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the「燃費」クラッチ操作不要のDCT装備車は燃費自慢? ホンダ「NC750X DCT」の実走燃費を計測してみた

バイクのニュース / 2021年1月9日 11時0分

クラッチ操作不要のDCTを装備するホンダ「NC750X DCT」は、省燃費でオールラウンドな走りが楽しめるクロスオーバーモデルです。実際のところどうなのか? 2021年モデルチェンジ前の2018年型で燃費を計測してみました。

■低燃費が、じつはウリです。

 the「燃費」では、以前にホンダ「X-ADV」の計測を済ませています。その駆動系と同じDCT(Dual Clutch Transmission:デュアル・クラッチ・トランスミッション)を装備する「NC750X DCT」(2018年型)の燃費は同じ? 違う? 気になります。それを確かめるべくthe「燃費」取材班は燃費データ計測に出たのです。

 ホンダ「NC」シリーズの歴史は、2012年に始まります。開発コンセプト作りの段階でホンダは、世界的にライダーからアンケートを集めます。「常用する速度域は?」の問いに「140km/h以下」、「エンジンの回転数はどの当たりを使っていますか?」の問いには「6000回転以下」という解答が大半だったというのです。

 その性能要求達成に照準を合わせ、開発を開始します。鼓動感あるエンジンはまるでクルーザーモデルのようなドコドコ感と、低い回転でもグイグイ加速するトルクを持ち、スポーツバイクスタイルにしてヘルメットひとつを飲み込むトランクを持つことも話題になりました。

 デビュー当時、排気量669ccだったNCシリーズは、2014年に745ccへ拡大。その後も数々のマイナーチェンジを加えつつ進化をしています。NCの駆動系は燃費の良さで定評があるだけに、実走燃費も期待できます。

 今回のテスト車は、2018年にグリップヒーターやETC2.0車載器、Hondaセレクタブルトルクコントロール(HSTC)などを標準装備し、2020年の現行モデルとしてラインナップしています。

「NC750X DCT」(2018年型)のカタログデータによると、定地燃費値(60km/h走行、2名乗車時)は42km/l、WMTCモード値が28.3km/l(クラス3、サブクラス3-2、1名乗車時)となっています。

 the「燃費」の計測ルートは、市街地で1回、高速道路で2回、ツーリング(快走路)で3回の燃費ログを採っています。記載する距離、燃費データはメーター内のトリップメーター、平均燃費の数値を参考にしています。

「本当のところ、このバイクの燃費はどれくらい?」という素朴な知りたい欲求に、ひとつのサンプルとしてその答えを提示し、同等クラス、気になるバイクのテスト結果と比較(まだ少ないですが)もできる、燃費読み物バラエティです。

■実用域に照準をピタリと合わせた性能、市街地走行にストレスなし

 市街地ルートのスタート地点は東京都内の外苑付近です。青山から国道246号線で赤坂を抜け皇居へ。丸の内のオフィス街をまわり、銀座、晴海と抜けて首都高湾岸線沿いの国道357号線までの区間で計測します。通勤時間帯で交通量と信号待ちが多く、そのタイミングにより燃費データが左右される傾向もあります。

いざ、ツーリング燃費の計測へ。都心の石畳のブティック通りから朝の通勤時間帯の大通りへ

「NC750X DCT」はクラッチ操作不要なので、とてもイージーに市街地を走れます。同時に持ち前のトルク感は低い回転から発揮され、アクセル開度がわずかでもダッシュ感を楽しめます。

 市街地12.3kmを走行し、その燃費は23km/lを記録。過去の記録を見ると、同区間、ホンダ「XADV」は23.9km/l、排気量645ccのVツインエンジンを搭載するスズキ「V-Strom 650XT」が18.9km/lだったことを考えると、NC系の燃費は、なるほど優秀です。

■高速道路でも急かされること無く淡々と進む快適性

 the「燃費」の高速道路の計測スタート地点は千葉県木更津市です。2区間を計測する往路区間は、アクアライン連絡道「袖ケ浦IC」から館山道「富浦IC」まで、復路は館山道「富津中央IC」からアクア連絡道「木更津金田IC」までを利用しています。

