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前世紀の面影を残すOld South ひとりのバイク好きが築いた世界屈指の二輪博物館『WHEELS THROUGH TIME』とは?

バイクのニュース / 2020年9月7日 17時0分

アメリカに実在する世界屈指の二輪博物館『Wheels Through Time(ホイールズ・スルー・タイム)』は、世界中の旧車ファンが憧れる私設ミュージアムです。現地に赴き取材しました。

■ひとりの男の偏執から生まれた“狂気の産物”?

 アメリカ・イーストコーストの“背骨”を司るアパラチア山脈南端の国立公園『Great Smoky Mountains(グレート・スモーキー・マウンテンズ)』。北米屈指の名勝を擁するノースカロライナの町、マギーバレーへと抜ける19号線沿いに、世界屈指と評されるその場所は存在しました。

 パーキングに車を停め、エントランスのスタッフに取材の旨を伝えることしばし。館長のDale Walksler(デール・ウォークスラー)氏は「Welcome!!」と我々取材班を迎え、館内に招き入れてくれました。

『Wheels Through Time(ホイールズ・スルー・タイム)』=“車輪の間を移ろう時の流れ”という粋な名前を持つこの二輪博物館(以下、WTT)は、常時350台の米国の歴史遺産を展示する私設ミュージアムで、アメリカ国内はもとより世界中の熱心な旧車ファンが巡礼に訪れる、いわばアメリカン・ヘリテイジを祀ったエルサレムです。

 名物館長のDale Walksler氏は世界屈指の旧車コレクターであるだけでなく、昨今世界中で人気の宝探しTVプログラム『American Pickers(アメリカン・ピッカーズ)』などに出演するタレントで、さらに『American Restoration(アメリカン・レストレーション)』や『What’s in the Barn?(ワッツ・イン・ザ・バーン)』といったクラシックバイク関連の番組を企画するプロデューサーとしても手腕を振るう、いわば米国旧車二輪会の重鎮です。

『Wheels Through Time』の名物館長Dale Walksler氏は、旧車関連のTV番組を企画するプロデューサーとしても手腕を振るう米国旧車二輪会の重鎮、御年68歳(写真/Ken Nagahara)

 さらに彼は、戦前バイクによる北米大陸横断のキャノンボールレースに自らレストアした1915年式のハーレー・ダビッドソンで出走したり、ホームメイドの“ナックル”や“SV”レーサーをボンネビルに持ち込み、世界記録を狙うなど、単なる物知り顔の収集家とは一線を画すアクティビストでもあります。

 “超”の付くお金持ちのようですが、60歳を過ぎてなお、リスクを伴うレースに喜び勇んで参戦する真性バイカーが、半生を捧げコツコツと築き上げたロマンの結実が、今回訪問を許されたWTTなのです。

北米屈指の国立公園『Great Smoky Mountains』を擁するノースカロライナ州の小さな町、その一画に潜む世界屈指の二輪博物館『Wheels Through Time』。国道19号線沿いに佇むモニュメントが目印(写真/Ken Nagahara)

 蛇足ですが、Dale Walksler氏は好き嫌いが極端に激しい“偏屈者”としても知られ、今回の取材を取り持ってくれた米国の由緒ある旧車二輪会『AMCA(Antique Motorcycle Club of America)』の重鎮にして「ヴィンテージバイクの専門誌を作っているならWheels Through Timeは絶対に行くべきスポットだ。ただしあすこの館長は“ア●ホール”だぞ───」と言わしめる曲者なのです。

 そんな下馬評を聞いての初来館、戦々恐々として足を踏み入れたものの、蓋を開ければ拍子抜けするほどジェントルでホスピタリティ溢れる人物で、取材を熱心にサポートしてくれました。

 かくして、本邦初公開となるWTTの潜入レポートが実現できたのです。

吹き抜けとなるエントランス付近、セカンドフロアからのビュー。カウンター内部には旧車フリーク垂涎の至宝Crocker(クロッカー)の1936年式「Small Tank(スモールタンク)」がバリバリの実働コンディションで置かれる(写真/Ken Nagahara)

 3700平方メートルの敷地に建つ2階建の大箱の中、ハーレー・ダビッドソンを筆頭にインディアンモーターサイクルやExcelsior(エクセルシャー)、Henderson(ヘンダーソン)、Crocker(クロッカー)にFlying Merkel(フライングマーケル) など、メジャーから、オブスキェア(歴史上の出自が不明瞭)なスモールレーベルまで約25社、350台超が常展されているサンクチュアリ……他の追従を寄せ付けない圧巻のコレクションは、ひとりの男の偏執から生まれた“狂気の産物”に他なりません。

■【画像】ROLLER MAGAZINEのInstagram

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