・中学生の男子を夢中にさせることとなります。
実用性よりも豪華な見た目や装備を優先した「ジュニアスポーツ車」の特徴として、今では珍しいセミドロップハンドルや、ダブルヘッドライト、電子フラッシャー、シフトレバーの付いた変速ギアなどを装備していることが挙げられます。
始まりは昭和40年代半ばに丸石自転車の開発した電子フラッシャー付きの自転車でした。
ダブルヘッドライトで、テールランプ、ブレーキランプや方向指示機能が付いている程度でしたが、これが人気を博したことをきっかけに各自転車メーカーが競うようにフラッシャー自転車開発に取り組み始めます。速度メーターやシフト表示用のデジタル液晶パネル、電子ホーン、トランジスタラジオの搭載、ダブルヘッドライトのLED化やフラッシャーの大型化など勢いは止まりません。
電飾も豪華となり、そのため必要となる電力はダイナモだけでは到底足りなくなり単一乾電池を何本も必要としています。
MIYATA「フラッシャー自転車」
最終的に少年の力で乗るには重すぎる重量となった実用性の低いこの自転車は、スポーツという名前とは程遠くなってしまい、のちに「フラッシャー自転車」と呼ばれるようになります。
昭和50年代に入ると「フラッシャー自転車」の流行はすっかり過ぎ去っていますが、スーパーカーブームが始まったことによりカウンタックやポルシェなどのヘッドライトを模倣した、通称「スーパーカーライト」を搭載した自転車が大流行することとなります。
リトラクタブルヘッドライトのように角張ったヘッドライトが人気で、使わない時は収納して必要な時にポップアップさせたり横方向に展開させるタイプもありました。
その操作は手動操作のほかに手元のスイッチによる電動式に対応したものまであります。
AT車やMT車のようなシフトノブ付きの変速ギアを搭載し、自動車と同じ油圧式ディスクブレーキの構造をした「パワーブレーキ」を搭載した自転車も登場しています。
MIYATA スターレイカーレーザーのWハロゲンXライト
「フラッシャー自転車」と比較してみると、「フラッシャー自転車」はテールランプなど後部の電子フラッシャーが最も特徴的だったことに対し、「スーパーカーライト」を搭載した自転車は、顔ともいえるヘッドライトに変化を与えることができたため大好評となり、ジュニアスポーツ車の流行はここがピークといえます。
これらの過剰な装備により上昇していく価格はPTAからの問題視や、第一次オイルショックにより自主規制する流れとなり、さらに昭和60年代には人気の原動力であったスーパーカーブームも収束してしまいます。
昭和60年代に入ると通勤や通学用のシンプルで実用的な自転車が若者向けとして売れるようになり、ジュニアスポーツ車は終焉を迎えます。
■シンプルな見た目で若者向けに累計150万台売れたロードマンとは
ロードマンとは昭和49年よりブリヂストンから発売された、入門者向けスポーツ自転車です。その人気は非常に高く、ブリヂストンサイクルの歴史を代表する名車種としても知られています。「ジュニアスポーツ車」より高い年齢層が対象で、主に中学生・高校生の通学やサイクリングで活躍しました。
特徴的な点として、当時のトヨタ「セリカ」の「フルチョイスシステム」という、外装・内装・エンジンを自由に組み合わせることができるカスタマイズシステムを採用しています。
ベースとなるスタンダードモデルが数種類ラインナップされており、多数のオプションパーツの組み合わせにも対応しています。一般的な価格帯で、一般のショップで自分の体格や技量、好みに合わせたデザインのオリジナルスポーツ自転車をオーダーメイドすることなく作ることが可能でした。
現在は用途に合った様々な自転車に進化
ロードバイクの象徴であるドロップハンドルや、そのカスタマイズシステムに多くの若者を魅了すると同時に、本格的なスポーツ自転車への関心を引く大きなきっかけとなりました。
ロードマンは生産・販売終了の平成11年までに累計150万台以上売れ、そのコンセプトはそれぞれの用途に合わせた車種たちに引き継がれていくこととなりました。
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