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全日本ロードレースJ-GP3チャンピオンがヨーロッパ選手権に初参戦!そこで見た日本と世界の違いとは

バイクのニュース / 2020年10月14日 9時0分

新型コロナウイルスの感染拡大は、まだまだ続いている状況ですが、感染対策が取られた上で、徐々にレースなどのイベントも開催され始めています。そんななか、全日本ロードレースST1000クラスに参戦中の長谷川聖選手が、CEVレプソルインターナショナル選手権 moto3クラスにスポット参戦!海外レース初参戦の長谷川選手に、日本とヨーロッパのレースの違いを聞いてみました。

■全日本ロードレース選手権 J-GP3チャンピオンがヨーロッパに挑戦

 新型コロナウイルスの感染拡大がまだまだ予断を許さない状況ではありますが、十分な感染対策が取られた上で、少しずつレースなどのイベントも開催され始めています。

 そんななか、Team KAGAYAMAから全日本ロードレースST1000クラスに参戦中の長谷川聖選手が、CEVレプソルインターナショナル選手権 moto3クラスへのスポット参戦を果たしました。

 長谷川選手は、全日本ロードレース選手権 2019年のJ-GP3チャンピオンという実力の持ち主です。 海外でのレースは初という長谷川選手は、MotoGPに直結する、CEVレプソルインターナショナル選手権(CEV)で、いったいどんなことを感じたのでしょうか。お話を聞いてみました。

チャンスがあれば乗りたかったmoto3マシン

●今回参戦する事になった簡単な経緯を教えてください。

「今年からチームを移籍したのですが、その加入時に、チーム代表からmoto3マシンに乗るチャンスがあったら乗りたいか?と聞かれていて、チャンスがあれば乗りたいと答えた自分の希望を叶えて頂いた形で、今回の参戦が実現しました。といっても、決まったのは約1か月前で、かなり急でしたが・・・」

●CEVに参戦してみた率直な感想を教えてください。

「やはり、一番感じたのはレベルの違いです。レベルの違いを痛感させられました。それは、ライディング技術ももちろんですが、それより気持ちの強さというか、ガッツが日本でこれまで戦ってきたライダー達とは比べ物にならないレベルでした」
 
●WEEKを通したレースの進め方など、全日本と違いを大きく感じた点はありましたか?

「僕を担当してくれたメカニックが、前の週にMotoGPのmoto3クラスで優勝したダリン・ビンダー選手の現役メカニックだったんです。そんなスペシャルメカニックと、MotoGPにも参戦しているCIPのジュニアチームという、これ以上ないぐらいスペシャルな体制での参戦だったので、本当に最高峰の環境を経験した形になるのですが、今回初対面で僕のことをまったく知らないし、言葉の壁もあり、十分な意思疎通ができなかったにもかかわらず、理解してくれようとする姿勢をすごく感じる事ができました。

 マシンセッティングの方法も、日本は少しずつセッティングを変えながら方向性を合わせてくことが多いのですが、これがダメならこっち!という感じで、大幅にセッティングを変え、僕の意見に合わせて方向性を決めてくれるなど、良いか悪いかを決めるプロセスが早い印象です」

J-GP3とmoto3はブレーキングの仕方が違う

●今回、初めて海外のレースに参戦するにあたって、大変だったことはありますか?

「僕自身、あまり英語ができる方ではない上に、フランスが拠点のチームだったので、言葉の壁を心配していましたが、チームの人たちもゆっくりと話してくれるなど気を使ってくれたことや、通訳の人がいてくれたこともあり、特に困ることはありませんでした」

●今回の3レースそれぞれの感想を教えてください。

「ヒート1は、雰囲気もまったく分からない状態だったので、あまり何も考えずに、まずは練習だと思って挑戦しました。結果は、真ん中の集団にも置いて行かれてしまい、後方のライダーも離れていたので、ひとり旅になってしまいました。

 全日本では、少し自分のペースが遅くても、集団から大きく離されるということは無かったのですが、CEVでは集団の1人1人がみんな速く、練習でも全員がすべての走行で、日本でいう最終ラップの最終コーナーのような走り方をしていたので、気迫の違いを感じました。

 ヒート2は、とにかく1周目を頑張って、周りについていこうと思ったのですが、3周目ぐらいからだんだん離されてしまい、またひとり旅になってしまいました。

 ヒート3では、集団についていけなくても、一定のペースを維持することを心がけましたが、全日本で乗っていたマシンとmoto3マシンの乗り換えが上手くいっていないことによるブレーキトラブルが出てしまい、ブレーキが効かなくなって走るのに精一杯でした。

 具体的には、moto3マシンは、最初にブレーキをガツンとかけてコーナーに進入する頃には緩めていくというブレーキング方法がいいようなのですが、全日本で乗っていたGP-3マシンはコーナーに進入しながらブレーキを強く握り、ブレーキを引きずりながらコーナリングしていくイメージでした。
 
 この全日本でのブレーキングの癖が抜けきらず、ブレーキを引きずってしまう事により、ブレーキの温度が上がりすぎてしまって効かなくなる現象が起こり、そのせいでブレーキのコントロールが難しくなって、ペースをキープできませんでした。
 
 マシンが違うので、乗り方を変えなくてはいけないのは当然で、フリープラクティスからその傾向は出ていたので、分かってはいたのですが、頑張れば頑張るほど本来の自分のライディングになってしまい、悪循環なレースとなりました」

●全日本で乗っていたJ-GP3マシンとmoto3マシンの違いは他にもありましたか?

「根本的にすべてが全く違うマシンで、同じ250ccのバイクですが、競技が違うというレベルです。ブレーキもそうですが、そもそも乗り方や走らせ方が全然違います。といっても、どっちが難しいというよりは、慣れの問題だと思いますが・・・」

全日本で乗っていたJ-GP3マシンとは全くの別物というmoto3マシン

●今回の経験によって成長できたと感じる部分があれば教えてください。

「日本とヨーロッパのレベルの差を痛感させられる経験になりました。それは、ライディング技術だけでなく、フリープラクティス1周目からの取り組み方が、日本のライダー達とは全く違います。

 今は、ただただ悔しいですが、ここで感じた気持ちの強さの違いを日本でも実践していきたいと思います」

※ ※ ※

 初めての海外でのレースを経験した、2019年全日本J-GP3チャンピオンの長谷川選手。レースは、ヒート1:25位、ヒート2:29位、ヒート3:24位と悔しい結果となりましたが、そこで痛感したのはライダー達の気迫の違いでした。
 
 CEVはRoad to MotoGPと呼ばれるレース。世界を目指すライダー達は、フリープラクティスの1周目から全力の全開走行です。
 
 そんなトップライダー達の気迫あふれるバトルを経験した長谷川選手は今後、どのような活躍を見せてくれるのでしょうか。注目していきたいと思います。

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