真っ赤に染まるエキパイが! カワサキ「Ninja H2/H2R」発表当時のティーザー動画を執拗に考察する
バイクのニュース / 2020年5月23日 13時0分
2014年にティーザー動画で登場を仄めかしていたカワサキ「Ninja H2/H2R」は、スーパーチャージドエンジンを搭載するカワサキ独自の新開発バイクです。登場と同時にオーナーとなった小林ゆきさんが、当時の様子を振り返ります。
■ようやくエンジン!? まだまだ続くティーザー動画!
2014年にセンセーショナルなデビューを果たしたカワサキ「Ninja H2(ニンジャ・エイチ・ツー)」。国際的なバイクショー「INTERMOT(インターモト:通称ケルンショー)」で発表される1カ月ほど前から、YouTube上で五月雨式にティーザー動画が24本も発表されていきました。ご存知でしたか?
Vol.5の動画までは「H2」の全容がまったくわからないものでした。Vol.6以降はどうだったのでしょうか。
まずタイトルは「Performance Sensation: H2」。パフォーマンス・センセーションと言っているわけですから、いよいよエンジンの全貌が明らかになるのでは、と期待が膨らみました。
ブラックアウトされた画面に浮かび上がったのは……
「Inspiration from a Kawasaki Legend:カワサキのレジェンドからのインスピレーション」
……の文言。ふむふむ、カワサキの伝説的モデルはいくつかあるわけですから、冠詞は「the」ではなく「a」なのね。
「W」なのかな……「Z」なのかな……などと思っていると、あぶり出されたのは1971年の英文記事でした。「Mach Ⅳ 750」が初めてレースで勝ったことを伝えています。続けて、当時の青い市販車の写真とともに次のテロップが。
「750SS Mach Ⅳ aka」
「aka」、つまり「also known as:別名」という意味ですね。これで、このたびのニューモデルが猛烈な加速感で知られる1971年のH2にインスピレーションを得て生まれたのだということがわかりました。
「Renowned as the world’s fastest motorcycle with incredible acceleration. H2 made a great sensation in the motorcycle industry.:驚異的な加速で世界最速のバイクとして知られる、バイク業界に大きな反響を巻き起こしたH2」
「2014 The H2 sensation is back.:H2のセンセーションが帰ってくる。」
こう畳みかけるテロップ。ま、まさか2スト? それとも3気筒? なんて思っていると、ついに聴こえてきたエキゾーストノート!
カワサキの2ストローク3気筒エンジンシリーズ=「MACH(マッハ)」第1号車となる「MACH III」(1969年)は、日本では「500-SS」の名称で販売された ※写真は英国仕様車
走行しているH2の動画なのに、手持ちのスマホで撮ったと思われるブレブレの画像。日本国内のテストコースと思われる周回路で、関係者がとりあえず撮った(という体を演出した可能性も否めない)というものでした。
さすがにその音は4ストローク4気筒の音ですが、走り抜けるマシンの速度が速すぎて全貌を見ることができません。画面を拡大してもよく見えません。大画面のテレビにつなげて観てみても、かえって画像がぶれてしまい、よくわかりません。
いや、もどかし過ぎるだろ! と思っているうちに、1分9秒の動画が終わってしまいました。
次のVol.7はVol.6の3日後、2014年9月19日に公開されました。この頃はもう、インターネットじゅう「H2」の話題で持ち切りでした。毎晩、新しいティーザーが公開されないかどうかYouTubeをチェックする日々でした。
そのタイトルは「Performance Key」。さすがに「パフォーマンスの鍵」とあればエンジンくらい見せてくれるだろうと思って再生ボタンをポチりました。
まず現れたのは川崎重工の工場の風景で、何やら大きな機械が映っています。
「Kawasaki’s vast experience with gas turbines:川崎重工のガスタービンの豊富な経験」
テロップと同時に画面右上には「2011 L30A gas turbine」という機械の名前が……なんだよ、また企業紹介かよ、と思っていると……
「includes developing the world’s most efficient gas turbine for 30 MW cogeneration system use.:30MWのコージェネレーションシステム用に世界で最も効率的なガスタービンの開発も行っています」
……やっぱり企業紹介か。30MWの単位がよくわかりませんが(メガワットかな?)、いくつかの大きなガスタービンらしきものが現れ、シネマティックな音が拡がります。
(ダダーン!)
「This technology was used in the development of a new motorcycle supercharger designed and manufactured completely in-house.:この技術を応用して、新型モーターサイクル用スーパーチャージャーを開発し、完全自社生産しました」
このとき思い出しました。2013年の東京モーターショーでひっそり発表されていたバイク用スーパーチャージャーのエンジンのことを。あれを本当に載せてしまうのか!?
そして浮かび上がる赤いアンモナイトのような物体……
「Supercharged supersport debut:スーパーチャージャーのスーパースポーツ、デビュー」
……そして、アンモナイトがなんか吸い込んでいる……! またしてもわずか57秒の動画で「H2」の全貌がなかなか明らかになりません。
次の動画「Vol.8 Engine Test:エンジンテスト」が公開されたのは、Vol.7公開から少し間隔が空いて6日後の9月24日でした。
エンジンがかかっている状態で、エンジンのどこかの部位がぶるぶる震えています。
「Warmed up enough?:十分に暖まった?」
なんとも挑戦的に感じるテロップが流れたあと……エキパイが真っ赤になっていく! そして、31秒で動画が終わってしまった!
なんともじれったいエンジンテスト動画の2日後、「Vol.9 Aerodynamic Devices:空力装置」の動画が公開されました。
相変わらずディティールを切り取るばかりで、どの部位かよくわからないイメージ動画ですが、いま思えばこれ、「H2」ではなく「H2R」なんですよね。カーボンの織り目が見えています。
「For a new speed experience:新たなるスピード体験のために」
いよいよ全容が明らかになるのか……!? と画面を凝視しているうちに、またしても「H2」のロゴやらINTERMOTのお知らせやらが出て1分8秒の動画が終わってしまいました。
いったい、いつになれば「H2」が見られるのか? 根比べのような状況はまだまだ続きました(つづく)。
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