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遂に登場! 自立する3輪バイク ヤマハ「トリシティ300」はホントに転ばない?

バイクのニュース / 2020年11月17日 11時0分

2018年のミラノショー(EICMA)でヤマハが発表した3CT(スリーシーティ)の実用化モデルとして、東京モーターショー2019で参考出展された「Tricity(トリシティ)300」。2020年9月30日に発売されたばかりのニューモデルに試乗しました。

■遂に出た!自立する3輪バイク

「3輪バイクって全部自立するんじゃないの?」そう思っている人も、多いのではないでしょうか。少なくとも、私(先川 知香)は前2輪の3輪バイクをヤマハがラインナップし始めた当初は、そう思っていました。

 しかし、トリシティ125や155に試乗するも、どうも前2輪の3輪バイクというのは、車体を自立させるためにタイヤが3つ装着されている訳ではないらしい。

 ヤマハが開発した前2輪の3輪バイクに搭載されるLMWテクノロジーは、パラレログラムリンクが搭載されたサスペンションと操舵機構で、軽快感と安定感の両立に貢献する技術だそうで、要は停車時ではなく、走行時に転ばないようにするためのものでした。

「なんだ、がっかり」バイクは大好きだけど、立ちゴケ怖い星人の私は、ヤマハのLMW 搭載3輪バイクが発売されるたびに、ガッカリ。トリシティ125/155ときて、NIKENにNIKEN GT。さすがに、あの巨大で重厚感のあるNIKENが登場した時は、「今回こそは!!」と、期待したけれど、やはり3輪のタイヤは、車体を自立させるための物ではありません。

 しかし、「バイク初心者は、走行中の転倒より、絶対、立ちゴケの方が怖いと思うのに」そんな、ヤマハさん分かってない!的、私の勝手なヒステリーに、遂に応えてくれるLMWモデルが登場したのです。それが、トリシティ300でした。

「でかっ!!!」

 これが、トリシティ300を目の前にした時の、私の純粋な感想です。

LMWの長兄「NIKEN」と変わらない「トリシティ300」の大きさに当初はビックリ!

 私のなかで、「自立するバイク=立ちゴケをしないバイク」なので、立ちゴケの心配がないなら、排気量は何㏄でも構わない。心の底からそう思っていたのですが、それにしてもトリシティ300は、300㏄という排気量からは想像もできない大きさです。
 
 しかも、車体が重い。300㏄のビックスクーターと考えると、決して手軽とはいえない印象です。

 それでも、今回の私にとって重要なのは、ヤマハの二輪市販車として、初めて搭載された「スタンディングアシスト」と呼ばれる自立機能を体験すること。車体の大きさは、二の次でした。

自立させるには左グリップ裏側のスイッチを押します

 自立機能の使い方は、左グリップの裏側に配置されているボタンを押すだけで簡単。すぐに車体が自立してくれます。しかし、例えばシートにまたがったまま自立ボタンを押すと、ライダーの動きによる体重の変化により、車体が左右に揺れる遊びが多いため、車体が倒れるような錯覚を起こし、ドキッとする事や、タイヤはロックされないため、人為的に押したり、坂道で自立させると前後には進んでしまうので、この機能を安心して使うには、慣れが必要な印象です。

 さらに、自立機能を解除すると、車体そのものの重みが一気にライダーにのしかかるので、解除時に油断をしていると、簡単に立ちゴケをしてしまいます。

車重もあるトリシティ300のアシスト機能は、停車時の補助的な役割として使用することをオススメします

 また、自立機能は、同じく左グリップ裏のボタンを2度押すか、アクセルを開けるかで解除されるため、バイクに乗ったまま、足を付かずに信号のある交差点を走ってみようと試みたのですが、どちらの方法で自立機能を解除しても、無重力状態で軽かった車体の重力が一気に戻ってのしかかってくるイメージで、1度は足を地面に付いて支える必要があるため、立ちゴケをしないバイクというには、まだまだ未完成なようです。

 とはいっても、今回搭載されたスタンディングアシストは、「アシスト機能」と考えれば本当によく出来ていて、多少バイクの扱いに慣れている私たちのような層のライダーなら、便利に使える機能ではあります。

 ビックスクーターなどは車体が重いモデルが多いので、渋滞時や信号待ち、停車時などにボタン一つで自立して、ライダーにかかる負担を減らしてくれる機能があるだけで、バイクでの移動がかなり楽になることは、間違いありません。

 ただ、使いこなすには、「頼れる機能」ではなく、「サポートしてくれる機能」だという意識を持って使うことが必要でした。

前輪が2輪のトリシティ300は、2輪車よりもフロントのグリップ力を感じやすく安心感があります

 次に、バイクにとって重要な、走りの部分。これは、トリシティシリーズでは共通の感覚なのですが、乗ってみると見た目ほど、前輪が2輪であることを感じさせません。

 もちろん、一般的な2輪のビックスクーターよりも走りに対する安定感は高いのですが、それは、前の2輪がしっかりと路面をグリップしてくれているというよりは、タイヤが2本で接地面積が広くなったというような、グリップ力の一体感が感じられるイメージです。

 バットモービルのような迫力ある塊感デザインに、ゆったりと乗っていられる安定感、そこにスタンディングアシストなどの、最新技術が惜しみなく投入されて、転ばないバイクまであと一歩!そんな、期待感溢れる近未来的モデル、トリシティ300の価格(消費税込)は、95万7000円です。

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