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ベーシックな存在のホンダ「スーパーカブ」がベースだからこそ際立つ ビルダーが注いだ創意工夫と技

バイクのニュース / 2021年2月26日 11時0分

日本のカスタムシーンにおいてはビジネス的な側面からショップへの注文も少なく、入魂の作品が生み出されることは決して多くはない小排気量車ベースのチョッパーですが、そうした中でひときわ際立つ存在があります。ここではロッドスターによって製作されたスーパーカブ・カスタムに焦点を当ててみましょう。

■「世界で最もベーシック」なモデルのスタイルを一新

 ノーマルのバイクに手を加え、姿をガラリと変えること……たとえばエンジンチューニングを施し、更なるパワーを与えたり、サスペンションを変え、コーナリングや直進安定性を高めるなど“カスタム”には様々な目的がありますが、その中で“スタイルアップ”も重要な要素のひとつとなっています。

 特にチョッパーの世界においては、この“スタイルの変更”は、主役というべき部分。ビルダーそれぞれのセンスや技術が問われるのですが、ここに紹介するロッドスターが製作した一台は、それを顕著に指し示すものといえるかもしれません。

 べースとなっているのはホンダ「スーパーカブ」ですが、1958年の初代モデル「C100」が登場して以来、そのタフな構造と、モデルや使い方によっては100km/L(カタログ値)を超える燃費を実現した同シリーズは、2017年10月に世界生産累計台数1億台を達成。

 それはすなわち「世界で最もベーシック」な存在のオートバイということを示すでしょうが、だからこそ、このモデルをベースにカスタムを施したと製作者の永井章博さんは語ります。

「このバイクを製作したコンセプトは“カスタムバイクの魅力を少しでも多くの若い世代に知ってもらいたい”というものなんです。だから原型が誰にでも分かりやすいスーパーカブをあえてベースにしました。たとえばバイクを知らない、興味がないという人でもスーパーカブならノーマルの姿をイメージしやすいですから。

 “カスタムでノーマルのバイクの姿がここまで変わるんだ”ということを示したかったのと、自分がこれまで培った技術的な挑戦ですね。あとは原型をガラリと変えて、どこまで恰好良いものを創れるかという部分にも拘って製作しました」。

■小さな車体に込められた“チョッパー”の基本的理念

 永井さんの言葉どおり、マシンには徹底的に手が加えられているのですが、使用されたノーマルパーツはエンジンのみ。フレームやタンクとシートカウルが一体化された外装、前後のホイールに至るまで、すべてワンオフ(一品もの)で製作されており、各部には見事な意匠が垣間見えます。

ワンオフ(一品もの)の前後21インチホイールが印象に残るリアビューの姿。前後リジッドフォークやリアのみに装着されたブレーキ周りなど各部からは純粋な“ショーモデル”としての仕様が伺えます

 特にあえて金属の質感を活かしたアルミ叩きだしのボディワークは高い完成度を誇っており、ロッドスターの技術を現すものとなっています。

 近年のカスタムシーンでは、この手の小排気量車といえばインドネシアの市場が世界から注目され、多くのカスタムが生み出されているのですが、日本のビルダーのソレもかなりのもの。

 王道のハーレー以外をベースにしたチョッパーといえば、ここ日本ではビジネス的な側面からカスタムショップへの注文も少なく、入魂の作品が生み出されることは正直、少ないのですが、だからこそ、あえてベーシックな小排気量車をベースにしたこのマシンの存在感がより際立ちます。

 ベースマシンが何であるかを問われず、ビルダーそれぞれの“クリエイティブ”な感覚と創意工夫こそが問われるべきもの……この一台は、そんな“チョッパー”の基本的な理念を改めて教えてくれたような気がします。

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