意外と知らない原付のルール! 原付はどれくらいの速度で走っていいの?
バイクのニュース / 2020年11月12日 9時0分
原動機付自転車独自の交通ルールのなかに「法定速度」があります。たとえ道路標識が速度を示している道路でも、原付はまわりのクルマやバイクと一緒の速度で走行することはできないのはなぜなのでしょうか?
■原付の法定速度は決まっている!!
原動機付自転車は2つの区分に分かれ、排気量が50ccまでを原付1種、排気量が51cc以上125cc以下を原付2種としています。どちらにも「原付」の文字が使われていますが、1種は自転車にエンジンがついた乗りもの、2種は小型限定普通二輪免許が必要になるバイクといったイメージになります。
実は、原付1種には原付独自の交通ルールが定められており、法定速度が30km/hと少し厳しいルールが存在します。同じ道路を周りのクルマが60km/hで走行している場合であっても、原付は30km/h以上出すことは許されていません。このルールがあることでクルマ側からは「原付のスピードが遅くて邪魔に感じる」「すぐ脇を追い越しするのが怖い」といった声が挙がっているようです。
しかし近年のバイクは、技術の進歩にともない簡単に50~60km/hのスピードを出せる原付が販売されているため、実際に多くの原付が法定速度を超えたスピードで走行している光景を見かけることがあります。では一体なぜ、原付の法定速度が昔から変わることなく30km/hに定められているのでしょうか。
その答えは、事故の際の死亡率が大きく関係しています。警視庁のデータでは、危険認知速度(事故直前の速度)が20km/h~30km/hまでは死亡事故率が0.4となっていますが、30km/hを超えた場合0.76と2倍近くに跳ね上がります。さらに、10km/hを増すごとに交通事故件数自体は減少しているものの、死亡事故率は大きく跳ね上がっているのが確認できます。
原付は車体が軽く体がむき出しのため、事故にあった際にライダーに加わる衝撃が想像以上です。最高速度規制による速度制御は「衝突の回避」や「被害の軽減」などの交通事故防止に効果的とされているため、原付が事故を起こした際に被害を最小限に抑えるためには、30km/hの速度規制が必要ということでしょう。
また、まわりのクルマと一緒になって走行していると、気付かないうちに速度オーバーしていることも多く、速度超過による違反件数がバイクよりもはるかに多いと言われています。他のクラスのバイクと比べても、交通の流れに沿って走行した方が、事故が起こる確率が少ないように感じます。そのため、多くのライダーから原付の速度制限の緩和などの意見が寄せられており、バイク団体の議題に挙げられる機会も増えているそうです。
■原付バイクの走行車線は自由ではない?
原付には速度規制だけではなく、第一通行帯走行の義務といったルールも存在します。第一通行帯とは一番左側の車線のことを示しており、複数車線ある道路では専用レーンに関係なく原則として左側を走行しなければいけません。
第一通行帯走行の義務も原付1種には存在します
道路交通法第20条の第1項において「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。」と定められています。これは多くのライダーが行っている「キープレフト」とは少し違った意味合いになります。キープレフトは道交法でも定められていますが、対向車との接触事故を回避する目的や追い越しや右折などがスムーズにできるといった、交通上のマナーに近いイメージではないでしょうか。
原動機付自転車の第一通行帯を走行の義務は、速度制限30km/hである原付との速度差による渋滞や追突事故、二段階右折を必要とする原付独自のルールがあることが関係しています。仮に3車線以上ある幹線道路において中央車線を最高速度30km/hの原付で走行すると、車線変更や右左折時にどれほど危険であるか想像がつくのではないでしょうか。このような弱い立場である原付を事故から守るためにも、第一通行帯を走行する義務が必要となってくるのです。
※ ※ ※
原付の1種も2種も外見は似ているものの50cc以下だけには独自のルールがあるため、多くのライダーから法改正の声も挙がっています。特に速度制限には関しては時代に合ったルールとは言えず、実際に多くの原付が一般車両に近いスピードで事故なく走行しているのも確かです。今後、技術の進歩によって原付の安定性や加速性、さらにヘルメットやプロテクターの安全面がさらに改良されることで、速度制限や車線規制の緩和に繋がるのではないでしょうか。
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