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カワサキ「VERSYS 1000 SE」2021年モデル 初採用となるショーワ製電子制御サスペンション「スカイフックテクノロジー」の乗り心地は?

バイクのニュース / 2020年10月6日 15時0分

カワサキは高いスポーツ性と快適性を兼ね備える「VERSYS 1000 SE」2021年モデルに、同社2輪製品では初採用となるショーワ製電子制御サスペンション「スカイフックテクノロジー」を搭載しました。松井勉さんが試乗します。

■大型ツアラーに進化した快適なサスペンションを搭載

 2020年9月29日、カワサキは世界に向けて2021年モデルとなるクロスオーバーツアラー「VERSYS(ヴェルシス)1000 SE」の2021年モデルの登場をアナウンスしました。奇しくもその当日、サスペンションメーカーとしてお馴染み『SHOWA(ショーワ)』のテストコース、塩谷プルービンググラウンドで行われた技術体験会の場に新型が登場し、テストコース内での試乗を許されたのです。

 2021年モデルのアップグレードのハイライトは、搭載するショーワ製電子制御サスペンション「KECS(カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)」のさらなる進化です。制御アルゴリズムに「まるで宙づりのようにバネ下を動かす」スカイフック理論を取り入れたことで、あらゆる路面での接地性、乗り心地を改善。ツアラーモデルとしての付加価値をさらに上げているのが特徴です。

 ツアラーらしいアップライトなポジション、それにあわせたフェアリングのサイズ、大型の燃料タンク、そして前後にゆったりしたホイールトラベルを持つサスペンション。前後17インチのワイドラジアルですら小さく見えるボリューム感を与えられているのが特徴です。

 跨がってみるとアルミフレームのメインビームがエンジン上部を通る設計のため、ニーグリップエリアは充分にスリム。ポジションもしっくりくるため、ハンドルバーとシートの位置関係はスポーツバイクらしい一体感をもたらしてくれます。

 水冷直列4気筒エンジンは振動の少なさが上質感を伝え、ライダーが車体に接する部分から振動をうまく遠ざけている印象です。コックピットに視線を落とすと、アップデイトされたTFTモニターは画面サイズをそのままに、視認性は上がっているように見受けられます。

ショーワ製電子制御サスペンション「スカイフックテクノロジー」が搭載されたカワサキ「VERSYS 1000 SE」2021年モデル

 走りだすと、アクセルの微少開度の領域からトルクを生み出すことで、低速走行時の扱いやすさが巧くチューニングされ、マイルドかつしっかりと後輪にパワーを伝えます。シフトアップしてもその様子は同様。エンジンやミッションのタッチは滑らかさと対象的に、カワサキらしい太い排気音が唯一迫力をトッピングします。

 また、標準装備されるクイックシフターもアップ/ダウンともシフトタッチが軽く、長いワインディング、長いツーリングでもシフト操作するつま先に負担は掛かりそうにありません。

 スカイフックのアルゴリズムを投入した新型に試乗し、最初の驚きはテストコース内にある連続ギャップの特殊路でした。数百メートルは連続するその路面を50km/hで通過すると、不思議なことに、タイヤがギャップを踏むタタタという音は聞こえるのに、車体にはその衝撃がほぼきません。吸収の自然さとピッチングの少なさで、車体の乗り味はフラットライドに直結、良いバイクに乗っている、という満足感があります。

 テレスコピックフォークの場合、前輪の衝撃吸収機能と車輪の懸架するアーム機能を持つため手に伝わる振動を消すことはタイヤ、サスペンションの吸収力を上げるほかありません。それが本当に少ないのです。

 ドゥカティも2013年からムルティストラーダにスカイフック理論を採用した電子制御サスペンション装着車を設定していますが、衝撃のいなし方は、ヴェルシスのほうが明らかに一枚上手。世界のベンチマークになることは確実だ、と思いました。

ショーワ関係者に話を聞く筆者(松井勉)

 高速道路のつなぎ目を模した路面のテストコースを走ります。テスト路だけにそのつなぎ目は路面が掘れた状態を再現するなどテストコースを進むほど悪路化します。またスピードバンプを模したギャップも表れ、これでもかと車体を揺さぶりにかかります。サスペンションの追従性能が問われる路面でも乗り味は極めてマイルド。

 これはショーワ製電子制御サスペンションの減衰圧調整機能がソレノイドバルブを使い、減衰圧変化をシームレスに起こさせるからだそうで、その機能をフルに活かすスカイフック理論の制御マップの完成度に驚くほかありませんでした。

 1ラップ1kmほどのハンドリング路で走りを確かめます。250kgを超す車重でありながら、ヴェルシスは快適かつスポーティにそのコースを駆け抜けます。北米、ヨーロッパの郊外路を模したテストコースは、あえて普通の道路よりも狭い車線、縦方向に荷重が抜ける状況や、旋回しながらギャップを越えるなど乗り手を緊張させた状態で走らせる意図がありそうです。しかしコースに慣れるとリラックスかつハイペースで周回できる新型ヴェルシス。

 150km/h近い速度から回り込んだヘアピンカーブにアプローチする時のピッチング制御も、ライダーの心理に不安を抱かせません。沈み込み感がないからといって突っ張ることなく、しっかりとタイヤを路面に押しつけ、減速し、旋回までスムーズにアプローチができます。車体とタイヤの性能を確実に引き出す魔法の足、という印象です。

進化したサスペンションの乗り心地を確かめるように試乗

 なるほど“ANY ROAD ANY TIME”というマシンコンセプトに、2021年モデルの「ヴェルシス1000SE」のパッケージは確実にステップアップしているのです。良いバイクでした。

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