【実話】2輪メディア業界人が高性能バイクを物色していたら軽自動車と軽二輪をセット購入していた!?
バイクのニュース / 2021年2月7日 13時0分
2輪業界を中心に活動するフリーランスの伊丹さんは、現金150万円の予算でバイクを物色していたら、結果として軽トラックと200ccのレジャーバイクをセット購入していました。いったいどういう理由があったのでしょうか?
■業界歴30余年、一周以上回ってたどり着いた楽しい形態とは?
2輪専門誌編集長を経てマン島TTレースやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム・レースに挑み、2輪業界を中心に活動するフリーランスの伊丹孝裕さんは、現金150万円の予算でバイクを物色していたら、結果として軽トラックと200ccのレジャーバイクをセット購入していました。いったいどういう理由があったのでしょうか? 本人は次のように話します。
■身の丈に合った「6輪生活」の好例か?
あれは2019年秋のこと。毎日毎日毎日、そこそこ真面目に働いた結果、気がつくと「使っちゃってもいいかな」と思えるお金が150万円ほど貯まっていました。
すると仕事柄、「なんかバイクでも買おっかなぁ」となるわけです。当時は趣味でエンデューロ競技にハマッていたこともあり、どうせなら街乗りバイクも土っぽいヤツにしようと決意。アドベンチャーモデルを物色しておりました。
信頼のホンダ「アフリカツイン」で王道を歩むか、シロートお断りのKTM「790アドベンチャーR」で返り討ちにあうか、はたまたエンジンの鼓動が心地いいモトグッツィ「V85 TT」で癒されるか……とあれこれ思い悩んだ結果、スズキ「スーパーキャリイ」(119万3500円/4WD・5MT)と「バンバン200」(40万円/新古車)をセットで購入。いかがでしょう?
いや、そう言われても「知らんがな」でしょうけど、これがなかなかいい買い物で、スタンダードの「アフリカツイン」(144万5400円/当時)より高くなったものの、上位グレードの「アフリカツイン・アドベンチャースポーツDCT」(169万5900円/当時)よりは安い、絶妙な落としどころに我ながら惚れ惚れしました。
なぜこうなったのかと言えば、単純にカッコいいと思ったから。やっぱりね、ニッポンの道路には「K」トラックですよ、Kトラック。フルサイズのピックアップトラックは、アメリカで見てこそ素敵に映りますが、いかんせんデカい。あのタフなたたずまいをこの国のスケールに落とし込んだのがKトラックであり、言わばジャパニーズピックアップと呼んで差し支えありません。
あ、ちなみにKトラックの「K」は、「カッコイイ」、「カワイイ」、「クール」、「気持ちいい」、「決まってる」、「個性的」、「軽い」、「機敏」、「経済的」、「キタァァァ~」の「K」ね。テキトーなことを言っているようですが、真実です。覚えておいて損はありません。
【実用例】軽(K)トラックは、日本のスケールにジャストフィットする“ジャパニーズピックアップトラック”
ところで、スーパーキャリイのなにがスーパーなのか? 「超運び屋」を名乗るからには、ウルトラハイスペックなところがあるわけで、それが運転席後方に設けられた収納スペースに他なりません。ほら、普通のKトラックって、シートが断崖絶壁のように切り立っていて、室内にはなにも置けないでしょ? スーパーキャリイにはその我慢が必要なく、極小空間の匠が手掛けたかのような隠し部屋が出現。シートを前方にパタンと倒す度に「なんということでしょう……」と、ひとりビフォア&アフターごっこができるのです。
その空間にはヘルメットや工具、ウェアといったライディングアイテムが置けるだけでなく、シートを後方へ40度ほど傾けることも可能。運転して疲れた時は、仮眠もできるというわけです。
さらには4WDの5MTですから、アドベンチャーモデルもビックリの走破性を確保。軽量コンパクトなボディが生み出す機動力を活かして悪路を突き進み、いよいよ厳しくなったら荷台から「バンバン200」を降ろして、さらに突き進む……というヤッターマンスタイル(メカからメカが出てくるってことね)を実現しています。
【実用例】スーパーキャリイにはスーパースポーツモデルのヤマハ「YZF-R1M」も積載可能
さて、ここで鋭い人はこう思うでしょう。「室内が広いということは荷台が狭いってことじゃね?」と。その通り。ニッポンの軽自動車はトラックだろうと、ワゴンだろうと、ハッチバックだろうと厳格にサイズが決まっています。例えば、全長3395mm・全幅1495mmというのがそれで、室内が広くなったからといって、その分を後方に伸ばすわけにはいきません。
必然的にスーパーキャリイは頭でっかちになり(※おたまじゃくしみたいでキュートだと思っている)、荷台は短くなるわけですが、全長2140mm・軸間距離1375mmのバンバン200の場合、対角線をギリギリ攻めればジャストフィット。ちゃんとアオリ(荷台最後部の開閉蓋)も閉まります。
リッタースーパースポーツだとハンドルの切れ角が少なく、タイヤも太いため、アオリはきちんと閉じないものの、リアタイヤの接地面はちゃんと荷台に載るため問題なし。アオリを開けたまま走行しても、ナンバーが視認できれば違反ではないため、安心してください。
いや、それにしても素晴らしい。「バンバン200」というユルキャラがまた最高で、ヤマハ「セロー」が得意とする2輪2足で漕ぎ進むような場面では、その低シートと太タイヤが威力を発揮。バイクに乗り始めてかれこれ34年ほど経ちますが、今が一番楽しいと感じています。
スズキ「バンバン200」(2002年新登場、2017年生産終了)砂地での走破性も考慮した極太タイヤにマフラー、幅広ハンドルなど個性的なスタイルが特徴。排気量199ccの空冷単気筒エンジンを搭載
そういえば、Kトラックを手に入れて気づかされたのは、本当はみんな大好きだったんだねってこと。少なくとも男子はみんな胸熱。なのに、いざ趣味クルマとして買うとなると及び腰になるのはなぜか?
その理由は簡単で、ずばり世間体でしょう。冠婚葬祭には使いづらいし、周囲の目を考えるといくらなんでもなぁ、という保守的な価値観に縛られているようです。そういう意味ではあれですよ。カテゴリー的にはフェラーリやランボルギーニを所有して「こんなもの買っちゃってよかったのかなぁ」と思うのと大差なし。なかなか浮世離れしたニクいヤツだと思っています。
というわけで、そこそこお高いバイクを1台買うのなら、同じような価格でこういう選択肢もありますよ。そんな実践的趣味講座でした。ではまた。
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