シルキーシックスをバイクでも!? BMW Motorrad「K1600B」は現行モデル唯一の直列6気筒エンジンを搭載するプレミアムツアラー
バイクのニュース / 2021年2月27日 11時0分
2011年にBMW Motorrad史上初となる排気量1649ccの直列6気筒エンジンを搭載した「K1600」シリーズのなかで、2017年新登場となったボバースタイルの「K1600B」に試乗します。
■もはや別格、直列6気筒エンジンはいまなお新鮮!!
BMW Motorrad(以下、BMW)の「K1600」シリーズは、プレミアムツアラーとして2011年に新登場以来、市販バイクとして唯一の直列6気筒エンジン搭載車として独自の個性を放っています。
超快適なプロテクション性能を持つフェアリング、ライダーが手元で高さを調整出来るスクリーン、アダプティブヘッドライトの装備など先進性を満載し、サスペンションも電子調整式。また、現行BMWモデルの多くが採用する、左スイッチボックスにある回転式の「マルチコントローラー」(機能の選択と決定のクリックができる)を最初に搭載したのも「K1600」でした。ラゲッジケースをスイッチひとつで施錠、解錠が可能な集中ロックも備えています。
2017年に新登場となった「K1600B」は、「K1600」シリーズが持つツアラーとしての快適装備をスポーティにまとめ、バガースタイルを取り入れたモデルです。低いスクリーン、なだらかな曲線で尻下がりスタイルを演出したテールエンド、その角度のカウンターとしてスラッシュカットされた左右のマフラーなど、バガーの世界観をしっかりと封入したキャラクターになっています。トップケースが省かれているのは、バガースタイルならではでしょう。
BMW Motorrad「K1600B」カラー:ブラックストーム。テールに向かってスロープ状に流れるようなシルエット、左右のクロームメッキサイレンサー、固定式パニアケースが特徴的
なによりエンジンです。「シルキー6(シックス)」と評されるエンジンは4輪のエンジン設計を経た開発者が手がけ、シルキー6のなんたるかを知り尽くした人たちによって生み出されたもの。デビュー10年を経て、いまなお新鮮。これはスゴイことです。
アイドリング時のサウンドは、どこか機内で聞くジェットエンジンのようで“ヒーン”という音があり、アクセルを開けると、トーンの整った硬質な排気音が、他の形式のエンジンと一線を画したフィーリングで耳に届きます。
エンジンは55度と深く前傾したシリンダーレイアウトにより、ライダーの居住空間が幅広くなることを抑えています。確かに見た目は巨体なのに、ライディングポジションに着くと手強さがない、そんな意外さに気づきます。
1速にシフトしてクラッチを静かに繋ぐと、その巨体はスルリとスムーズに動き出します。巨大に思えたバイクがいきなり手の内に入ってきたような印象です。フロントに採用されたデュオレバーサスペンションは、クルマで言えばダブルウイッシュボーンのような機構であり、最大の特徴は路面入力の吸収性に優れていることです。
ハンドルバーの幅そのものは適度なもので、ライダー側にオフセットされ、ライダーの姿勢をアップライトにしてくれます。低速での左折時などクルーザーモデルにあるグラッと切れ込む動きもありません。自然なハンドリングなのが印象的です。車重358kgの巨体と意思疎通が手短に正立し、ライダーの緊張を逆にほぐしてくれます。
短くカットされた電動調整式ウインドシールドは、最も低い位置にセットした状態でも着座位置の低さもありプロテクション効果は高い
市街地、高速道路での走りは快適そのもの。アイドリング回転からスムーズにアクセルに追従し、高いギアでも増速を開始するエンジンにより、ライダーはいつでも別格なバイクに乗っている感覚に満たされます。履いているタイヤのせいか、やや段差ではゴツゴツ感を伝える部分もありますが、優れたシートによりグリップ以外にダイレクトな衝撃はありません。
低いウインドスクリーンを装備するバガースタイルですが、ライダーのシートも低く(シート高は750mm)、その恩恵は高いものがあります。クルーズコントロールをきかせて高速道路を流すだけで満たされます。追い越しも6速のまま、少しアクセルを開ければ“ヒューン”というエンジン音と“ヒーン”という排気音がミックスした、独特の6気筒サウンドとともに信じられないほど低い回転域から力強い加速を発揮します。
もちろん、シフトダウンをして高い回転域を使えば、もうメロメロになりそうな官能的なサウンドを奏でながら車体を一気に加速させます。その迫力たるやもう……。使い古された表現ですが、さすがアウトバーンの国から来たBMWだけに、ただ者ではなりません。
クラッチを操作せずにシフトアップ/ダウン可能な「ギアシフト・アシスト・プロ」標準装備
その好印象はワインディングロードでも続きます。バンク角が浅く感じてしまうほどコーナリング性能は高いのです。走るうえで重たさに起因する不満は無く、その重さは旋回中も安定感、安心感に寄与しています。「Fun to Ride」に没頭出来るなんて、予想外でした。
軽快という表現はあたりませんが、左右への切り返し、ブレーキングしながらのカーブへのアプローチなど、スポーツバイクを走らせる悦びがしっかり味わえました。それほど楽しめるのです。
走っている間、とにかく満足感が高い。これが「K1600B」のスゴイところ。つまり、パッケージングがしっかり整っている証拠です。じつは久々に乗る機会となり、そろそろ古さも感じるかな? と思っていたのですが、結果は真逆でした。また新鮮な走る楽しさを味わえました。どうですか? 直6体験、いえ、BMWのストレート6、体験してみませんか?
BMW Motorrad「K1600B」の価格(消費税10%込み)は305万8000円からとなります。
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