意外とウインドプロテクション効果を感じられるため高速道路走行も快適

 往復とも、アクア連絡道以外ではアップダウンが続きます。また、往路は制限速度が80km/hから100km/hへ、また80km/hとなってから70km/hに、復路は100km/hから80km/hと変化します。

「NC750X DCT」のスクリーンは、小ぶりに見えながらライダー正面からの風を適正に避けてくれるので、クルージングの快適さをしっかり維持してくれます。長距離クルーズではやや重めに感じるスロットルが気になるところですが、今回の測定では往路54km区間を33.3km/l、復路25.5km区間で31.9km/l、平均では32.6km/lとなりました。

 ちなみに、市街地燃費計測を終え、お台場からアクアライン経由でスタートカット写真を撮影する“千葉フォルニア”までの37.5kmの移動では、首都高入り口までの数キロとアクアライン「金田IC」出口までの区間が40.2km/l、その後5kmほどの一般道を交えて38.2km/lという数字をマークしています。

 交通量は多めながらコンスタントに一定速度をキープできたこと、100km/h制限のところが無く、燃費計測区間より速度域が低かったこと、市街地燃費も得意なこともこの数値につながったのだと思います。

■快走路でも省燃費の実力を発揮

 房総半島南部を巡るツーリングルートで計測する快走路燃費。交通量、信号ともに少ないルートを3区間走ります。

the「燃費」の設定ルート。房総半島最南端エリアにて

 区間1は館山道「富浦IC」近くのコンビニからスタート。内陸部を通る安房グリーンラインを経由して南端エリアまで。区間2は南端の海岸線から国道410号線で海岸線沿いに移動。その後、北上して県道34号線を経由し「大山千枚田」へ。区間3は「大山千枚田」から県道184号線、紅葉ロードなどを経由して館山道「富津中央IC」までとなります。

 海岸線と一部平坦路はあるものの、ルートの多くでアップダウンとワインディングで構成されるルートになり、ツーリングルートとしては醍醐味たっぷりな快走路となっています。

「NC750X DCT」はツーリングペースでも持ち前の低回転トルクを活かし、低い回転でドコドコ感を楽しませながら快調に駆け抜けます。わずかなアクセル開度でも必要な加速、登坂ができる印象で、結果的に低燃費を出すのだと思います。

 燃費結果は、区間1が22.2kmを走行して33.5km/l、区間2は39.1kmを走行して33.8km/l、区間3では26.4kmを走行して33.8km/lでした。3区間ともほぼ同等の数値を記録し、平均も33.7km/lです。これは「X-ADV」の快走路平均35.4km/lには及びませんが、「V-Strom 650XT」の31km/lや、先日テストを済ませている「テネレ700」の31.4km/lをともに上回る結果になっています。

■ナナハンクラスでこの燃費は満足のレベル

 DCT(Dual Clutch Transmission)エンジンを搭載する「NC750X DCT」は、MT車よりもパーキングブレーキなどの付帯装備を含め10kgの車重増となります。

いつものツーリング想定の計測ルートを走り終え、ゴール地点の千葉県木更津エリアに到着

 比較してみると、ヤマハ「テネレ700」の205kgや、スズキ「V-Strom 650XT」の215kgよりも重たい231kgながら、総平均で3km/l以上も上回って見せました。同門「X-ADV」が記録した総平均32km/lには届かなかったものの“NC系の駆動系は燃費良し”を不動のものにしています。

■ホンダ「NC750X DCT」燃費結果
総合評価:☆☆☆☆★(ホシ4つ)
総走行距離:179.9km
市街地:23.0km/l
高速道路:32.6km/l
快走路:33.7km/l

 さて、すでに欧州では発表され、2021年に新型として登場が控えている「NC750X」は燃費性能をどのように進化させているのでしょうか? こちらも楽しみです。

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