これってギリギリセーフ？バイクのカスタムはどこまでなら違反にならないの？

街中を走るバイクの中には、ど派手なカスタムで注目を浴びながら走っているバイクも見かけることがあります。あまり過剰だと「これって違反にならないの？」と思うこともありますが、実際は合法カスタムとして堂々と走行しているバイクも少なくありません。カスタムバイクはどこまでなら違反にならないのでしょうか。

■バイクのカスタムはどこまで許される？

　バイクのカスタムにはど派手な装飾と爆音を響かせるスタイルもあれば、燃料タンクやハンドルなどをさりげなくカスタムしているものまで実にさまざまです。やりすぎなくらいのカスタムでも道交法上許される場合もあれば、たった1か所のカスタムであっても基準から外れていれば違反となることもあり、どこまでがセーフなのかを知っておく必要があります。

　カスタムの中でも特に人気なのがマフラー交換です。手軽にできるカスタムですが、実際の排気音量を測定するには専用の機械が必要となるため、基準内であるかどうかを個人で判断するのは困難と言えます。騒音測定は近接騒音測定と呼ばれる方法で測定され、マフラー出口から50cmの位置で45度の角度で測定します。50cc以下の原付は79dB、125cc以下は85dB、250cc以上は89dBを超えないこととされています。ちなみに90dBはカラオケボックスの室内ほどで、100dBは高架下の騒音と同じくらいの音量とされています。また、リプレイスマフラーには新基準の適合品である識別番号の記載が義務づけられています。

ハンドル交換は、保安基準で定められている規定値に収まっている必要

　ハンドルをカスタムしているバイクも多く、明らかに運転しにくそうでもデザイン重視のハンドルに変更していることも珍しくはありません。ハンドルを交換すること自体に問題ありませんが、保安基準で定められている規定値に収まっている必要があります。規定値は車検証に記載されてある数値で確認することができ、幅はプラスマイナス2cm、高さはプラスマイナス4cmの範囲内に収まっていなければなりません。また、スイッチやレバーが正しく固定されているかどうかも確認が必要です。

　最近はヘッドライトやテールライトをカスタムしているバイクも多く見かけます。ヘッドライトの色温度は3500K～6000Kの範囲内で、ウインカーの色は前後とも橙色と決められており、1分間に点滅する回数は60～120回程度とされています。また、1998年4月以降に製造された車種については常時ヘッドライトが点灯している仕組みでなければなりません。

■違法改造した場合の罰則は？

　法律に適合しないカスタムをした場合は「不正改造車」として厳しく罰せられます。不正改造行為は道路運送車両法第54条関係に違反することとなり、不正改造を実施した者には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。本人が改造した場合はもちろん、ショップに依頼して不正改造を行った場合にも罰則が適用されます。

　また、不正改造車で公道を走行した場合も違法行為となり、不正改造ステッカーが貼られ整備命令を受けることになります。整備命令を受けたものは15日以内に整備を済ませ、運輸支局に車両を提示しなければなりません。この命令を守らなければ車検証とナンバープレートが没収され、最大6か月の使用停止が下されます。

「不正改造」と間違われやすいものに「整備不良」といった違反があります。不正改造は保安基準に適合しないカスタムを施した場合に該当しますが、整備不良は道路運送車両法第47条で「自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。」と定められており、点検や整備を怠ったことにより保安基準に適合していない場合に該当します。テールランプなどの球切れやマフラーの排気漏れなど、乗車前点検を行っていれば気づくことができる不良個所が挙げられます。

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　軽微なカスタムの場合、検査を必要としない「記載変更」が適用されます。全長3cm、全幅2cm、全高4cm、車重50kgのプラスマイナスの範囲であれば陸運局に申請することで車検証を再発行してもらえます。これを超える数値に変更する場合は「構造変更」の手続きが必要となり、強度計算書が必要であったりとさらに難しい申請手続きをしなければいけません。構造変更することによって、とても合法とは思えないカスタムが可能となる場合があるのは意外だったのではないでしょうか。

　不正改造車にはなりたくないけれど、ど派手なカスタムをしてみたい人は、構造変更といった方法も考えてみてはいかがでしょうか。