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湾岸沿いをひた走るライダーと夜明け前の空の色 KEIJU「Remy Up feat. IO」

バイクのニュース / 2020年9月22日 17時0分

ライダーの背中と流れる景色を定点から映したKEIJU「Remy Up feat. IO」は、夜明け前の美しい空を感じながら横浜を疾走するバイク。KEIJUが自身の心の内と向き合い、抱えて生きる“喪失”について歌った曲です。

■ライダーの背中と美しい風景がマッチするサウンドは必見

 横浜ベイブリッジの下、国道357号線・本牧から大黒埠頭方面へ向かって走り続けるバイク。夜明け前の空は蒼から淡い紫、ピンクへと美しいグラデーションを描いている。

 ライダーの背中と流れる景色を定点から延々と映したKEIJU「Remy Up feat. IO」のオフィシャルオーディオビデオは、一見すると単調に感じられるかもしれない。けれど、愁いを帯びたトラックにのせて紡がれる言葉が、やけにまっすぐ心に入りこんでくることに気付くだろう。

 KEIJUは東京・世田谷エリアを拠点とする総勢16人からなるヒップホップ・クルー“KANDYTOWN”の中核メンバー。2016年にメジャーデビューを果たしたKANDYTOWNは、音楽シーンはもちろんのこと、CARHARTT、Reebok、Timberland等とのコラボなど音楽以外のフィールドでも注目を集めてきた最高にクールな都会派集団だ。ラッパー、トラック・メイカー、DJ、映像ディレクターからなり、メンバーそれぞれが個々にも活動する中で、ソロとしては初となるメジャーとの契約を締結したのがKEIJUである。その際、アーティスト名をYOUNG JUJUから改名している。

 これまでにtofubeatsや清水翔太、Awichへの客演や、ソロ曲「Let Me Know」など数々のフロアヒットを生み出してきたKEIJUだが、2020年7月、待望の1stソロアルバム『T.A.T.O.』を完成させた。冒頭で紹介した「Remy Up feat. IO」は同アルバムのラストを締めくくるナンバーだ。

 大切な友人と過ごしたかけがえのない日々を叙情的に振り返るこの曲のタイトルは、酒の味を覚えたての頃に杯を交わし合った思い出のブランデー“Remy Martin”からとられているという。

 かつてKANDYTOWNにはグループの中心的存在にYUSHIというメンバーがいたが、2015年に不慮の事故で他界している。この曲は彼に捧げられたものであろう。KEIJUは2018年にソロデビュー記念ライブを行った際に同曲を初披露しているが、制作途中で歌詞が書けなくなったまま、未完成状態でのパフォーマンスだった。その後、クルーの中でYUSHIと最も近しい間柄であったIOを迎え、ようやく完成形となった。

バイクに乗り夜明け前の道を走る時は最高な時間を楽しめる

 バイクは“孤独な乗り物”と言われるが、バイクに乗っている間は一人の時間を過ごすことができる。運転そのものを楽しむこともあれば、考え事をしたり、逆に無心になりたくて走ることもあるだろう。

「Remy Up feat. IO」はKEIJUが自身の心の内と向き合い、抱えて生きる“喪失”について歌った曲だ。楽曲の持つ世界観やメッセージを視覚的に訴求することがミュージックビデオの本質とするならば、本作はそれを過不足なく全うする映像作品であるように思う。

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