the「燃費」優秀なバイプレイヤー? スズキ「Vストローム650XT」の多彩さを再確認
バイクのニュース / 2020年9月5日 11時0分
排気量リッター未満のスポーツアドベンチャーツアラー「Vストローム650XT」は、あらゆるシーンで優れた走行性能と快適性を発揮する、欧州で高い人気を誇るモデルです。実際の燃費性能を検証します。
■世界が認める“使いやすさ”、燃費も優秀か?
海外取材に赴き、スペイン、イタリアあたりの通勤時間帯に目撃率の高いアドベンチャーバイクには、ドイツメーカーのBMW Motorrad「GS」シリーズと、日本メーカーのスズキ「V-Strom 650(ブイ・ストローム650)」シリーズがあります。
世界に誇る日本製品、スズキ「Vストローム650」シリーズは、海外で2004年のデビュー以来、本質を識るライダーから人気者になります。
アドベンチャーバイクながらゴツ過ぎないデザイン、日常から扱いやすい排気量とエンジンの特性、週末にツーリングへと出れば、峠道でスポーツバイクをあっさりカモれるほどのハンドリング、それが「650」という背伸びしないパッケージのなかに凝縮されていたのです。
「Vストローム650」シリーズは、乗れば乗るほど体の一部のようになる、普段着感覚が特徴なのです。
さて、もちろん燃費も良いですよね? という仮定のもと、the「燃費」のテストコースへと走り出します。燃費性能をカタログデータで見ると、国土交通省届出値、定地燃費値(2名乗車時・60km/h)が35.5km/lで、WMTCモード値(クラス3、サブクラス3-2)が24.2km/lとなっています。
すでに上位機種の「V-STROM1050XT」でthe「燃費」テストを行なっているので、排気量差分が同じルートでどう出るのかも興味深いところ。ちなみに「V-STROM 1050XT」はハイオク指定、「V-Strom 650XT」はレギュラーガソリンを補給します。
いつものように、記載の距離は車載のトリップメーター、燃費は車載の平均燃費計が示す数値を区間ごとにリセットして燃費ログをとっています。
■やはり、信号待ちの多い市街地は燃費に影響
市街地燃費は都心を横切るルートです。絵画館のある外苑周辺をスタートし、国道246号で青山方面へ、赤坂から皇居、大手町、銀座と抜け、首都高湾岸線沿いの東雲付近まで、距離12.2kmを走り、燃費計では18.9km/lでした。
都心から郊外まで、高速道路も峠道も、石畳路も得意な守備範囲の広さで欧州では人気者
この日、いつものように皇居付近から信号待ちの時間が多くなり、次第に数値が悪化します。序盤で20.0km/lを超えていた数値は、銀座を過ぎたあたりでそれを割り、晴海を超えたあたりで18km/l台へと落ち込みます。
赤信号以外はスーっと流れるものの、アイドリングが燃費に響くことを今回も実感しました。とは言え、扱いやすいエンジン特性はハナマルです。開ければダッシュ、低回転域では適度な鼓動感と滑らかな回転で、高いギアでもゆるゆる走る優等生でもあります。
■誘惑の高速移動、欧州での人気っぷりが理解できる
市街地燃費計測後、いつものスタート地となる木更津エリアへ移動します。首都高湾岸線を東へ向かい、京葉道路から館山道、アクア連絡道を繋ぎます。朝のこのルートは千葉市付近が渋滞し、その後、館山道接続付近から快適に流れだすものでした。
千葉県木更津エリアをスタート&ゴール地点として、スズキ「Vストローム650XT」でツーリング想定のルートを走り、燃費を調査
参考までにこの区間、距離87.7kmを走った燃費データは27.9km/lでした。途中、追い越し車線のペースに誘われ流れて行くと、ヨーロッパで評価の高い理由が分かります。安定感、快適性、追い越し加速性能など、バランス良く満足感が高い! ふと、もっとハイペースで走りたい誘惑に駆られます。
the「燃費」の高速道路の燃費ログは、往路がアクア連絡道「袖ケ浦IC」から館山道「富浦IC」までの区間で計測します。制限速度が80km/hから100km/h、また80km/hへ戻り、さらに70km/hと変化し、アクア連絡道を過ぎるとアップダウンが多くなります。往路53.4kmの燃費は27.2km/lでした。
復路は往路の途中、館山道「富津中央IC」からアクア連絡道「木更津金田IC」まで。往路同様、アクア連絡道まではアップダウンが多く、距離25.2km走行した記録は27.7km/lと、ほぼ往路同等の燃費でした。
■ツーリング想定の快走路では、安定して好燃費を記録
館山道「富浦IC」から「富津中央IC」まで、房総半島中央部分を走る信号の少ないルートをツーリングします。気持ち良いワインディング、アップダウンが続く道のりを3つのセクションに分け燃費ログをとっていきます。
実際の燃費はどうなのか? スズキ「V-Strom 650XT」で快走路を走る筆者(松井勉)
セクター1:「富浦IC」から館山市外手前から内陸部へと入り、安房グリーンライン経由で半島南端エリアへ。長い上りと下りが交互に現れる道で21.6kmを走り30.2km/l。
セクター2:半島南端部分の海沿いを巡り、国道411号から県道34号で大山千枚田へ。前半の海岸線平坦路で燃費が伸び、後半のアップダウンが多い区間で次第に燃費が落ちるルートを38.8km走り、31km/l。
セクター3:大山千枚田から「富津中央IC」まで、県道34号から紅葉ロードを経由、ワインディングが楽しいルートを26.2km走り、31.8km/lを記録。
セクター1、2、3の平均燃費は31km/lとなりました。
■「これくらいがちょうどいい」リッター未満で燃費も良好
スズキ「Vストローム650XT」のthe「燃費」テスト総平均は27.8km/lでした。これに東雲から木更津間の高速道路移動と、取材からの帰路、アクアラインから首都高経由で外苑までの区間を足した315.6kmの参考総平均でも27.9km/lという数値になります。
容量20リットルのタンクを持つ「Vストローム650XT」は、長い航続距離でツーリングに強し! という実力を改めて確認しました(参考まで「V-STROM1050XT」の総平均は24.3km/lでした)。
いつものツーリング想定の計測ルートを走り終え、ゴール地点の千葉県木更津エリアに到着
■スズキ「V-Strom 650XT」燃費結果
総合評価:☆☆☆☆★(ホシ4つ)
総走行距離:177.4km
市街地:18.9km/l
高速道路:27.4km/l
快走路:31km/l
結論としては、走ってみて総合性能で指名買いするファンが多いことに納得です。欠かせない名脇役とでも言いましょうか、スコア的にホシ4つですが“自由の翼”賞を差し上げたい気分です。
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