もしかしてこれあおられてる? ライダーが気をつけたいあおり運転への対処法
バイクのニュース / 2020年9月21日 9時0分
近年ニュースでも頻繁に取り上げられるようになってきた「あおり運転」。法改正により厳罰化されるようになったものの、あおり運転に繋がらない行動をとることも大切です。そこで今回は、ライダーが気をつけるべきあおり運転の対処法をご紹介していきます。
■ポイントは、車間距離の確保と「離れる」こと
ニュースなどで取り上げられるあおり運転は、おもにクルマによるものが多く感じられますが、実はバイクへのあおり運転も少なくはありません。クルマはドライブレコーダーの普及により、映像によって証拠が残されることが多く、被害を拡散しやすいといった背景もあります。しかし、バイクのドライブレコーダー普及率は、まだクルマほど高くはなく、状況証拠が残りにくいため被害を立証するのが難しいケースもあるようです。
2020年6月30日から施行されたあおり運転の厳罰化では、あおり運転の対象となる10種型の違反をした場合に「妨害運転罪」が適用されることとなります。その中で特に注意したい違反には「車間距離不保持」「急ブレーキ禁止違反」「安全運転義務違反」があげられます。
実際に起きた事例でいうと、2018年7月に大阪府堺市にて、大学生が運転していたバイクに故意にクルマを追突させ、被害者を死亡させるといった事故がありました。バイクに追い抜かれたことに腹を立てたクルマのドライバーが、約1分間にわたり時速100キロ近いスピードであおり運転を続けたとされています。
クルマのドライブレコーダーの記録からも、殺意を持って追突したことは明らかで、このような状況になってしまえば無防備なバイクはなすすべがありません。このように、バイクは加速しやすいといった特性上、クルマのドライバーからすると「簡単に追い抜かれた」と不愉快に感じることもあるようです。
さらに、2018年6月にSNSで拡散された動画では、東京外環道にてバイクが車間距離を詰められるなどのあおり運転をされた後、クルマがバイクの前に移動し今度は急ブレーキを踏むといった危険行為が問題となりました。証拠映像とともに被害届を出したことで事件から1年後、急ブレーキによって無理矢理バイクを停車させたとして暴行罪が適用されています。
きっかけは、バイクが後方確認の際にミラーだけではなく目視で後ろを確認した行為が、クルマのドライバーをにらんでいると誤解したことによるものだとされています。腹が立ったドライバーは、急ブレーキでバイクを停車させていますが、実はバイクの制動力はクルマに劣る場合があります。細いタイヤでグリップ力が少ないだけでなく、フロントに荷重がかかることでジャックナイフ状態になり転倒する恐れも考えられます。
ここで焦点となってくるのが、あおり運転をされた場合の対処方法です。クルマが意図的にバイクの後ろに詰め寄った場合は「車間距離不保持」に当てはまります。バイクが減速したいと思っても後続車がスピードをゆるめてくれるとは限らないため、追突の恐れがある無理な減速はしてはいけません。有効な対処方法としては、ウィンカーを出しながら徐々に減速し、後続車を先に行かせることを優先します。
しかし前述で紹介した事故のように、加害車両が前に出たならば、後を付いていく行為は避けましょう。たとえ進路が同じ方向だとしても、あれ?と不自然さを感じたら自分は進路を外れ回り道をするか、路肩で停車しクルマがいなくなるまでやり過ごすといった方法で回避することが重要です。
また、いかなる場合でも安全に停車できるように前方車両とは一定の車間距離を取ることも意識しなければいけません。それでも執拗に追いかけられたり、あおられ続けるのであれば、公共施設や人目に付きやすい駐車場に移動するといった方法を取る必要もあります。とにかく停車の状態に持ち込むことが、ライダーの身を守る1番大切な行動となりますので必ず頭に入れておきましょう。
ですが、インターネットのなかには「後ろからのあおりに対しては急ブレーキが適策」などといった、誤解を招くような対処法が拡散されているようです。クルマ側がバイクにあおられたから急ブレーキを踏んだと主張してくることも想定されるので、誤解を生まないためにも車間距離に余裕を持たせて、どんなときもすぐに対応できるようにしておきましょう。
※ ※ ※
実際に車体や身体に被害がなかった場合でも、あおり運転対策にはドライブレコーダーは有効なアイテムとなります。
バイク用ドライブレコーダーの普及はまだ少ない状況です
近年はバイク用にも多くの種類が販売されており、2つのカメラで前後を撮影できるだけでなく、360度すべてを記録してくれるタイプも登場しているようです。もちろん撮影中であるステッカーを貼るだけでもあおり運転の抑止力に期待ができるでしょう。
バイクは直接の接触がなくても、あおり運転によって転倒しただけで大怪我をすることも考えられます。証拠がなければクルマの逃げ得にも繋がりかねないため、ドライブレコーダーは義務化の必要が急がれる装備と言ってもよいのではないでしょうか。
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