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【バイクのミライ! Vol.1】バイクもついに電動化へ?バイクと電気の関係とは

バイクのニュース / 2020年9月9日 11時0分

クルマの世界では、将来的にほとんどが電気自動車(EV)になると言われています。ハイブリッド車(HV)やプラグイン・ハイブリッド車も含めると、現在でもかなりのクルマが電動化しています。そして、近年ではバイクにも徐々に電動化が進みつつあります。バイクと電気の関係はどのようにはじまったのでしょうか?

■「パパパパパ」から「スーッ」へ

 いまではかつてほどそのユーザーは多くないと言われていますが、それでもバイク日本全国で日常のアシとして活躍しています。特に、50ccから125ccクラスのいわゆる「原付」や「原付二種」のバイクは、その実用性の高さから根強い人気があります。

 こうした原付や原付二種のバイクは、「パパパパパ」という軽い音を発して走るものですが、近年では「スーッ」と滑るように駆け抜けるバイクを目にすることがあります。これが電動バイク、つまり原動機(=エンジン)ではなく、モーターとバッテリーによって動くバイクです。

 近年、電動バイクは徐々に普及しはじめ、街中で見かける機会も増えてきました。とはいえ、多くの場合見た目は普通の原付きか、あるいは自転車のようなものが多いので、意識して見ないと電動バイクかどうかはわからないことが多いかもしれません。そんな電動バイクですが、家庭用のコンセントでも簡単に充電できる手軽さや、ガソリンスタンドに行く必要がないことから、通勤や通学のために購入するユーザーが増えているようです。

 電動バイクを一躍有名にしたのは、人気お笑い芸人の出川哲朗さんヤマハ・E-Vinoなどの電動バイクで全国各地を旅するテレビ東京の番組『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』でしょう。こまめに充電が必要という電動バイクの弱点を逆手にとった企画により、電動バイクの魅力が伝わる番組となっています。

 このように、バイクの世界でもクルマ同様に、徐々にですが電動化の波が押し寄せています。

■電動バイクの歴史とは?

 現在の日本の道路交通法においては、定格出力が0.6kWまでは原付免許で、1kW以下は小型限定普通二輪免許、1kWを超えた場合は普通自動二輪免許、そして20kWを超えるものは大型自動二輪免許の所持が必要となります。

 定格出力がこれより小さく、かつ最高速度が制限されていたりするなどの一定条件の範囲内であれば、電動アシスト自転車に区分され、免許の必要なく運転することができます。

日本郵便が配達用に導入を決めたホンダのビジネス用電動二輪車「BENLY e:」

 電動バイクは、電動アシスト自転車の延長線上にあると見えるかもしれませんが、自転車をアシストするという目的の電動アシスト自転車と、ガソリンエンジンをモーターに置き換えるという電動バイクでは、その成り立ちがまったく異なります。

 実は電動バイクの開発自体は1970年代頃から進められていたといいます。きっかけとなるのは、1970年代のオイルショック時の原油高騰です。ガソリン燃料の代替えとして、モーターを採用した電動バイクが検討されるようになりました。しかし、当時の技術ではパワー不足や航続距離などの問題を補えず、性能が低すぎるわりに高価な乗り物となってしまったため、普及には至ることはありませんでした。

バッテリーの技術は年々向上し、航続距離が延びた電動バイクに再び注目が集まっています

 その後、技術が進められた結果、低回転から最大トルクを発生させるモーターの開発やバッテリーの改良により航続距離も伸びたことで、2000年代に入って電動バイクが再び注目される乗り物となったようです。

 さらに、環境問題や地球温暖化が世界的な課題になったことも受け、各メーカーは排気ガスを発生させないモーターを搭載したモビリティの開発に乗り出すこととなります。

 日本でも各バイクメーカーから電動バイクが販売されていますが、その中でも前述で紹介した番組に登場するヤマハ E-Vinoは、人気の高い電動バイクのひとつでしょう。

折りたたみ式電動バイク「smacircle S1」

 さらに、2015年以降はバイクメーカー以外からも電動バイク業界への参入が進み、デザインだけではなく、折りたたみ式や3輪タイプ、バッテリー切れ時にペダルで走行できるタイプなど様々な機能を搭載した個性的な電動バイクが次々と登場することとなります。

■増えつつある電動バイクのラインナップ

 現在各メーカーから販売されている電動バイクは、短距離移動を前提とした比較的小型のものが主流ですが、中型以上のものも登場しています。

ホンダ「PCX」をベースに電動化した「PCX ELECTRIC」

 ホンダでは、主力モデル「PCX」をベースに電動化した「PCX ELECTRIC」を2018年より、法人、個人事業主、官公庁向けのリース専用車として販売しています。動力用電源にモバイルパワーパックを2個搭載することで、モーター最大出力を4.2kWとし、1回の充電での航続距離は41kmとなっています。また、ホイールベースの延長や乗り心地を追求したサスペンションの採用など、加速減の多くなりがちな街乗りでも快適な走行を可能としています。乗り味は250ccクラスのバイクに近く、街乗りではストレスなくで走行できると高い評価を得ているようです。

 また、zecOO motorcycleからは、大人気マンガの『AKIRA』で登場する、「金田のバイク」をほうふつさせるデザインの電動バイク「zecOO」2015年に登場しています。丸みを帯びた近未来的なフォルムが特徴で、モーターの最大出力は50kW、最高速度はなんと160km/hに達します。

 充電時間は100Vで8時間かかるものの航続距離160キロを可能としています。車両価格は888万円となっています。

ハーレーダビッドソンの電動バイク「LiveWire」

 さらに、ハーレーダビッドソンからも電動バイクが登場しています。2019年に登場した「ライブワイヤー」は、エクステリアデザインは往年のハーレーファンも納得のスタイリングですが、特徴的なエンジン音が響き渡ることはありません。しかし、速度に応じてモーター音が変化するというギミックが搭載しているなど、ハーレーらしさを演出する工夫が見られます。

 時速60マイル(約96km/h)に到達するまでわずか3.5秒という、高トルクのモーターを搭載し、1回の充電で約177kmの走行が可能です。

 これら以外にも、多くのメーカーが電動バイクの開発を進めています。より多くの電動バイクが登場することで、今後普及が本格化していくことでしょう。

※ ※ ※

 近年、電動バイクのスーパースポーツモデルが速さを競い合う「MotoEワールドカップ」なども開催され、電動バイクも単なるエコロジーのためだけのものではなく、優れた運動性能をもつ未来の乗り物でもあるということがアピールされています。

MotoEワールドカップに使用されている「Energica Ego Corsa」

 一方、クルマの世界同様、まだまだ従来のエンジンを搭載したものが優位であるのも事実です。電動バイクが今後本格的に普及するためには、「航続距離の延長」、「充電インフラの整備」、「関連法規の整備・浸透」という大きくわけて3つの課題があります。逆に言えば、これらの課題が解決すれば、低公害、低走行コスト、スムーズな乗り味という電動化のメリットを余すところなく享受できることになります。

 これらの課題を解決することは簡単ではありませんが、いずれも自動車産業が抱える課題でもあることから、クルマとバイク、それぞれの業界が協力していくことが重要と言えます。

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