1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

the「燃費」フロント2輪のグランツーリスモ!! ヤマハ「NIKEN GT」には数値だけでは語れない魅力があった

バイクのニュース / 2020年12月12日 11時0分

ヤマハ「NIKEN GT」は、フロント2輪、リア1輪で傾きながら旋回するヤマハ独自のLMW機構と排気量845ccの直列3気筒エンジンを搭載する「NIKEN」をベースに、ツーリングでの快適性を向上させた装備が特徴です。そのツーリング燃費を計測してみました。

■存在からして、もう特別感全開!

 ヤマハ独自の3輪モデル「NIKEN GT(ナイケン・ジーティー)」のエンジンは、「MT-09」や「XSR900」に搭載される排気量845cc直列3気筒エンジンです。そして最大の特徴であるフロント2輪、リア1輪という車体構成で、モーターサイクルと同様に車体を傾けて旋回するヤマハ独自の「LMW(リーニング・マルチ・ホイール)」機構を採用しています。フロントまわりのメカメカしさは、何度見ても飽きません。

 もちろん見た目ばかりか、フロント2輪がしっかり路面を捉えることで、接地性も高くサスペンションの動きもしなやかなことから、乗り心地や安心感が抜群。グリップ力もあるので、総合的にスポーティさを楽しめるのが何よりの特徴です。そしてツーリングに便利なハイスクリーンやクルーズコントロールなどを搭載しています。

 まあ、見た目の通り車体は大きく、車重は「MT-09」比でプラス74kgの267kgです。スペック的には「MT-09」、「XSR900」と同じエンジンを搭載する分、走りや燃費に不満は出ないのか?

 カタログ上での「ナイケンGT」の燃費データは、定地燃費値(60km/h走行、2名乗車時)が26.2km/lで、WMTCモード値が18.1km/l(クラス3、サブクラス3-2、1名乗車時)です。以前the「燃費」で取材した「XSR900」のカタログスペックではそれぞれ29.4km/l、19.7km/lだったので、実走燃費値もマイナス3.2km/l、マイナス1.6km/lというあたりに収まるのでしょうか? それもひとつ確かめたいところです。

 ということで、the「燃費」取材班(筆者:松井勉)は早速いつものルートへと走り出したのです。

 the「燃費」では、市街地、高速道路、快走路(ツーリング路)それぞれの燃費を車載された平均燃費計の数値で計測し、走行距離もトリップメーターの数値で紹介しています。走行ペースは周囲の流れに合わせるよう心がけた、いわゆるフツーな走りです。

■大柄な車体はもちろん市街地燃費に影響、しかし意外な発見も?

 市街地燃費は、東京都内の外苑周辺をスタートし、国道246号線から20号線へ、左に皇居を眺めながら直進し、銀座、晴海を抜け首都高湾岸線沿いの国道357号線までの区間で計測します。朝の通勤時間帯を選んで走るので、交通量は基本多めです。

いざ、ツーリング燃費の計測へ。都心の石畳のブティック通りから朝の通勤時間帯の大通りへ

 このルートでの「ナイケンGT」の市街地燃費は16.5km/lでした。以前計測した「XSR900」が19.5km/lだったことから考えると、やや差が付いた感があります。やはり信号待ちの多さが数値に響いているように思います。後半、晴海から国道357号線まで比較的スムーズに走れたエリアでも、さほど回復しなかったことが結果につながっているようです。

 しかし、市街地を走る「ナイケンGT」は数値からくる重さにエンジンは全く負けていません。持ち前の太く滑らかなトルクで走りやすさを簡単に引き出せます。むしろ「MT-09」や「XSR900」よりも気を遣わずにゆったりにも豪快にも走れる印象で、この点は意外でした。また、スムーズに路面のギャップを吸収するフロントまわりとリアサスペンションのバランスが、上質な乗り心地を提供してくれます。

 唯一不満だったのは、エンジンが4000回転以上にならないと作動しないクイックシフターです。市街地でも使えるよう設定変更を希望します。

■さすがグランツーリスモ、快適性抜群、燃費はそれなり?

