ニッチな職業バイクタレントの「アイタタタ」体験 バイクで転んだ経験とおもひで【後編】

バイクタレントとして活躍する岸田彩美さんは、過去にバイクでいくつかの「アイタタタ」経験をしてきました。今回はホンダ「CRF1000アフリカツイン」での思い出を綴ってくれました。

■忘れもしない“おばちゃん事件”

　こんにちは。バイクタレントの岸田彩美です。今回もアイタタタ……な思い出を振り返りながらお話してみようと思います。

　今回の主役、ホンダ「CRF1000 Africa Twin（アフリカツイン）は、とにかく大きく車高が高く、強風の時に信号待ちをしていると煽られてしまいそうな程に巨大なデュアルパーパスモデルのバイクです。

　シートの高さを一番低い位置にしても足がツンツンで、最初の時は靴も厚みがあるブーツを履いて乗っていましたよ！　でも思い入れもあり、運転するのも苦労した経験もあって、大好きなバイクの一つです。デザインもイケてますしね♪

　今は卒業しましたが、週刊バイクTVのアシスタントを務めるようになってまだ２か月ほどの超ピヨピヨな時期に、アフリカツインでツーリングロケがありました。2016年の６月頃だったと思います。

　そう、そこで忘れもしない、名付けて“おばちゃん事件”が起きました。

　その時は伊豆方面にロケへ行き、順調に撮影が進んでいました。ロケをする道は傾斜がきつく細い道が多かったので、十分に気を付けながら走っていました。

　とある上り坂を上り、大きな道路に出る手前に歩道があり、一時停止しました。ここも結構な傾斜のある上り坂だったので内心ヒヤヒヤしていました。

　歩道にはおばちゃんがいたので、「お先にどうぞ」とジェスチャーで譲ります。

　すると優しいおばちゃんは、「あなたが先にどうぞ」とジェスチャーで合図をしてくれたのですが、やはり私としては先に行ってもらいたかったので「どうぞ」ともう一度ジェスチャー。おばちゃんも改めて「お先にどうぞ」とジェスチャーをいただき、じゃあさすがに行こうかなとアクセルをゆっくりあけはじめたら・・・なんとおばちゃん歩き始めてしまい、あわててブレーキをしたのですが、坂道の途中で止るのも難しい上にバイクも高さがあって、上手く足が付けず…そのままパッタリと倒れてしまったのでした。もちろんおばちゃんは無事でしたよ！

　共演者の方もすぐに飛んできてくれて、近くにいた工事現場の方も来てくれて、皆で引き起こしをしました。本当に毎度毎度色んな方々に助けてもらって申し訳ないです……。

　このときは膝の内側にあざが出来ただけで済みました（奇跡）とっさに足を挟むまいと体が動いたので助かりました。

　この事件後は、とにかく何が何でも歩行者に行ってもらう事を徹底するようになりました。もちろん、おばちゃんは一ミリも悪くありません、お互いを思いやって譲り合った結果こうなってしまったのです。しかし状況次第では、おばちゃんにケガをさせてしまっていたかもしれません。私は断固としてどんなに相手が譲ってくれたとしても歩行者優先を今後も貫きたいと思います。

　仕事でお借りしているバイクで転んでしまうなんてもっての外です。本当に本当にごめんなさい。深く反省すると共に、この経験を含め、活かさなければいけないと思いました。そのためには今回のようにお伝えする必要がありました。

■もう転ばないためにトライアルで練習

　もう転ばない為に、バランス感覚やバイクの操作をもっと上手くなる為に、トライアルバイクの練習をはじめました。指一本でコントロールするブレーキの使い方も勉強になります。

トライアルバイクの練習に励むバイクタレントの岸田彩美さん

　また、交通安全の知識をもっとつけて、発信しようと考えました。私個人のSNSでは、交通ルールやマナーであったり、交通事故のことを発信していますが、これは私の今までの経験があったからこそです。

　幸い人を巻き込んだり、怪我をさせたりすることが無かったことは不幸中の幸いだと思います。しかし「バイクは楽しい乗り物である、しかし時には人を傷つける乗り物である」このことを忘れてはいけないと思います。
　
　バイクだけではない、車も自転車もそうです。掘り下げれば歩行者だってそうです。道路は皆で使うものですからルールがあります。そのルールをしっかり守ること・理解することが交通安全への第一歩につながるのです。

　３回に渡ってお届けした痛い経験を読んでいただき“こんなことがあるなら気をつけなきゃ”と思ってくれる人が一人でもいれば私としては万々歳なのです。

　どうか気を緩めず、引き続き楽しいバイクライフを送っていきましょうね！　最後までご覧いただきありがとうございました。