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バイクの免許を一発試験で取ってみた(技能試験編)

バイクのニュース / 2020年8月15日 11時0分

バイクの免許を教習所ではなく警察の免許試験場で取るいわゆる一発試験、難関でも費用を抑えられるかもしれない期待もあります。警察の試験官の前で走行をする技能試験はどんな感じなのでしょうか。

■申込みから約1カ月後に試験

 前回、試験場での技能試験を受けることを決め、試験場での申込みから約1カ月、最初の技能試験となりました。約1カ月間、待っている間にしたことといえば、ひたすら頭のなかでコースのシミュレーションです。乗車から降車までが試験となるので、安全確認して乗車するほか、スタンドを円滑に外してエンジンをかけるところまでがスムースにでき、ブレーキ操作、ウインカー操作なども繰り返し頭の中でイメージします。

 バイクの操作についても、技能試験の予約時に試験車がスズキ「アドレス125」であることがわかっていたので、スズキのWebサイトからアドレス125の説明書をダウンロードし、ひととおり確認しました。

 また、試験の際の服装は、長袖長ズボンと乗車に適した靴、ヘルメット、グローブが必要です。グローブは乗車用で指や関節を保護する機能が求められ、軍手はもちろん薄い革手袋もだめです。筆者の場合、グローブを購入するのと同時にヘルメットも新調しました。ヘルメットは試験を受けるバイクに適合したものが必要で、認証マークなども試験前にチェックされます。フルフェイスでもジェットでも大丈夫ですが、視界の良さを優先しジェットを選びました。

 あとは念入りにコースを覚えておくことです。試験の待合室などに掲示してあるので、技能試験予約の際には間違えずにメモしておきます。バイクは試験官が同乗できないため、4輪の試験と違って案内してくれる人がいません。もくもくと自分の意思でコースを走るしかないからです。

 もし、間違えた場合は停止して、試験官の指示に従ってコースに戻れば減点はありません。実際、間違えてもうまく元に戻り合格してしまう人もいます。しかし、戻るルートのぶんだけ走行距離が増え、その間も減点される可能性があります。また、間違えたあと、指示を受けるために一時停止する際も、法規に沿った停止措置をしないで停車すれば減点です。コースを間違えたことで緊張感が崩壊しミスを重ねることもあるので、コース間違えは絶対にしない準備が必要です。

■試験課題は確実な法規走行とスムースかつ円滑な走行

 技能試験で重要な点は確実な法規走行。クルマでもバイクで軽車両でも右左折の交通ルールは同じで、曲がるためにはその方向に寄っていなければなりません。これに沿えば30m手前のウインカーだけでなくその前に進路変更が必要で、30m+進路変更に必要な距離+3秒からウインカーが必要になります。そして障害物を避ける場合でも進路変更のウインカーが必要です。

筆者(正田拓也)が試験を受けた東京の鮫洲運転免許試験場

 ふだんから確実に法規どおりの走行ができている人なら問題ないですが、交通ルールを勝手に解釈している人は要注意です。左折するのに一度右に振ってから曲がるなんてことは言語道断で、大きくはみだせば右側通行で危険行為となり即試験終了です。

 S字やクランクの入りで左に寄りすぎてしまうと、進入の際に一度右に振らざるを得なくなったり、出口で大きく道路をはみ出してしまったりすることもあります。法規を頭に入れるだけでなく、法規走行を実際のコースに当てはめて進路を組み立てる必要があります。

 やりがちな致命的なミスとして、一時停止も停止線で停止せずに左右が見えるところまで行ってしまえばこれも「危険行為」なので即試験終了で不合格です。前輪が停止線から少しでもはみ出せばこれも危険行為で即終了です。

 そして、コース内で指示速度40km/hの区間があります。一般道と比べて狭いコースで40km/hを出すにはある程度の加速が求められます。

 加速は急制動の試験でも必要です。急制動をするには40km/h(小型限定は30km/h)まで必ず加速しなければならず、ブレーキを開始するところでその速度以上でなければなりません。そのためスロットルを戻すところではもう少し速度を上げておかないと、ブレーキ開始地点までに速度が落ちてしまいます。速度未到達で課題をクリアできない人もいるため、ここでもスムーズな加速が求められます。

 試験なのでひたすら安全運転をしていけば良いように思われますが、実際には法規走行をマスターした上で、それをスムースな運転としてまとめ上げる力が必要になります。さっと発進し、必要なときには思い切った加速もできるメリハリが求められます。

