the「燃費」排気量プラス25ccの魅力とは? ホンダ「PCX150」のツーリングで見つけた意外な実力
バイクのニュース / 2020年5月6日 11時0分
スクーターの人気シリーズ、ホンダ「PCX」の150ccエンジンを搭載する「PCX150」の燃費はどれくらいなのか? ツーリング想定のルートを走ってみました。
■人気の実用スクーター、燃費の良さも魅力のひとつ?
125ccクラスで大人気のスクーター、ホンダ「PCX」(=排気量125cc)の車体に、排気量を上げた150ccエンジンを搭載した「PCX150」は、自動車専用道路も利用できることでその行動半径を広げたことも魅力のひとつです。でも、気になりますよね? 約25cc排気量が大きいだけで、その違いはどうなのか? と。実用度を燃費というモノサシも使いながら再確認しました。
実走調査では、「基本的に同一ルート」「流れに合わせたペース」「急加速、急減速、急発進の3急を避ける」「車載されたトリップ、燃費計を活用する」「この中で得た結果、感想を率直に述べる」という条件のもと行ないました。
数値は、メーターに搭載される燃料消費率の表示を基準とします。
■コンパクトモデル向けに設定した走行ルート
今回のルートは、150ccの排気量、実用性を重視したスクーターということを考慮し、都内をスタート&ゴール地点として、フェリーも利用し、房総半島南端を巡りました。
都内の一般道から第三京浜道路に入り、横浜新道経由で横浜横須賀道路「佐原IC」までを高速道路区間とし、東京湾フェリー「久里浜-金谷」間の船旅気分を味わいつつ、房総半島南端エリアを周遊し、大山千枚田に立ち寄って一般道を走りながら再び金谷フェリーターミナルへ戻り、往路と同じルートでスタート地点へ戻る、という設定で測定しました。
総走行距離は280kmほどになりました。市街地、高速、ツーリング(快走路)というそれぞれのシチュエーションで、燃費はどうだったのかを見ていきましょう。
■力強いシティコミューター、市街地では快足そのもの
都内外苑周辺から外苑西通り、目黒通り、環状8号線外回りを経由して第三京浜入り口までの約14kmを計測した結果は43.1km/lでした。通勤時間帯でありながら下り線だったので、流れはよい状態でした。
スタート&ゴール地点は都内に設定
PCX150はそのサイズもさることながら、駆動系の素晴らしさに魅力があります。エンジン、CVTミッションの操作性、そしてACGスターターを備えることで、エンジン始動時の音まで質感があります。発電機たるジェネレーターに電機を流しスターターモーターとして活用するので「キュルキュル」というモーターの駆動音がありません。
アイドリングストップも装備するので、信号などで停止すると数秒後にはエンジンが停止し、発進しようとアクセルを開けると絶妙のタイミングで始動して滑らかに発進します。
PCX125のエンジンでは、エンジン停止時にブルンと振動を感じたので、150も印象としてはほぼ同等の振動でした。排気量分、増幅されるということはないようです。
走行中も無段階変速のCVTミッションを通じてエンジンの力が後輪にしっかり伝わる印象なので、ついアクセルを開け過ぎることがありません。右手と後輪がつながっているかのようです。やはり125とはトルク感が異なり、ゆとりがあります。+25ccの差は市街地でより感じる、と思いました。
帰路、同ルートをたどって戻ったのですが、第三京浜から目黒通りの目黒駅周辺までは、やや下り坂の区間が多いため燃費計は53から54km/lを指しています。排気量150ccのエンジンは、負荷が燃費に与える影響が大きいことを確認できました。
■150スクーターで高速道路、向かい風や上り坂は燃費に影響「大」
往路、第三京浜からの横浜新道経由、横浜横須賀道路「佐原IC」区間では約50kmを走行して44.3km/lという結果になりましたが、第三京浜では向かい風、「都築IC」から「港北JCT」を経て「保土ケ谷IC」付近まで上り坂もあり、その区間では燃費39.8km/lとなりました。80km/hをキープするのにアクセルを頻繁に開け閉めすることも影響したのでしょう。向かい風だったこともあり小排気量には辛い状況だったと言えます。
排気量150ccは必要にして充分とも言えますし、周囲を走るクルマの実勢速度を考えるとアンダーパワー、となるかもしれません。求める使い方によって印象が異なる部分です。高速道路での風、荒れた路面などの外因を受けても、PCX150そのものは安心のスタビリティーで不安はなかったことも報告しておきます。
■意外な発見!? 150スクーターはツーリングも楽しい!
正直、150ccクラスのスクーターでのツーリングがこれほど楽しめるとは思いませんでした。PCX125でロングツーリングをした時も感じましたが、走りにまつわる質感の高さが合わさった魅力は、バイク乗りをしっかりと楽しませてくれます。
ツーリングルートに設定した千葉県の大山千枚田にて
設定したルートの流れにもPCX150の特性にピタリとマッチしています。上り坂でパワー不足を感じず、峠道でもしっかり減速、加速、コーナリングが楽しめる。しかも途中走った舗装林道では、轍以外の部分が落ち葉で埋まり、細い線の上をなぞるように走る必要がありました。それでも、取り回し感とハンドリングが良いPCXは恐さがありません。売れるワケです。
燃費は、長い上り、長い下り坂を含む前半ルートで48.6km/l、房総半島南端エリアから海岸線沿いの平坦路を含む一部峠ルートで大山三枚田までが56.2km/l、千枚田から舗装林道のような道を抜け、峠道やアップダウンのあるルートを通って金谷のフェリーターミナルまでが51.9km/lという結果でした。
前半の緩やかなカーブで長い上りが続く区間では燃費が相対的に落ち、細かなアップダウンだった後半ではそれほど落ち込みが少ない、という印象でした。およそ150kmのツーリングを楽しみ、平均52.2km/lは立派です。この結果は以前、私(松井勉)がPCX125で出したツーリング燃費とほぼ同等なのです。PCX150の魅力、再認識できました。
■間違いナシ! さすが売れ筋、選択に悩む「125」と「150」
15年以上前、スズキ「バーグマン150」が販売されていた時、250クラスのスクーター全盛期ということもあり、国内では話題の的とはなりませんでした。いまこのPCX150というベトナム生産の世界戦略車と1日走り、その意味合いがしっかり解りました。
排気量149ccの水冷4ストロークOHC単気筒エンジンを搭載するホンダ「PCX150」のWMTCモード値は46.0km/l
■ホンダ「PCX150」燃費結果
総合評価:☆☆☆☆★(ホシ4つ)
走行距離:約280km
市街地:43.1km/l(下り坂が多い復路では約54km/l)
高速道路:44.3km/l(向かい風&上り坂では39.8km/l)
快走路:52.2km/l
※ ※ ※
125クラスの車体、150ならではのパワー、そして125並の燃費……。維持費優先でなければ、行動範囲を含めたゆとりは、どっちにしよう? と悩ませるハズです。なにせ、どちらも太鼓判捺せますから!
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