鳴らすのに躊躇する自転車のベルの上手な使い方とは?
バイクのニュース / 2021年2月19日 7時0分
自転車に乗っていて、前方の歩行者に存在を伝えるためにベルを鳴らそうと思っても、相手に露骨に不快感を示される場合を考えると不安になります。自転車のベルを上手に使うにはどういった方法があるのでしょうか。
■自転車のベルの必要性と正しい活用法とは?
鳴らすと良い顔をされないイメージがある自転車のベルに対しては、使って怒られるくらいならばいっそ付けない方が良いのではないか?と考える人もいるかもしれません。しかし、自転車のベルは「警音器」として、公道を走行する際に必要な装備の1つに挙げられており、ベルの装着は法律で定められた義務となっています。
道路交通法第54条では、「車両等(自転車以外の軽車両を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。」と定められています。ほかにも自転車のベルの必要性に関する決まりについては、都道府県ごとにも条例が定められ、例えば東京都道路交通規則第8条の第9項では、「警音器の整備されていない自転車を使用しないこと。」と明記されています。埼玉県の道路交通法施工細則第10条第2号でも自転車のベルの取り付けについて義務づけられており、未装着の場合は5万円以下の罰金という罰則が設けられています。
では実際に、自転車のベルはどのようなときに鳴らすべきかなのでしょうか。利用方法について正しく知っている人の方が少ないかもしれません。道路交通法で定められたベルの利用方法について、第54条第1項では、「左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。」、第2項では、「山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。」といったようにそれぞれ制限があります。
例えば、見通しが悪く状況の場所では、相手に対して自分の存在を知らせるように標識によってベルを鳴らすように指示が出ています。また、緊急時の場合ではやむをえない時に例外としてベルを鳴らすこともあるでしょう。ですが、そういった場面を除いては、法律で必要とする場面以外で「気軽に鳴らしてはいけない」という制限があることに注意が必要です。
■自転車のベルの使い方を間違うと罰則対象に?
自転車のベルの本来の目的は、事故を未然に防ぐための警告装置です。そのため、自転車のベルについて誤った使い方をすると、罰則が与えられる場合があります。
指示がある場所でベルを鳴らさなかった場合には罰金が課される恐れがあります
例えば、標識で指示があるにも関わらず、自転車のベルを鳴らさなかった際は道路交通法第54条に違反したとして「警音器吹鳴義務違反」となり、第120条第8項により5万円以下の罰金が課されます。また、自転車のベルの使用を制限する「警音器使用制限違反」では、危険を防止するためにやむを得ない場合を除いて、標識による指示が無い場所でベルを鳴らすのは、第121条第6項により2万円以下の罰金が課されます。
自転車に乗っている時につい歩行者が自分の存在に気づいておらず、接近を知らせるためにベルを鳴らしてしまったという経験はないでしょうか。この場合、歩道を含めた道路は常に歩行者優先なので、一般的には歩行者の存在に気付いた時点で自転車が一旦停止し、歩行者の通過を待つことが必要となり、ベルを鳴らしてしまうことで「警音器使用制限違反」となってしまいます。
このように普段何気なく行っていた行為が、実は法的には違反行為になっているということもあります。自転車を利用する以上、関係する法律は正しく知っておくべきと言えるでしょう。
※ ※ ※
自転車のベルは装着義務はあるものの、道路交通法に定められた実際の利用方法はかなり限定的です。気軽に人に向けて鳴らすことは、相手を不快にさせるだけでなく、違反行為にも繋がります。また、歩道上では特に注意が必要で、一定の条件下で自転車も通行できる歩道において、自転車は「使わせてもらっている」という立場にあり、歩行者が利用の最優先対象です。
通常の場合もそうですが、歩道では特に自転車はベルを鳴らすのではなく、一旦停止などの歩行者の安全を優先した行動をとらなければ、自転車の方が歩行者の通行を妨げているという形になりかねません。自転車のベルの役割は、車のクラクションと同じです。正しく装着し、法律で定められた必要な場面でのみ使用しましょう。
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