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バイクの免許を免許試験場の一発試験で取ってみた(準備編)

バイクのニュース / 2020年8月14日 11時0分

免許を取る方法として、教習所のほかにいわゆる一発試験があります。かつては大型バイクに乗るには一発試験を受けるしかなかった時代もありましたが、今は教習所ですべて取れる時代です。そんな令和の今、あえて試験場での免許取得にチャンレンジしました。

■免許ナシから2万2300円で400ccまでの普通自動二輪免許を取ることは一応可能

 バイクに乗るには当然のことながら免許が必要です。免許を取るには一般的には教習所に通って取ることになりますが、現在持っている免許の種類や取得するバイクの免許の種類よって費用は異なります。例えば何も免許を持っていない状態で普通自動二輪免許を取るには15万円以上かかり、何日も教習所に通わなくてはなりません。

 そこで別の選択肢として考えられるのが警察の で試験を受けるいわゆる「一発試験」です。もし、本当に普通自動二輪免許に1回で合格したなら費用を2万2300円(東京都の場合)まで抑えることができます。

 しかし、実際にはそううまくいきません。一回で合格することは制度上可能ですが、聞くところでは早い人で2~3回かかり、10回以上受けることも珍しくありません。仮に10回目で合格したとしても5万8750円なので教習所よりも安いです。

 バイクの免許は原付を除けば6種類がありますが、そのうちの最も手軽な普通自動二輪 小型AT限定だとしたら、試験に受かりやすいかもしれません。

 そこでバイクの所有経験が過去にも全くなく、ほぼ未経験の筆者(正田拓也)があえて小型AT限定免許を試験場で取得することに挑戦してみました。4輪の免許などを持っているので学科試験は免除、技能試験の合格と取得者講習で免許を取得できます。もし1回で合格するような奇跡があれば技能試験が4050円、取得時講習が1万2000円、免許交付手数料が2050円の合計1万8100円で免許が取れてしまう計算になります。

 1回で合格は絶対に無理としても5回で合格すれば3万4300円。10回で合格なら5万4550円。教習所では6~10万円かかることを考えればまだ安いです。AT小型限定ならば、試験車両は125ccのスクーター。原付に乗ったことがあれば大丈夫と言われ、バイク経験値がほぼない筆者でも突破できそうです。

■試験は1カ月先、不合格を繰り返せば何カ月もかかることが確定

 試験場で受けると決まれば、まずは自分の免許を確認します。全く運転免許がないか原付か小型特殊しか持ってないなら学科試験の受験が必要です。それ以上の免許を持っていれば学科試験は免除です。

 学科試験からスタートする場合は、通常は予約なしに試験実施日の受付時間内に運転免許試験場に行けば受けられます。その日のうちに合否がわかり、合格なら技能試験を別日に予約してからが実技試験のスタートとなります。学科試験免除の条件を満たしていた場合は、まずは技能試験を実施している運転免許試験場に出向いて試験の予約からはじめます。

 運転免許試験場は居住地によって違い、東京都なら鮫洲か府中、神奈川県なら二俣川、千葉県は幕張、埼玉県は鴻巣などになり、一度は免許の更新手続きで行ったことがある方もいるかもしれません。免許試験場や免許センターと称する施設が複数ある都道府県もありますが、技能試験を実施しているところは少なく、東京を除けば各県1カ所というところが多いため、どこに行けば試験を受けられるかは事前に確認が必要です。

 そして、予約に行ってみて分かることですが、技能試験の予約は思い通りにはいきません。混雑していれば試験はかなり先になってしまうからです。

 筆者の場合、申込みは2019年9月初旬。そこでいきなり技能試験が10月中旬までちょうどいい空きがないことを知らされます。もう少し早い日程もあったのですが、予定が合わないために10月中旬に決定です。筆者は比較的スケジュールを空けやすいですが、筆者よりも平日のスケジュール調整が難しい人なら試験日はもっと先になってしまうかもしれません。予約は1回分だけなので不合格を繰り返していけばこの日数が不合格の回数分だけかかり、10回受験するなら講習まで入れて1年以上かかる場合もあることになります。