「ナイケンGT」が得意とするのは高速道路の移動でしょう。大きなウインドスクリーンで風圧と風切り音を低減、そしてクルーズコントロールが威力を発揮します。このクルコン、作動状態であれば「+」ボタンと「-」ボタンをワンクリックするだけで2km/hの巡航速度調整が出来ます。その作動感が素晴らしい。減速も加速も体感できないほど滑らかで、パッセンジャーには快適なはずです。

ヤマハ「NIKEN GT」カラー:マットブルー

 乗り心地や安心感も市街地同様、車線変更もナチュラルです。まさにGT(グランツーリスモ)、どこまでも走りたい!

 高速道路の計測は、千葉県のアクアライン連絡道「袖ケ浦IC」から館山道「富浦IC」までを往路、復路は館山道「富津中央IC」からアクア連絡道「木更津金田IC」までの2区間で、往路は制限速度が80km/hから100km/hへ、また80km/hとなってから70km/hへと変化します。復路も100km/hから80km/hとなる合計80km弱の行程で測っています。

 結果、高速道路燃費は2区間平均で22.4km/lでした。以前計測した「XSR900」は26.5km/lで、前輪がひとつ増えた走行抵抗、空気抵抗の増加、重量増など原因を推測することはできますが、いずれにしても差が付いたという印象でした。逆に乗り味は最高級ランク。そこに重量がもたらすしっとり感が加わったのだと思います。

■気になるツーリング燃費、結果だけでは語れない車体の魅力

 ツーリングを模した一般道の燃費計測では、館山道「富浦IC」から県道、そして安房グリーンラインが主体のルートで房総半島南端エリアまでをセクター1とします。セクター2は半島南端から国道410号、県道34号を経て「大山千枚田」まで。セクター3は「大山千枚田」から「紅葉ロード」を経由し、館山道「富津中央IC」までとしています。

the「燃費」の設定ルート。房総半島最南端エリアにて

 一般道合計も約80kmです。どのセクターもアップダウンが存在し、平坦路はセクター2の前半部分に多くありますが、海岸線に近いこともあり、風の影響を受けやすいのも特徴です。

「ナイケンGT」は里山を縫うように走る房総の道で楽しめます。狭い道での左右への切り返しの瞬間だけ少々重みを感じるものの、それはほどよい手応えとも取れるもので、慣れてくると安心して操れるだけに、不安や手強さはありません。低い回転でズンズン進む性格のエンジンも手伝って、6速ギアを多用しながら低いエンジン回転での走行が楽しめました。逆に4速、5速をこまめに変速し、力を使ったら燃費が向上したのかもしれません。

 結果的に、セクター1で24.7km/l(「XSR900」=26.5km/l)、セクター2で23.8km/l(「XSR900」=27.8km/l)、セクター3が24.4km/l(「XSR900」=28.2km/l)となっています。走りの満足度や快適性、LMWがもたらす新鮮なライディング感は満足度が高く、結果だけでは語れない、と思った次第です。

■燃費的にはホシ3つながら、存在的にはハナマル

 2輪の楽しさに極めて近く、それでいてフロント2輪の独自性がもたらすメリットと楽しさを享受できるのが「ナイケンGT」なのです。その存在感やヤマハ自慢の直列3気筒エンジンのキャラをしっかり練り込んだ乗り物としてオススメです。バイクだけなら文句なしでホシ5つです。

いつものツーリング想定の計測ルートを走り終え、ゴール地点の千葉県木更津エリアに到着

■ヤマハ「NIKEN GT」燃費結果
総合評価:☆☆☆★★(ホシ3つ)
総走行距離:179.9km
市街地:16.5km/l
高速道路:22.4km/l
快走路:24.3km/l

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください