見た目スクーターの不思議な大型バイク クラッチ操作不要でアドベンチャーテイスト満載なホンダ「X-ADV」
バイクのニュース / 2020年8月29日 13時0分
ホンダ「X-ADV(エックス・エー・ディー・ブイ)」は、アドベンチャーモデルの力強さとクラッチ操作不要なコミューターの利便性を両立させた、排気量745ccの大型バイクです。その乗り味は?
■ジャンルを超えて、技術とデザイン、機能が凝縮された不思議な1台
「X-ADV」は面白い! 見た目スクーター族なのに乗ったら完全にバイク感覚、そう思わせた最大の理由は、エンジン+ミッションがホンダの「NC」系と同じであるということにあります。
エンジンは不等間隔爆発の直列2気筒が醸す鼓動感、クラッチレスのAT(オートマチック・トランスミッション)とはいえ、「X-ADV」のミッションはDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)6速であり、変速操作、クラッチ操作を電子制御されるものの、普通のバイクのようにシフトアップ&ダウンします。低速トルクの強いエンジンとシフトアップする感覚は、まるで大型クルーザーモデルのようでもあります。
ディテールを見てみましょう。「X-ADV」のキャラクターはアドベンチャーモデル仕立てです。スポークホイールとブロックパタンのタイヤ、腰高に見えるシート、テーパーチューブのハンドルバー、フロントに倒立フォーク、リアにリンク式モノショックを備えたサスペンション、跳ね上げたマフラーエンドからもオフロードマシン的な匂いがします。
さらに手動で角度と高さを変えられるウインドスクリーン、ダカールレーサー「CRF450RALLY」のコクピットをイメージさせるLCDモニターなど、視覚的にも機能的にも、長距離冒険ツアラーの匂いがします。
ホンダ「X-ADV」カラー:マットアーマードグリーンメタリック
さて、その走りはどうでしょうか。「X-ADV」はMT(マニュアル・トランスミッション)ベースの電子制御ミッションのため、イグニッションを入れるとギアが自動的にニュートラルになり、エンジンを始動後、右のスイッチボックスにあるシフトスイッチで「N(ニュートラル)」から「D(ドライブ)」にすれば1速にシフトされ、アクセルを開けると絶妙なるクラッチ制御で低い回転から車体はキレイに力強く動き出します。
このDCTには「D」モードのほかに、加速時により高回転まで引っ張る「S」モード、左スイッチボックスにある「+」「-」ボタンでライダーがシフト操作をする「MT」モードがあります。「D」モードや「S」モードで走行中も、シフトスイッチを押せば、ライダータイミングでシフトチェンジが可能、現行DCTはシフト後に操作がなければ自動的に「AT」モードに復帰します。
また、ライダーのアクセルの開け方を学習し、「D」モード走行中に強い加速をした直後などは、再加速に備えて「S」モード寄りのシフトスケジュールになるなど、頭脳プレーをするDCTなのです。
市街地での乗り味は重厚にして軽快です。元気の良い低速トルクの恩恵もあり、アクセルを軽く開けるだけでダッシュ力もなかなかのもの。左右への倒し込みはやや手応え感がありますが、安定感と運動性のバランスに、安心して走らせるのにほどよさがあります。
高速道路でのクルージングでは安定した走行性能と高さ調整可能なウインドスクリーンで移動が快適に
スクーターよりも大径な17インチの前輪は荒れた路面でもスタビリティがあり安心です。フロントブレーキのダブルディスクも、鋭さ、制動性の強さよりも扱いやすさを優先したもので、軽い操作力でもジワリと効くタイプです。リアブレーキも同様で、積極的に使うことで、市街地では姿勢変化少なくブレーキングできるのも特徴だと言えるでしょう。
高速道路でのクルージングは可動式のスクリーンを寝かせた状態でも快適さは充分、立てれば快適さはさらに増し、パッセンジャーにも恩恵があるのではないでしょうか。
「AT」モードでは60km/h以上で6速へシフトするスケジュールになっており、3000rpmほどで100km/h走行をこなします。80km/h、90km/h走行時にアクセルをガバッと開けて追い越しする際も、6速をキープしたまま750ccクラスらしいダッシュを見せてくれます。ここでも不満のない走りを見せてくれます。
ワインディングでのハンドリングは、弱アンダーで素直なもの。鋭さはありませんが、慣れると低めのエンジン回転からトルクフルな特性を右手で弾き出し、しっかりと後輪の加速感、グリップ感を楽しめます。また、エンジンブレーキが欲しい場面でシフトボタンを操作すれば、荒れた路面、少し濡れた路面でも、滑らかなシフト操作と駆動力の抜け感がないDCTでは、バンク中でもシフト操作が恐くありません。
見た目とは裏腹にダート走行も得意なホンダ「X-ADV」
ダート路にも入ってみました。滑る路面ではDCTの滑らかシフトがより効果的です。ダウンシフトでもシートに座り、左右に寝かす時、オフロードバイクのようにワイドなハンドルバーが意外と制御しやすく、車体の大きさは安定性としてライダーをサポートしてくれます。低速からトルクがあるので、アクセル操作は最低限の開度でもしっかりとトラクションを感じさせてくれることから、このパートも意外に得意な様子。さすが、アドベンチャーバイクです。
価格的には126万3900円から129万6900円と、それなりにプレミアムクラスに属するバイクです。灯火類を全てLEDにするなど装備もアップグレード感があるもので、アドベンチャーバイクの選択肢として、ダークホースとも言えるこの1台、丸1日走らせてみての印象は、スクーターという枠にも、アドベンチャーバイクという枠だけにもとらわれないモデルだということが解りました。
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