3気筒エンジンを搭載するトライアンフ新型「トライデント660」 見た目も走りも過不足ない車体で価格100万円以下はお見事
バイクのニュース / 2021年3月2日 11時0分
英国の老舗バイクメーカー「トライアンフ」の2021年新型「トライデント660」は、水冷並列3気筒エンジンを搭載し、車両本体価格が100万円以下というシンプルなスポーツネイキッドモデルです。早速試乗しました。
■走り出したい気持ちにフタをしないスポーツネイキッド
2021年1月に発売が始まり、さまざまなバイク雑誌の表紙を飾っているモデルが、トライアンフの新型「TRIDENT 660(トライデント660)」です。
話題を集めている理由は、軽量コンパクトな車体、手頃な排気量、過度な装飾を持たないミニマルなデザイン、イギリス車というブランド、リーズナブルな価格……と、いろいろ。多くのライダーのリクエストを満たす、ちょうどよさが歓迎されています。
ご覧の通り、そのたたずまいはとてもバイクらしいものです。丸目のヘッドライトとアップハンドルを備えたスポーツネイキッドとして送り出され、奇をてらった部分がありません。現在の流行はネオクラシックと呼ばれるジャンルですが、「トライデント660」には時代を振り返り過ぎることも、先取りし過ぎることもないシンプルなスタイルが与えられています。
丸みを帯びた燃料タンクや、必要最小限のパーツで構成されたスチールパイプフレームも同様で、オーソドックスそのもの。トレンドを意識した装備は、スイングアームにマウントされたナンバープレートホルダーくらいでしょう。
軽量コンパクトな車体と書いた通り、車重は189kgと軽く、805mmのシート高は良好な足つき性を実現。アップライトなライディングポジションのおかげもあって、小柄なライダーでも車体の引き起こしや取りまわしは難なく行なえるはずです。
実際、試乗車を用意しているディーラーには、かつてないほど多くのライダーが訪れ、臆することなく乗っています。威圧的な雰囲気のなさが、幅広い層に受け入れられているようです。
トライアンフ「TRIDENT 660(トライデント660)」(2021年型)カラー:クリスタルホワイト。排気量660ccの水冷並列3気筒DOHC4バルブエンジンを搭載し、最高出力81PS/10250rpm、最大トルク64Nm/6250rpmを発揮
「トライデント660」を走らせている間、なにより印象的なのはトルクバンドの広さです。極めて扱いやすく、ギアが何速でも、回転数が何回転でもスロットルひとつで自在に加速できるフレキシビリティは、とても排気量660ccとは思えません。実際、6速2000rpmという高ギア&低回転からでも、右手を捻るだけで車体は力強く押し出されます。
トライアンフには、同じ660ccの排気量を持つ「ストリートトリプルRS」というモデルがあります。水冷3気筒という形式も同じなのですが、こちらが高回転重視の伸びやかなエンジンだとすると、「トライデント660」のそれは低中回転重視。中身もまったく異なるパーツで構成されるなど、丁寧な作り込みが光ります。
クラッチも軽く、ストップ&ゴーが続く街中でもストレス知らず。もしもビッグバイクに不慣れで、より穏やかな特性を望む時は、「ロード」と「レイン」の2パターンがあるライディングモードの内、「レイン」を選択しておくといいでしょう。レスポンスが大らかなものになり、スキルをフォローしてくれます。
軽いのは、ハンドリングも同様です。どんなシチュエーションでもヒラヒラと思い通りに切り返すことができ、自由自在。静的には尻上がりの姿勢に見えますが、実際に乗るとリアに荷重がしっかりと掛かり、安心して車体に身体を預けることができるはず。これまでおっかなびっくり走っていたワインディングも、まったく違った印象で走れるのではないでしょうか。
燃料タンク容量は14リットル。ナンバープレートはスイングアームにマウントし、テールランプはシート下後方にすっきりとまとめられている
それにしても、よくまとまっています。サスペンションやブレーキキャリパーは、決してハイグレードなものではありませんが、性能にもフィーリングにも不満はなく、充分なスタビリティを披露。3気筒エンジン特有のゴリゴリとしたトルクと81PSのパワーを受け止め、路面に伝えてくれます。
機能の向上やドレスアップを望む場合は、現時点ですでに45種類ある純正アクセサリーの中から、好みのパーツをチョイスするといいでしょう。今回の撮影車両に装着されているフライスクリーンやアルミ製ベリーパン(エンジン下のガード)、ピリオングラブハンドル、バーエンドミラーなどがそれに当たります。
そして注目すべきは、97万9000円(消費税10%込み)という車体価格を実現しているところです。これは、ホンダ「CB650R」とまったく同じで、ヤマハ「MT-07」やスズキ「SV650」、カワサキ「Z650」よりは高いものの、電子デバイスや装備面の充実度で勝る、という絶妙なところ。そこに「ガイシャ=割高」というイメージはありません。
テスター目線で相当シビアにアラを探せば、スロットルを数ミリ開けたところに、エンジン回転数が上がり過ぎる領域があるのですが、裏を返せばその程度。この「トライデント660」によって、トライアンフのシェアがさらに拡大することは間違いなさそうです。
大排気量モデルでありながらコンパクトで扱いやすい。ストリートでの軽快なフットワークも魅力
ライダーなら誰しも、無性に「バイクに乗りたい」、「バイクで出掛けたい」と思う瞬間があるでしょう。そういう気持ちにフタをすることなく、積極的に後押ししてくれる存在が「トライデント660」です。そのフットワークの軽さを試乗車で試してみることをおすすめします。
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