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the「燃費」V型4気筒エンジンを搭載するホンダ「VFR800X」 独創バルブ制御機構はツーリング性能にも貢献

バイクのニュース / 2020年11月7日 11時0分

排気量781ccの水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブエンジンを搭載するホンダの大型クロスオーバーモデル「VFR800X」のツーリング燃費を計測してみました。

■ハイメカ搭載ミドルクラスツアラー、その燃費は?

 ホンダ「VFR800X」(ペットネーム:クロスランナー)はV型4気筒エンジンを搭載するツアラーモデルです。VFRといえば、かつては「RC30」や「RVF RC45」のようにレーサーレプリカ的モデルの代名詞でした。その系譜を持つV4エンジンをツアラーモデル用に仕立て直し、V4ファンに届けているのがこの1台。そのエンジンに搭載される「V4 VTEC」(バルブ制御システム)は、どんな燃費データを出すのでしょうか。

 the「燃費」では、市街地、高速道路、ツーリングシーンの統一ルートをシーン別に計測し、流れに合わせたペースで走り、記載した区間距離、燃費計測はトリップメーター、車載の「平均燃費計」の数値を紹介しています。

「VFR800X」の燃費データは、国土交通省届出値(定地燃費値)が27.4km/l(60km/h走行、2名乗車時)で、WMTCモード値(クラス3、サブクラス3-2、1名乗車時)が19.2km/lとなっています。

■都心を抜ける朝の通勤時間帯、低速でも走りに不満なし

 エンジン、車体周りは2002年に登場した「VFR800F」をベースにリファインを重ねています。最新モデルと比較するとクラッチ、アクセルなど操作系の重たさが目立ちますが、走りは現役。それが「VFR800X」の第一印象です。冷静に見ると、エンジン低回転時のトルクを生み出す「V4 VTEC」の恩恵で2500rpm以下でも満足のゆく走りを披露します。

いざ、ツーリング燃費の計測へ。石畳のブティック通りから朝の通勤時間帯の大通りへ

 東京都内の外苑周辺を走り出し、国道246号線で皇居外周へ。その後、銀座、晴海を抜け首都高速湾岸線沿いの国道356号線に出たあたりまでの12.1kmを走行し、燃費は18.4km/lでした。

 3車線道路の交差点が多く、待ち時間の長い信号でアイドリングがもたらす数値変化が大きいのが市街地の特徴です。走行中、低いエンジン回転数で4、5、6速ギアでもスムーズに走り、常に18から19km/lあたりを示し、計測地点直前まで18.6km/lでしたが、最後の長い右折待ちで18.4km/lという結果になりました。

■高速道路も余裕。ツアラー仕立てのV4エンジン

 市街地測定後、高速道路の燃費値スタートとなる木更津へと移動します。アクアライン連絡道の「袖ケ浦IC」から館山道の「富浦IC」までの53.1kmを第1区間として走ります。この区間は制限速度が80km/hから100km/hへ、また80km/hとなってから70km/hへと変化し、アクア連絡道を除きアップダウンが連続する区間です。

ホンダ「VFR800X」カラー:キャンディープロミネンスレッド

 後半、対向2車線となり交通状況によっては速度がガクンと低下することもあり、今回は低速作業車が先行車にあり60km/hを割って走ることもありました。高速道路往路区間の燃費は26.9km/lを記録。

 そして復路。ツーリングの快走路セクションを終え、館山道「富津中央IC」からアクアライン連絡道の「木更津金田IC」までの25.1km区間では25.7km/lでした。向かい風が強い印象でしたが、高速道路2区間平均は26.3km/lです。

 VFRのエンジンの醍醐味はもちろん高回転域の気持ち良い加速にもあるのですが、じつは6速80km/h巡航時、あるいは復路に体験したさらに低い速度でも余裕で巡航ができる低回転でのトルクです。「バルブ休止システム」とも呼ばれる「V4 VTEC」が生み出す6000rpm以下のドライバビリティーは、このバイクが持つハイライトだと感じました。

■ツーリング時も感じるVTECの恩恵

 the「燃費」のテストルートは何度も走りましたが、毎度発見があり、飽きません。南房総エリアを3区間に分けて回るのですが、最初の区間は「富浦IC」から南下し、程なく内陸へ。そのまま安房グリーンラインにアクセスし、南端エリアを目指します。

快走路区間でこれまでのベスト燃費を記録

 稲田の中を抜けることから始まる安房グリーンライン。そこは平地の直線道路ですが、その後、JRの踏切を越えてから南端エリアまでアップダウンとワインディングが続きます。巡航速度はほぼ一定で、上りでは負荷がかかり、下りではアクセルを緩める、そんなワインディングです。最初の区間21.5kmでは24.9km/lでした。

 第2区間は南端エリアから太平洋沿いに国道410号を走り、途中から内陸へ。そのまま国道と県道34号との交差点まで走り、県道で「大山千枚田」を目指します。信号や交通量が増える区間もあります。

 ルート前半はほぼ平地、後半は山越えのワインディングと平地を組み合わせた楽しいルートです。この区間、38.6kmを走行し、燃費は26km/lでした。6速ホールドで50km/hで走行する区間もあり、それが数値の伸びた要因かと思います。

 最終の第3区間は「大山千枚田」から再び県道34号に戻り、県道183号経由で「富津中央IC」まで。この区間もアップダウン、ワインディングが続く快走路で、バイクライディングが楽しめます。25.9kmを走り26.5km/lと、快走路でのベストを記録しました。

■魅力のV4エンジン、パッケージを煮つめたらまだ光る!?

「VFR800X」とともに走って思ったのは、パッケージ細部を煮つめればまだまだ光る、ということでした。クラッチ、アクセルの操作系のリファインや、ちょっと反射で見えにくいメーターパネル、つまみを左右の両手で操作しないと上下スライドができないため、走行中の不意の雨に対応できないウインドスクリーンなど、ツーリングシーンでストレスを感じる場面がありました。

いつものツーリング想定の計測ルートを走り終え、ゴール地点の千葉県木更津エリアに到着

■ホンダ「VFR800X」燃費結果
総合評価:☆☆☆☆★(ホシ4つ)
総走行距離:176.3km
市街地:18.4km/l
高速道路:26.3km/l
快走路:25.8km/l

 ツーリングバイクの開発に終わりはありませんね。唯一無二のV4エンジンだからこそ、今後にますます期待します。

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