クリアからスモークへ無段階で色の濃さが変わる!! SHOEI「フォトクロミックシールド」を使ってみた
バイクのニュース / 2020年8月4日 11時0分
ヘルメットメーカー「SHOEI」は、紫外線の量に応じて自動的に色が変わる「フォトクロミックシールド」を展開しています。実際に使ってみました。
■ライダーの手間を解消!! 紫外線の量に応じて自動的にシールドの濃さが変化
ヘルメットのシールドはクリア派? それともスモーク派? それぞれ好みやこだわりがあると思いますが「日中の日差しがまぶしいときはスモークで、夜はクリアがいい」と思ったことはありませんか? ツーリングで早朝出発して夜遅くに帰ってくる、バイク通勤で朝家を出て夜会社から帰ってくる、という場合など、そう考えることがあるのではないでしょうか。
そんな時、かつてはクリアとスモーク、2つのシールドを準備して、その都度付け替えるか、常にクリアを装着し、昼間はヘルメットの中でサングラスをかける、ということもありました。これがけっこう面倒だということで、最近ではサンバイザーを内蔵したヘルメットも増えてきました。しかしそのラインナップは限られますし、どうしても機構が複雑になるため帽体が大きめになるなど、気になる点もあります。
そんなシールドのチョイスに悩むライダーの問題を一気に解決してくれる、すごいアイテムがあったのです。それが、SHOEIの「フォトクロミックシールド」です。何がすごいかって、紫外線の量に応じて濃度が変化する、調光機能のあるシールドなのです。
紫外線が当たることによって化学変化で発色するので、日差しの強い日中は濃いスモークに、曇りの日や太陽が登りきらない早朝、日暮れ前などは薄いスモーク、そして夜間はクリアという具合に、無段階で自動的に濃さが変化するという、まるで魔法のような画期的な商品なのです。
その実力はどれほどのものなのか? 早速試してみました。まずは直射日光の当たらない室内に置いてみると、純正のクリアシールドとほぼ見分けがつかないほど、色はついていません。そこで窓際に持って行くと……あれ? 色が変わりません。おかしいなと思いながらカメラの準備をしてふと見ると、シールドの色がかなり濃くなっていました。
直射日光の入らない室内で比較。写真手前がフォトクロミックシールドで奥がクリアシールド。色の差はほとんどわからない
内蔵式のインナーバイザーだと、レバー操作でシャキンとスモークバイザーが下りてきてサッと眩しさを防いでくれます。それに対してフォトクロミックシールドの場合はすぐに色が変化するのではなく、1分ぐらいかけてゆっくり濃くなっていく感じです。例えるならテレビのクイズ番組で、映像がじわじわ変化していき「どこが変わったでしょうか?」なんて問題を見ている感じに近い印象です。
では実際に、バイクに乗って走るとどんな感じでしょうか。愛用のフルフェイスSHOEI「Z-7」に装着し、路上に繰り出してみました。
スタートは午後2時くらいでしたが、梅雨明け間近の時期のため紫外線が強いらしく、玄関でかぶった時にはクリアだったのが、外に出てバイクを押している間にすぐ濃くなっていました。バックミラーに顔を近づけるとうっすら目鼻は見えますが、遠目から写真を撮ると、完全に濃いスモークになっています。
外から見ると暗くても、中からの視界はとても明るく、外界の見え方に全く違和感はありません。もちろん、歪みやにじみもなく、視界は良好です。
シールドの色が濃くなった状態でのヘルメット内側からの視界。暗い感じはせず運転しやすい。比較のためシールドを少し開けて撮影
トンネルに入ってもすぐに色が薄くなるわけではありませんが、視界は明るく保たれ、周囲もよく見えるので目が疲れることもありません。このあたり、非常に高い技術力を感じます。
雲間から太陽が顔を出したので仰ぎ見てみると、「Z-7」純正のスモークシールドや、いつもかぶっている「J-Cruise II」のインナーバイザーを通して見た時よりも、若干眩しく感じました。
スモークシールドが物理的に光線を遮っているのに対して、フォトクロミックシールドは、例えばアプリなどで間接的に明るさを下げている感じです(あくまでイメージです)。もっとも、あえて比べればそう感じる、という範囲なので、実用上は十分眩しさを軽減してくれるものでした。
夕方、まだ十分明るい時間帯に、葉の茂る大きな木の下で休憩した際に見ると、いつの間にかシールドの色がほぼクリアになっていました。きっと少しずつ色が薄くなっていったのでしょう。その変化には全く気が付かず、魔法にかけられたような感じです。
SHOEIのフォトクロミックシールドは、実用性十分どころか、これ1枚でいつ乗っても快適で良好な視界を提供してくれる、夢のシールドでした。この便利さは一度経験すると手放せなくなりそうです。
値段がスモークミラーレンズの倍(税抜1万8000円)するところがハードルを高くしていますが、先進技術のすごさを実感できると思えば、むしろお得かもしれません。
午後5時頃、木陰に入って自撮りをしてみると、いつの間にかかなりクリアな状態に。かぶり続けていると、その変化には全く気付かない。とてもナチュラルに色が変わる
対応ヘルメットは、現在「Z-7」「X-Fourteen」「RYD」「HORNET ADV」「J・O」「EX-ZERO」となっています。SHOEIヘルメットを愛用している人は、検討してみるのも良いかもしれません。
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