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the「燃費」鼓動感あふれる745cc直列2気筒エンジン搭載 DCTを装備するホンダ「X-ADV」の実力は!?

バイクのニュース / 2020年7月25日 11時0分

ホンダ「X-ADV」は、アドベンチャーモデルの力強さとクラッチ操作不要のコミューターの利便性を両立させたモデルです。常用域を優先して開発されたエンジンの、実際の燃費はどうなのでしょうか?

■排気量745ccとDCT装備が見せる機敏さは、燃費にどう影響する?

 アドベンチャーバイクという個性を持つホンダ「X-ADV」の特徴は、排気量745ccの直列2気筒エンジンとDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を組み合わせたスクータースタイルにあります。

 このパワーユニットは、2012年にデビューした「NC」シリーズ向けに開発されたものがルーツです。ヨーロッパなどでバイクユーザーに行なった走行状態調査によると、最高速は90%が140km/h程度、使用するエンジン回転数の上限は80%のユーザーが6000rpmほどだったと言います。

 エンジン開発の柱としてある性能、そのモノサシに最高速や最大出力、高回転などがありますが、カタログスペックと日常がそれほどリンクしていないことが判明したのです。ならば日常性を優先にして「低燃費」性能も付帯することで、新価値創造ができないか? そこにホンダは挑戦し、スーパースポーツバイクとは対極の、バイク用エンジンとしてはエポックメイキングなパワーユニットを生み出したのです。

 このエンジンがデビューした当時、650cc程度だった排気量は現在745ccに拡大され、最大出力は40kW/6250rpm、最大トルクは68N・m/4750rpmと、まさに常用域ベストなスペックとなっています。その燃費性能は、国土交通省届出値:定地燃費値で2人乗り60km/h走行で40km/lとなっており、WMTCモード値ではクラス3-2に区分され、燃費は27km/lとなっています。

 燃費性能を重視したエンジンを搭載する「X-ADV」ですが、実際の道ではどうなのでしょうか。

■市街地では23.9km/lをマーク、ヤマハ「TMAX560」より排気量で有利な結果に

 市街地は「X-ADV」が本来最も得意とする場面、ライダーはアクセルとブレーキ操作だけに集中することで、スクーター同様、周囲への注意を振り向ける余裕がでます。

都会ではスタイリッシュなシティコミューターとしてもシーンにマッチするデザイン

 ルートはいつものように、都内の神宮外苑周辺をスタートし、国道246号線で青山、赤坂、皇居、銀座と抜け、晴海方向へ。以前テストしたヤマハ「TMAX」同様のライディングが可能でありつつ、排気量が大きい分、信号からのスタートもモリモリ感ある低速トルクで2000rpm回るかどうか、というあたりからグイグイ加速します。速い。

 ついついその加速に酔いしれることになるのですが、AT変速の「D」モードで走っていると、流れに合わせていても4速キープになることが多く、5速にシフトアップしません。加速とエンジンブレーキにダイレクト感があって良いのですが、燃費的には少し気になるところ。

 そこで、「MT」モードで手動シフトに切り替えてみます。5速走行は問題無く、58km/hで6速へのシフトも可能になりますが、市街地で60km/hキープは現実的ではなく、事実上5速上限での走行となりました。

情報量満載の多機能メーター。燃費調査では車載される平均燃費計、トリップメーターの距離を反映

 距離12.2kmのテストルートで、平均燃費計は23.9km/lを示します(ヤマハ「TMAX」では20.4km/lをマーク)。参考までに別のルートで似たような交通状況のなか、18.3kmをDモードで走行した場合、平均燃費は22.2km/lでした。その間、平均燃費計の推移を見ると、4速までのシフトスケジュールでも大きく燃費が落ち込むワケではなく、数値が落ち込んだのは、むしろ信号待ちでのアイドリング時間が多かったためという印象です。

■高速道路巡航でもナルホド低燃費、燃料タンク容量にもナットク

 排気量750cc(ナナハン)だと考えれば、結果はハナマルです。テストルートは木更津エリアで撮影を済ませ、アクアライン連絡道「袖ケ浦IC」から館山道「富浦IC」まで。この往路区間53.7kmは、制限速度が80km/hから100km/hへ、また80km/hとなって70km/hへと変化します。この道を流れに合わせて走り、31.2km/lを記録しました。

 復路となる館山道「富津中央IC」からアクアライン連絡道「木更津金田IC」までの25.3kmは、制限速度が100km/hから80km/hとなる道で、往路復路ともアップダウンの多い区間です。復路は30.8km/lと概ね同等の数値となりました。

 容量13リットルの燃料タンクは「小ぶりかな?」と思いましたが、この燃費性能を考えたら、必要にして充分なことが確認できました。

■快走路では250クラス並の燃費に驚く

 高速道路での燃費を考えると、ツーリングシーンの燃費にも期待が高まります。ルートはいつものように、館山道「富浦IC」出口から房総半島南端エリアまでをセクター1とし、セクター2が南端エリアから大山千枚田まで、セクター3を大山千枚田から館山道「富津中央IC」までとし、燃費ログをとります。

実際の燃費はどうなのか? ホンダ「X-ADV」で快走路を走る筆者(松井勉)

 どのセクターにも共通するのは、房総半島の中央部を南北に抜ける道で、信号が少なく、アップダウンが多く存在することです。こうした道で「X-ADV」はエンジンの鼓動感を楽しみながら走行できました。

 セクター1の22kmを35.6km/l、セクター2の38.8kmを36km/l、セクター3の26.6kmでも34.8km/lと、250クラスのような数値に驚きます。低い回転でトルクフルなエンジン特性と鼓動感を楽しめるため、回転を低く抑えて走っても、全く不満のないライディングが出来るところがこのエンジンのオモシロさです。

 ツーリングシーンを想定した快走路、平均で35.5km/lは、やはりナナハン、240kgの車重を考えるとこの結果にも驚くばかり。

■各区間燃費の総合結果、178.6kmで32km/lをマーク

 結論から言えば、燃費性能に関してはお見事の一言です。

いつものツーリング想定の計測ルートを走り終え、ゴール地点の千葉県木更津に到着

■ホンダ「X-ADV」燃費結果
総合評価:☆☆☆☆★(ホシ4つ)
総走行距離:178.6km
市街地:23.9km/l
高速道路:31km/l
快走路:35.5km/l

※ ※ ※

 ホンダ「X-ADV」は、攻めのイメージを持つ外観と、内包する優しさの両面を楽しめるバイクでした。このキャラ、アリです。

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