バックカメラ搭載で360°視界を実現したクロスヘルメットX1 実際の使い勝手は?
バイクのニュース / 2020年7月14日 11時0分
あたらしいものや体験を応援購入できる「Makuake」で5月20日より応募を開始した「CrossHelmet(クロスヘルメット)X1」が目標金額を大きく上回る応援購入総額を記しています。実際に、その実力を検証してみました。
■革新的な技術のヘルメット、その使い勝手は?
株式会社Borderless(ボーダレス)が開発した「CrossHelmet(クロスヘルメット)X1」は、リアカメラとヘッドアップディスプレイ(HUD)の搭載により360°視界を実現した画期的なヘルメットです。
5月20日から、あたらしいものや体験を応援購入できる「Makuake」で応募を開始し、すでに目標を大きく上回る金額が集まっていますが、実際の使用感はどうなっているのでしょうか。
クロスヘルメットX1を使用する際は、まず充電をすることから始めます。開発チームのリーダー、大野新さんによると満充電までは3時間ほどの時間が掛かるとのことですが、実際に充電してみると、ほぼ誤差なく充電が完了します。
いざ充電が済んだら、被る前に左耳の下にある電源を入れシェルに仕込まれたLEDライトの光りを確認。ヘッドアップディスプレイの起動までは約30秒程度かかりますが、被ってアゴ紐を締める時間でちょうど起動するイメージです。
また、クロスヘルメットX1は、被る前、または被った後にスマートフォンとBluetoothでペアリングすることで、スマートフォン上の音声を聞くこともできる上、シールドの支点であるシェル左耳部分のタッチパネルで音量調整も可能となっています。
■クリアな映像で後方を確認
筆者(バイクのニュース編集部)は通常、ショウエイ製のフルフェイス(Sサイズ)を愛用していますが、今回のインプレでは同様にSサイズを着用。正直なところ、そのフィット感は既存のヘルメットよりもルーズです。これは、開発の狙いの一つである「窮屈感」を解消するためとのことですが、筆者と同じくテストを行った人の中にはルーズすぎるという声もあるようで、大野さんいわく、今後はフィット感を求める人のために内部のパッドの開発も行いたいとのことです。
「CrossHelmet(クロスヘルメット)X1」のヘッドアップディスプレイ。実際に着用した際にも邪魔にならない絶妙な位置に配置されています
さて、いよいよヘッドアップディスプレイで後方の映像を見てみましょう。ヘッドアップディスプレイは横幅約7cm程度で眉間のあたりに存在しています。被る前は視界の妨げになってしまわないか不安でしたが、実際は思った以上に気になりません。
ヘッドアップディスプレイを前後に動かし、ヘルメット全体を動かし角度を調整するとわずかに上方に視線を送ることで後方の様子が確認できます。雰囲気としては四輪のルームミラーに近い感覚といえるでしょう。
■いざ路上に!
早速、路上で使用してみると、これまでに無い物珍しさでついついヘッドアップディスプレイを見すぎてしまいます。映像はかなりクリアで、夜間の使用でも後方からいい角度でヘッドライトが当たらない限りは鮮明な映像が流れます。
1週間ほど利用しましたが、わずかな視線での後方確認はたしかに楽ですが、真価を発揮したのは風を強く受ける高速道路です。ちなみに、大野さんいわく、クロスヘルメットX1は「振り向かない」ことを前提にデザインしているため、正面からの風をキレイに受け流すことが可能な反面、横の面積が広いため振り向いた際には風の影響を強く受けてしまうといいますが、まさにその言葉とおりの特性を感じることが出来ました。
雨天でも使用してみましたが、こちらのシチュエーションでも視界は良好でした。防水面においても一般的な雨天時の使用程度は可能とのことですので、よほどの荒れた天候時意外でも問題ないでしょう。また、稼働時間に関してもボーダレスの発表(4~6時間)のとおり、5時間弱の利用が可能でした。通勤やショートツーリングにも耐えられる十分な稼働時間といえるでしょう。
また、こだわりの一つである音声機能についても及第点で、はっきりと音声を聞き取ることが出来ますが、極稀に風切り音がすることもありました。大野さんいわく、こうした点もまだまだ進化の余地はあるとのことです。
ちなみにクロスヘルメットX1の重量は1920gとシステムヘルメットよりも少し重くなっていますが、2時間程度被ってもそこまで重さを感じることはありませんでした。
■将来的にはレコーダー機能も
クロスヘルメットの応援購入を行うMakuakeによると、「達成できるレベルより少し高めの目標」であるストレッチゴールとして、キャンペーンへの支援総額が1億円に到達した場合には、クロスヘルメット X1オリジナル外付けバッテリー(10,000mAh)もプレゼントされるとのことですが、大野さんへクロスヘルメットX1の今後の展開について伺ったところ、次のように話してくれました。
「すでに利用して頂いている方からは、近年のあおり運転の影響もあってかレコーダー機能の追加を望まれる方もいます。じつはカメラの性能的には録画することも十分に可能で、ソフトウエアや記録用のSDカードなどの追加で対応も可能です。
「CrossHelmet(クロスヘルメット)X1」開発リーダーの大野新さん
現状としてはまだ動き出してはいませんが、将来的にはそうした拡張機能を追加することで、より多くの方に使用していただき、安全なライディングに貢献できればと考えています」。
※ ※ ※
長年に渡り両サイドのミラーと目視という癖が着いているため、筆者もクロスヘルメットX1の性能をフルに使いこなせたとは言えないかもしれませんが、今後はカメラとヘッドアップディスプレイの技術を既存のヘルメットへ転用する案などもあるとのことです。
こうした新しい技術や取り組みに賛否はつきものですが、安全性に寄与するこうした技術がどのように進化し、浸透していくのか、期待したいところです。
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