 筆者が何回も受験していくなかでは、予約をしたものの都合が悪くなってしまい、日程変更をしたこともあります。しかし、その場合は改めて予約するため、試験と試験の間が2カ月ほど空いてしまったこともありました。また、反対にちょうど空きが出て試験の翌々日に次の試験を受けられたこともありました。

 教習所の場合は入所から卒検合格まで免種によって9カ月以内という期限がありますが、一発試験にはそういうものがありません。バイクの場合は仮免許もないので最初に受けてから合格まで焦る必要はまったくありません。そして、試験は1回ごとという考え方なので、次の技能試験予約をとらなければそれで免許取得活動を終わらせることも可能です。

■「取得時講習」という最後の難関がある

 そして忘れてはならないのが「取得時講習」です。昭和の時代は試験場の学科と技能の試験に合格すればすぐ免許がもらえましたが、平成初期から一発試験合格者は、合格後に取得時講習というものが必要になりました。

 取得時講習はバイク、4輪の普通~大型、二種免許と分かれていて、たとえ4輪の普通免許を持っていたとしてもバイクの免許を持っていなければバイクの取得時講習を受ける必要があります。そして、普通自動二輪免許を持っていれば大型自動二輪免許を取るときに取得時講習は必要なくなります。

 この講習は指定の教習所で実施していますが、実施しているところはすべてではなく、しかも、実施回数も差があり、ほとんど実施していない教習所もあります。もともと積極的に受け入れているものではないため、場所によっては数カ月に一度だけ実施のところもあります。

 ちょうど新型コロナウイルスの影響もあって時間があいてしまっただけでなく、営業再開直後ということもあって取得時講習を実施しているところがさらに少なかったです。教習所も自校の教習生で手いっぱいで予定すら立ててないというところもあり、自宅から非常に遠いところで予約から1カ月以上先に受けられることになりました。

 振り返ってみれば、技能試験の予約よりも、取得時講習の予約が最大の難関だったように思います。新型コロナウイルスのような事態がなくても取得時講習は実施が少なくて予約が取れないこともありましたが、さらに予約が取りにくくなっています。

 一方、取得時講習ではなく試験の合格前に一発試験向けの教習をしている「特定届出自動車教習所」で「特定教習」を受けるという方法もあります。

 特定教習に合格していれば、技能試験合格後にすぐ免許を交付してもらうことができます。しかし、確実に技能試験に受かる見込みがなければ無駄になってしまう可能性があり、特定講習の有効期限も1年間です。さらに言うとバイクの特定教習を実施しているところは4輪に比べて非常に少ないです。また、料金も統一料金の取得時講習と比べて場所によってさまざまです。

■一発試験を受けたほうがいい人はチャレンジャー

 以上のように技能試験以外にも難関だらけの一発試験。昔の大型二輪免許(限定解除)のように教習所ではとれなかった時代ならともかく、今はしっかり練習できる環境も提供される教習所が無難です。

AT免許用ホンダ「スペイシー125」の教習車仕様

 日程的にも一発試験は取得時講習も含めると教習所に比べ不利になることもあり、技能試験を1回で合格したとしても事前予約、技能試験、取得時講習、交付と平日に4回時間を作る必要があります。

 教習所であれば、AT小型限定では2日間で教習を終えることも可能です。土日の2日間で実施している教習所を探せば、平日は免許試験場に免許交付を受けに行く1回だけで済みます。特に社会人であれば多少払う費用は多くなったとしても教習所が結果的に安上がりかもしれません。

 それでも、日程のことも苦にならず、一般的に厳しいと言われる試験場の技能試験をパスしてみたいという気持ちがあるなら、ぜひ一発試験にチャレンジしてみてください。バイク乗りのなかには試験場での合格を優位に捉える風潮もありますが、厳しい試験官の前でスムーズかつ円滑な走行ができるようになることは、何かの場面で役立つかもしれません。

 次は実際の技能試験の様子をお伝えします。

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