2019年度二輪車市場動向調査 新車購入者にみる変化とは
バイクのニュース / 2020年6月6日 13時0分
一般社団法人日本自動車工業会(自工会)は、「2019年度 二輪車市場動向調査」を実施し、2019年の結果を公表しました。今回の結果からはどのような情報が読み取れるのでしょうか。
■若い世界は中古車市場へシフトか?
一般社団法人日本自動車工業会(以下:自工会)は、「2019年度 二輪車市場動向調査」を実施し、結果を発表しました。この調査は隔年で実施しているもので、二輪車を新車で購入した人の属性や使用状況などを把握する「新車購入ユーザー調査」と、市場活性化のヒントを探る「トピック調査」との2本立てで構成されています。
「新車購入ユーザー調査」は、過去からおおむね同じ設問を続けているため、新車購入者の特徴や使用実態の変化などを読み取ることができますが、今回の調査によると二輪車を新車で購入した人の平均年齢は54.7歳で、前回の2017年度調査から2歳上昇しました。
世代構成率を見ると最大ボリュームゾーンは「50代」の30%で、次いで「60代」が26%。「70代以上」も12%を含め、二輪車の新車購入は、50代以上が全体の68%を占めています。
また、近年の二輪車販売は、原付一種(~50cc)が減少傾向にありますが、原付二種(51~125cc)は横ばい、軽二輪(126cc~250cc)と小型二輪(251cc~)は微増傾向にあります。
それを踏まえて“排気量×タイプ別”で世代構成率を見ると、近年売れている「126~250ccオンロードタイプ」は、50代が30%(前回から8%増)、60代が20%(同6%増)となり、いわゆる1980年代の“バイクブーム世代”が、新車の軽二輪スポーツに回帰してきているものと推察できます。
なお、この傾向は、製品価格の高い「401cc~オンロードタイプ」ではより顕著で、50代が48%(前回から8%増)、60代が20%(同9%増)という結果になっています。
一方、新車を購入した「40代」の構成率は、今回17%(前回から3%減)。30代以下は合わせて12%(同6%減)となっていますが、これは単純に“若者のバイク離れ”の影響だけではなく、若い世代が中古車市場へシフトしている可能性も推測されます。
■軽二輪スポーツのヘビーユーザーが増加
2019年度調査にみる新車購入ユーザーの週間使用日数は、全体平均で3.7日で前回調査から0.2日減少しています。これに伴って、新車購入ユーザーの月間走行距離は、全体平均239kmで、前回調査から26km減少。
週間使用日数と月間走行距離
これを“排気量×タイプ別”で見ると、とくに「126~250cc オンロードタイプ」では、週間使用日数が調査回ごとに減少しているなか、月間走行距離が300kmを超す“ヘビーユーザー”の構成比は減っておらず、ツーリングなどでの長距離走行は減っていないものと考えられます。近年の二輪車市場において、趣味性の高い軽二輪スポーツの人気が反映された変化・傾向といえそうです。
■新車への満足度は期待度を越える!?
「新車購入ユーザー調査」では、購入した新車に対し、事前に抱いた期待度と、使用した後の満足度について、さまざまな項目ごとに比較しています。
期待度が最も高い項目は「燃費がよい」で、全体の72%から期待されています。続いて「自転車に比べて楽に移動できる」69%、「身軽に動ける」63%、「維持費が安い」60%、「交通の不便さが解消できる」55%などとなりました。
購入した新車(二輪車全体)への期待度と満足度の比較
こうした事前の期待に対して、使用してからの満足度との“差”に注目してみると、じつにすべての項目で満足度が上回っています。とくに差が大きかったのは、「スピード感を楽しめる」が、期待度35%⇒満足度46%(11%プラス)でトップ。「乗っていて爽快感を味わえる」が期待度52%⇒満足度60%(8%プラス)、「交通渋滞に巻き込まれなくてすむ」が期待度48%⇒満足度56%(8%プラス)という結果に。
一方、差が小さかったのは、「身軽に動ける」期待度63%⇒満足度64%(1%プラス)、「駐車スペースを気にしなくてよい」期待度42%⇒満足度43%(1%プラス)、「維持費が安い」期待度60%⇒満足度62%(2%プラス)などとなりました。
そのほか、今回の調査では二輪車を取り巻く周辺(施設やインフラ、制度など)に関して、二輪車ユーザーが何を期待しているかも明らかにしています。その結果を見ると、「二輪専用駐車場の整備拡大」と、「任意保険料の低料金化」への期待が最も多く、全体の45%が改善を求めています。
ほかにも、「原付免許での運転可能排気量の拡大(125ccまで)」35%、「高速道路の低料金化」35%、「二輪車駐車場の低料金化」26%、「二輪車走行禁止区間の廃止」25%など、制度の見直しへの期待は大きいことがわかります。
2020年度は新型コロナウイルスの影響により、バイクでの移動の利便性、安全性もみなおされているため、今後どのような推移を見せるのか、注目したいところです。
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