ちょっとまぶしすぎない?バイクでもハイビームが増えている理由
バイクのニュース / 2020年10月5日 9時0分
近年はリターンライダーが増えてきたこともあり、バイク人口も増加傾向にあります。しかし、夜間走行するバイクに関係している、ある問題が発生しているようです。クルマにも備わっているハイビーム機能、同じ機能のはずなのに「バイクはまぶしく感じる」といった意見が出ているのをご存じでしょうか?
■バイクのハイビームはいつ使うのが正解?
夜道を走っていると対向車や後続車にとっては、バイクやクルマのハイビームはまぶしく感じるものです。わざとではないにしても、ついうっかりロービームに戻し忘れてしまうことも多く、対向車のパッシングによって気付かされた経験がある人もいるのではないでしょうか。
バイクのヘッドランプに関しては、明るい日中であってもライト点灯が義務づけられているため、現在販売されているほぼすべてのバイクは、エンジン始動と同時にライトが点灯する仕組みが採用されています。これにより、整備不良がない限りは点灯義務を守りながら走行することができます。
しかし、平成29年3月に施行された「交通の方法に関する教則の一部改正」では、うす暗くなる時間帯の夕方17時台~19時台における事故の発生件数が多いことから、通常時はハイビームを点灯させて走行させなければいけないとされています。
道路運送車両の保安基準において、前方にある障害物を確認するためには、ロービームの場合40m先の交通上の障害物を確認できる性能を、ハイビームでは100m先の障害物を確認できる性能がなければいけません。つまり、ハイビームはロービームの2倍以上離れた距離の、歩行者や障害物を発見することが可能となるのです。
警視庁によると「夜間に発生した車両と横断中歩行者の死亡事故について、そのほとんどの車両の灯火が下向きであった」との分析結果があり、「交通量の多い市街地等を通行している場合や先行車や対向車があるときを除き、夜間の運転時は灯火を上向きにすべきである」ということが明確化されています。
つまり、周りの車両にまぶしさをあたえてしまうシチュエーションや、交通量が多くハイビームの切り替えが困難な場合はロービームで走行し、それ以外は常時ハイビームが原則です。また、高速道路においても、落下物や事故車両を早期発見するためにハイビームで走行することが原則とされています。
■どうしてこんなにまぶしいの?その背景とは...
前述のように、道路交通法上は夜間の走行はハイビームが原則となっているのですが、近年バイクのハイビームが妙にまぶしいといったケースが発生しているようです。もちろん、保安基準に適合している車両であっても同じです。そういった事例が目立ってきた背景には2つの理由が挙げられます。
純正ハロゲンのヘッドライトをLED化したバイクに限り、車検を通過しても眩しくなる傾向があります
1つ目は、ヘッドライトのLED化が挙げられます。近年のバイクは純正ライトにもLEDバルブが採用されるようになりました。しかし、純正ハロゲンのヘッドライトをLED化したバイクに限っては、車検を通っていてもまぶしくなってしまうことがあるようです。ハロゲンバルブは広範囲を照らすのに対し、LEDバルブは直線的に強い光を放ちます。そのため保安基準適合品の製品であっても、人の目に届く光の角度などによっては強い光が直接入り、より強いまぶしさを感じることがあるようです。
2つの目の理由としては、検査の測定方法にあります。平成30年6月1日まではライトの光量測定はロービームとハイビームのどちらで測定するのか、明確な決まりがありませんでした。そのため暗すぎたりまぶしすぎたりする場合は、もう一方で検査を通したことも多かったようです。しかし、平成30年6月1日以降、「平成10年9月1日以降に生産されたバイク」は原則ロービームでの検査基準が定められることとなりました。つまり、社外品の眩しいLEDバルブに交換していても、ロービームさえ基準に収まっていれば車検が通ってしまうということになります。
※ ※ ※
結論からすると、まぶしさを感じやすいLEDが主流になったタイミングと、車検時のライトの測定方法がロービームで統一された時期が重なったことが、まぶしいと感じる人が増えた要因となったと考えられます。
夜間はハイビームが原則となったものの、まだまだロービームの習慣が根付いているのも現実です。クルマにはハイ/ローの切り替えを自動で行う「オートハイビーム」が採用されはじめていますが、いずれバイクにもハイ/ローの自動切り替えが標準となる時代も来るのではないでしょうか。
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