「完敗」を認めるも高評価! ホンダがMotoGP2020を振り返り
バイクのニュース / 2021年1月13日 13時0分
ホンダは2021年1月8日、MotoGP2020年シーズンの合同取材会を開催し、各ライダーへの評価や、今季に向けての目標を発表しました。
■成績を残したライダーのサポートを手厚くするのは当然のこと
新型コロナウイルスの感染拡大で、カレンダーやレギュレーションへの大きな変更が強いられた2020年シリーズは、絶対的エースであったマルク・マルケス選手の怪我による欠場など、ホンダにとって大きな苦戦を強いられた年でもありました。そんな2020年シリーズについて振り返り、ライダーへの評価や、今季についての目標を発表しました。
まず、1年間に使用したエンジンの台数について、次のように説明します。
「MotoGPは例年、レギュレーションにより年間7基のエンジンの使用が認められています。しかし、新型コロナウイルス感染拡大によるレギュレーションの変更で、2020年シリーズのエンジン使用可能台数は年間5基。ホンダとしても、各ライダー5基のエンジンを用意していましたが、さまざまな条件下により、実質使用したのは4基のみでした」
さらに、マシンの年式についても、マルク・マルケス選手、アレックス・マルケス選手、カル・クラッチロー選手のワークスマシンでの参戦は、シーズン前に発表されていましたが、マルク・マルケス選手が負傷し欠場が決定したのちは、チャンピオン争いができる位置を走る中上貴晶選手のポテンシャルを評価し、エンジンのみ2019年型ではあったものの、それ以外に関しては2020年型へのアップデートが施されるなど、サポート体制を強化していったことが明言されました。
中上貴晶選手の2020年MotoGPシーズンは飛躍の年になった
また、各ライダーへの評価として、中上選手については、「これまでの経験を活かせたということに加え、彼自身、毎年勝負の年だという想いでやっているのですが、そのなかでマシンをどうすれば速く走らせることができるのかという点に重点を置き、開発陣と共にデータを見ながら試行錯誤。それをすべて自分のモノにするというような、我々のマシンのポテンシャルを引き出せるスキルを身に付けてくれ、彼のポテンシャルの高さを感じました。
よく、ワークスマシンやサテライトマシンといった話が出ますが、開発陣としてはワークスマシンやサテライトマシンというような考え方はしていないので、基本的には中上選手に合うマシンというのを、2020年シーズンの初めから用意すべく、前年から用意していたので、それが上手くいったところもあって、マシンとライダー両方のアップデートが上手くかみ合った結果、前を走れる結果となったのだと思います。ただ、中上選手の伸びしろが大きかったことも事実です」と高評価。
参戦1年目のアレックス・マルケス選手は後半戦トップ5入りを目指していたが結果は期待以上
アレックス・マルケス選手についても、「ルーキーイヤーということで、シーズン後半でトップ5に入っていければいいかなという一つの目標を立てていましたが、結果的には期待以上でした。
前半戦は、初めてのMotoGPマシンで初めて走るサーキットと、初めて尽くしで適応に時間がかかりましたが、タイミングとしては開発側がマシンのアップデートをするに伴って、彼がマシンのポテンシャルを引き出しやすいようになっていったこととの相乗効果で結果が出てきたのだと思っています。
そういう意味では彼にとってもいい1年だったし、我々も結果には満足しています」と評価しました。
■2021年型RC213Vの最高速は重要なファクターの一つ
2020年シーズン、MotoGPライダーの中で一番距離を走ったライダーはステファン・ブラドル選手
ステファン・ブラドル選手については、「昨シーズンの全MotoGPライダーのなかでも、彼が一番距離を走ったライダーなんですよ。レースもテストも両方やってくれているので、非常にフィジカルの厳しい状態のなかで、しかもコロナ明けでテストもなく、いきなりレースに来てもらったということもあって、最初はかなり厳しい環境ではあったのですが、それもすぐに克服してくれました。
ステファン選手については、どうしても開発の方に重点を置いてもらう形で進めて行ったのですが、彼からのフィードバックにより、いろいろな自分たちの課題や欠点、どういう方向性でいろいろなことをやっていけばいいのかなどを決められたし、順調にマシンをアップデートできたので、我々としては彼の働きには満足しており、最終戦では10位以内に入るというスピードも見せてくれているので、とても感謝しています」と、コメントしました。
2020年シーズンで引退を決めたカル・クラッチロー選手は、ポテンシャルのあるライダーだった
カル・クラッチロー選手については、「クラッチロー選手は、今年は怪我に泣かされたシーズンとなってしまい、彼が本来持っているスピードを100%発揮できなかったシーズンとなりましたが、それでも、所々では彼の速さを見せていて、彼はやはりポテンシャルのあるライダーだという風に感じました。
ウィンターテストも含めて、彼にはマシン開発の方向性を決めるような評価をやってもらっており、非常にいいフィードバックをもらっているので、我々も感謝していますし、これからの彼の新しい道を応援したいと思っています」と、感謝を述べました。
また、2021年シーズンについては、「課題自体は2019年、2020年と固まってきていて、基本的には変りません。まずは、ミシュランタイヤの使いこなしを含めた減速時の安定性やトラクションの向上に加え、今シーズンは空力の領域も1度のみアップデートできるので、空気抵抗の低減とハンドリングとの両立を見直していく必要があると思っています。今年は、チャレンジの年。例年よりもしっかりと直していくというのが開発の方向性です。
エンジンには手を入れられない2021年シーズンは、吸排気系の見直しで最高速を伸ばす
一方で、エンジン自体にはレギュレーションで手を入れられないのですが、最高速は重要なファクターとなるため、レギュレーションで許されている吸排気系の部分は当然見直していく予定です。
今季は自分たちの常識から少し外れて、今一度考え直し、去年の敗因をしっかりと検証し、負けを勝ちに繋げていくことが我々の仕事なので、今までと方向性は同じでも、そこから大きく外れることで、大きなチャレンジをして、今シーズンのマシン開発をしていく方針」と、説明しています。
2021年から新たにRepsol Honda Teamに加入したポル・エスパルガロ選手
今季から加入することが発表されているポル・エスパルガロ選手の起用理由については、「ポル選手のスピードやポテンシャルは非常に高いという認識から興味を持ち、昨年の成績を見ても表彰台にも上がり、彼のライディングもホンダのマシンに対してマッチしているかどうかは分かりませんが、方向性としては似ているんじゃないかという点から起用するに至りました」と説明。マルク・マルケス選手の状態については、今季に間に合うように調整中ではあるものの現在は経過観察中と、参戦についての明言は避けました。
「今年は当然3冠奪還が一番の目標となります。去年はホンダの強さを見せられなかったので今季は、やっぱりホンダは強いんだというのを、見ているお客さんに感じてもらえるようなレースをし、3冠奪取を目標にやっていきたいと思います」
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