マクドナルドも配達業務に採用する電動3輪車 aidea「AAカーゴ」に最速試乗!!
バイクのニュース / 2020年6月19日 13時0分
電動スクーターの新ブランド『aidea(アイディア)』が、ビジネス向けスリーホイーラーを発売し、マクドナルドも配達業務に採用することがわかりました。EVバイクの試乗経験が豊富なモーターサイクルジャーナリスト青木タカオが、いち早く乗ってみます!!
■フルチャージは200V普通充電器で3時間
2019年秋の東京モーターショーで登場した『aidea(アイディア)』は、イタリアの『ADIVA (アディバ)』を前身とする新モビリティブランド。神奈川県相模原市に国内生産工場を持ち、その量産第1号モデルとなるのが、6月15日に新発売した電動3輪スクーター『アイディア A-Aカーゴ』です。
早速、筆者(青木タカオ)も乗ってみましたが、ゼロ発進が力強く、加速性能に優れるのは電動モデルならでは。車輪が1つ増えても変わりません。むしろ安定感が増し、発進時に大きな駆動力をかけてもスリップの心配はありませんし、バッテリーの積載スペースでも有利。スリーホイーラーと電動の相性は、良好と言っていいでしょう。
ラインナップは原付1種モデルの『AAカーゴα4』(87万7800円税込み)と、原付2種の『AAカーゴβ4』(90万900円税込み)の2本立てで、今回乗ったのは「α4」。アクセルを開けた途端にモーターが大きなトルクを発生し、スムーズにダッシュしていき、制限速度30km/hにあっという間に達してしまいます。
ブラシレスDCモーターは車輪に直結して駆動する、いわゆるイン・ホイール・モーター。aidea株式会社の担当者によると、「α4」と「β4」で出力制御はもちろん、モーター自体も動力性能が異なるとのこと。減速時の回生も若干おこなっていて、満充電での航続距離は最大80km。走行中は絶えずバッテリー残量が目視できます。
充電はシート下に専用ケーブルを積んでいて、200V電源でおこないます。電動バイクによく見られるバッテリー脱着式ではなく、バッテリーは車体に搭載されたまま。ハンドル下に充電コネクターがあり、EV国際規格J1772なので四輪車用200V普通充電器を使うことも可能で、フル充電はおよそ3時間です。
■前後13インチの足まわりで安定感ある走り
足まわりは前後13インチで、ライバルとなるガソリンエンジン搭載の屋根付き3輪車『ジャイロキャノピー』(フロント12/リヤ8インチ)よりも大径のホイールを採用。左右独立懸架のリアサスペンションで、悪路や段差でも安定感ある走りを実現しています。
慣れてくると、信号待ちで足をつかずに停まっていました。バランスを意識するのは、停止時より歩くようなスピードの極低速時で、走り出す瞬間にグラっと重さをフロントだけで受け止めてしまうことにならないよう加速させるとすぐに安定します。
垂直と前後を固定できるロールロックレバー。バック時にも便利な装備です
秀逸なのは、車両の左右方向の動きを規制し、垂直の状態に固定するロールロックレバーと、前後方向を固定するパーキングレバーを2本に分けてハンドル中央部に装備し、それぞれ別々に使えることです。スタンドは一切なく、停止時には2本のレバーを引くことで、車体を直立状態に固定します。
リバース機能があり、ハンドル右のスイッチを押しながらスロットルを回すと、モーターが逆回転し、車両が後退しますが、ロールロックレバーを引いたままバックすると車体がぶれません。足をつかずともビシッとバックできてしまうので、取り回しがとてもイージーです。
■業務用として理想的
リヤまわりはラゲッジボックスを備えることを想定した大きな積載スペースがあり、運転席はコンパクト。着座位置が前寄りに設定され、荷物を運ぶ業務用に開発されていることがわかります。最大積載量は100kgと頼もしく、重量物を積んで坂道を登るシチュエーションでも音を上げない登板力を持ち合わせます。
屋根で覆われた運転席は安心感があって、バイクに不慣れな人も乗りやすいかもしれません。「α4」はクルマの免許でも乗れるので、企業は導入しやすいでしょう。ウインドスクリーンには雨天時用のワイパー(ウォッシャー液も出る)、グローブボックス上部にはスマートフォンなどのポータブルデバイスの充電ができるUSBポートを2つ備え、機能性も充実しています。
また、ビジネスを支えるEVならではのメリットは経済性にもあります。アイディアによると走行1kmあたりのコストは『AAカーゴ』は1.3円と、ガソリンエンジン車の4.3円を大きく凌ぎます。
■エネルギーの売価
ガソリンエンジン車:1L=130円
AAカーゴ:電気1kWh=26円
■燃費・電費
ガソリンエンジン車:30km/L
AAカーゴ:30km/1kWh
■走行1kmあたりのコスト
ガソリンエンジン車:130÷30=4.3円
AAカーゴ:26÷20=1.3円
車両を構成する部品も少なく、エンジンオイル交換など定期的なメンテナンスの必要性がないことも大きな強みとなりそうです。
■デザイナーはビモータも手掛けるあの人!!
そして、やたらとスタイリッシュなのは、2019年に発表された『ビモータTESI H2』も手掛けたクラウディオ・ザンキーニさんをデザイナーに起用しているから納得せざるを得ません。伝統とモダンが融合されたイタリアンデザインは、2018年に同型車『ADIVA AD-Cargo』がグッドデザイン賞を受賞。ビジネス用とはいえ、見た目がいいのも大きな魅力と言えるでしょう。
『ビモータTESI H2』も手掛けたクラウディオ・ザンキーニさんをデザイナーに起用
音が静かで匂いも少ないので、食品を扱う場所や倉庫などの屋内施設でも使用できることから、「多くの企業様から問い合わせをいただいております」と、担当者は言います。また、4kWhと容量が大きいバッテリーは蓄電池としても利用可能で、「バイクならではの機動性を活かし、移動できる電源として屋外イベントや災害時にも役立ちます」とも。いろいろな可能性があり、AAカーゴの活躍の場は配達業務に限られないでしょう。
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