■いざ、実際の試験へ

 実際の技能試験は乗車から降車までが範囲です。そのため、乗車前に前後の確認を行ない乗車、スタンドを外してミラーなどの調整、さらにエンジンをかけ、発進の合図をするまでも試験範囲です。

 最初の関門はスムースに発進できるかどうかです。慣らし運転区間としてわずかだけ試乗させてくれますが、その間にアクセルやブレーキのクセを把握しなければなりません。

 筆者(正田拓也)の場合、何回目かの試験の際、ふだんはセンタースタンドを立てて置いてあるものが、その日の試験官はサイドスタンドを立てて止めておくと指示していたため、サイドスタンドが出たままでセルのボタンを押しても回らず、危うく発進不能で不合格になりそうになりました。

 2カ月間空いた後の試験では、なぜかクルマのようにキーをひねってセルを回そうとしてしまい、キーが動かずに焦ってしまう場面もありました。ふだんからバイクに乗っていれば大丈夫な点ですが、試験では緊張のあまり、あり得ないミスを誘発するものです。それをしないためには何度も練習をするしかありません。

 そして、キープレフトをしてコースを法規走行していくときに注意するのはウインカーです。コースは実際の道路よりも狭いため、30m手前や3秒前といってもかなり手前になります。気づいたら出し忘れていたということがありがちです。

 そのほか40km/h走行、見通しの悪い交差点、坂道発進、急制動、踏切通過も通常の運転の感覚でこなしていけばクリアできました。しかし、筆者にとってのハードルは微妙なアクセルワークが必要な一本橋、クランク、S字でした。

■遠心クラッチのつながりが試験車によって異なる罠

 乗りこなせてないと言ってしまえばそれまでで、未熟な点は承知していますが、筆者が何度もつまずき、5回以上不合格になってしまった原因はアクセルワークです。

 筆者の行った試験場では、試験車のスズキ・アドレスは2台用意され、試験日によってどちらかが割り当てられます。2台は遠心クラッチのつながる感覚が異なり、1台はアクセルを開けていくとじわっとつながり、微妙な駆動力の加減ができますが、もう1台はアクセルを開けてもなかなか駆動力がつながらず、だいぶ開けたところで唐突に駆動力がかかるような特性でした。唐突につながるバイクにあたったときの試験では、いずれも一本橋で脱輪しています。

 アクセルワークがうまくいかないとクランクやS字の通過も同じで、進入時にスピードを誤ると途中のアクセルワーク次第で不安定になり、足つきや脱輪を起こしそうになります。足がつかなくてもS字やクランク内のふらつきが大きく、出たところで減点超過になってしまったこともありました。

■試験車の個体差で時間がかかった

 筆者の場合は5回以上不合格を重ねたのち、やっと合格できました。過去に別の免許の一発試験に挑戦したこともありますが、ここまで回数がかかったのははじめてです。途中、諦めの気持ちもでてくるほどでした。

挑戦初期から合格が難しいと感じたなら、時間も受験料も費やす前に教習所への転向や、一発試験向けの教習所などへ通うことをオススメします

 結局のところ遠心クラッチの繋がりがゆるやかなバイクに当たったときだけ順調に走れ、合格したので、この問題は解決しないまま技能試験を終えました。実際には取得時講習で指導員に指摘されて解決できたのですが、教習所で自分の弱点をきちんと指摘され、その場で直すことは非常に重要です。

 筆者の場合はなんとか合格にたどり着きましたが、挑戦初期から合格が難しいと感じたなら、時間も受験料も費やす前に教習所への転向や、一発試験向けの教習所などで指導員に見てもらったほうがいいかもしれません。

■合格しても免許をもらうには最後の関門がある

 最初の予約をしたのが9月初旬で、結局合格したのは3月下旬になり、半年かかってしまいました。しかし、すぐに免許はもらえません。最後の難関、取得時講習を受けなければなりません。

 しかし、試験に挑戦を開始したときには誰も知らなかった新型コロナウイルスが蔓延しはじめ、学校も休みになり、世の中は自粛の広がりを見せている状態になっていました。そして何より、自分が講習を受ける気にならず、免許に関してはいったん休むことにしました。

 その結果、免許を手にするまではさらに時間がかかることになったのでした。

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