the「燃費」バイクにも装備される「アイドリングストップ」機能 その効果は? 実走調査!!
バイクのニュース / 2021年3月6日 11時0分
4輪では一般的な「アイドリングストップ」機能が、バイクでもホンダの一部モデルに搭載されています。燃費に効果があるのでしょうか? 素朴な疑問を解明すべく実走調査しました。
■バイクの「アイドリングストップ」機能、効果アリかナシか?
『バイクのニュース』で活動しているthe「燃費」取材班が、常日頃より明らかにしているバイクの実走燃費。なかでも記憶に残るのが、以前取材したホンダ「PCX150」や「ADV150」にも装備された「アイドリングストップ」機能です。
4輪ではポピュラーな存在ながら、バイクの世界ではホンダのスクーターや「Gold Wing(ゴールドウイング)」など、一部のモデルでそれが実用化されているに過ぎません。交差点で停止すると自動的にエンジンも停止する。確かに環境に優しさをしっかりと感じるものの、実際のところガソリンはどれくらい節約できるの? というお財布的メリットもあるのか、は興味深いところです。
ならばthe「燃費」研究班としては浮かんだ疑問は試してみる、ということで、早速新型「PCX」シリーズを引っ張り出し、実験することに。ただ、スクーターだけでは結果が予想通りだった場合に備え、ホンダのフラッグシップツアラー「Gold Wing Tour」(2020年型)にも登場願い、アイドリングストップそのものの効果を検証したのです。
テストはいつものthe「燃費」で市街地燃費を計測するルート。通常は片道で計測ですが、スタート地点に戻り復路も合わせて計測しました。
そのルートは、東京都内の外苑周辺をスタートし、青山一丁目交差点で国道256号線にでて皇居方向へ。そのまま桜田門前を通過し、大手町のオフィス街に寄り道し、晴海通りに戻って銀座、晴海、豊洲を抜け、首都高湾岸線沿いの国道357号線と合流する東雲周辺まで。ここまではいつものルートです。そこから外苑へ戻るのに、曲がる交差点が一部異なるものの、往復で24.3km程度の一般道としました。
過去のthe「燃費」市街地データと比較しやすいよう、往路データと、往復総合とに分けて計測します。往復に掛かる時間は全車ともおよそ1時間程度。平均速度は大きく変わらないことが解ります。
■まずは人気の軽2輪スクーター「PCX」と「PCX e:HEV」で調査
ホンダ「PCX」シリーズは2021年にモデルチェンジし、エンジンも刷新。燃費性能もアップしています。今回は排気量125ccエンジンを搭載する「PCX」と「PCX e:HEV」(ハイブリッド車)でテストします。
ホンダ「PCX e:HEV」(写真左)と「PCX」(写真右)
125ccという排気量でアイドリングを止めること自体どれほど効果が? と思うのは不思議ではありません。しかし、ホンダが最初にアイドリングストップ機能を搭載した原付スクーターを発売してから20年が経過しています。話題性だけであればギミック装備は淘汰されているはず。少なからず効果有りだろう……。そんなふんわり低めの期待感でスタートします。
the「燃費」のいつものテスト時間である午前中の通勤時間帯とは異なり、午後から計測開始します。道路状況は夕方になるほど郊外へ向かう一部に交通量の多さが出ますが、大きな違いは感じませんでした。それでも午後に開始したテストは、アイドリングストップの有無で1台2ラップ、2時間が掛かったことになり、全くの同条件ではないこともご理解下さい。
また、アイドリングストップ機能をスイッチあるいは設定でオン/オフ可能ですが、始動直後、エンジン冷却水などの温度が低い場合、またバッテリー電圧が低い場合などでは、アイドリングストップをONにしていても作動しない機能が盛り込まれています。条件を整えるため、確実にアイドリングストップ機能が働く水温などの条件が整ってからスタートしています。
結果は次のようになりました。なお、距離や燃費の数値は車載のトリップメーター、平均燃費計が示した数値です。
■アイドリングストップOFFの場合
「PCX」
往路 12.0km 41.3km/l
往復 24.1km 40.8km/l
「PCX e:HEV」
往路 12.1km 42.7km/l
往復 24.2km 42.4km/l
右折が多くなる復路。3車線や2車線の交差が多く、直進と右折待ち信号が分かれている交差点もあり、感覚的に右折待ちが数回多い復路ではアイドリング時間が長い、という印象でした。
バイクの「アイドリングストップ」機能は効果あるのか? ホンダ「PCX」で実走調査
復路に関しては豊洲、晴海とスムーズに進み、銀座から数寄屋橋周辺は常に渋滞という印象で、皇居から青山までの国道246号線も一度信号で止まると停止時間が長いと感じました。これはどのモデルの計測時にも共通した印象です。
■アイドリングストップONの場合
「PCX」
往路 12.0km 46.5km/l
往復 24.1km 45.5km/l
「PCX e:HEV」
往路 12.1km 47.9km/l
往復 24.2km 49.2km/l
結果的に、アイドリングストップをONにすると「PCX」が往復総合でプラス4.7km/lとなり、「PCX e:HEV」ではプラス6.8km/lと、数値が良かったことになります。その差せいぜい1km/lか2km/lだろうと想定した範囲を大きく上回る「嬉しい誤算」を確認しました。
■続いて大排気量ツアラー「Gold Wing Tour」で調査
このクラスでは多くのモデルがプレミアムガソリン指定なのに対し、「ゴールドウイング」シリーズはレギュラーガソリンです。まずはこれだけでオトク感を得られます。
ホンダ「Gold Wing Tour」(2020年モデル)で「アイドリングストップ」機能の効果を実走調査
とはいえ、389kgの車重と排気量1833ccの水平対向6気筒エンジンのDCTモデルです。そもそも燃費を細かく気にするタイプのバイクではありません。それでもライディングモードは『ECON(エコノ)』というもっとも低燃費らしいモードを選択して計測スタートします。その結果は次の通りとなりました。
■アイドリングストップOFFの場合
往路 12.3km 17.2km/l(通行止め迂回でおよそ200メートル総距離が伸張)
往復 24.4km 16.5km/l
■アイドリングストップONの場合
往路 12.1km 18.4km/l
往復 24.2km 18.5km/l
2台の「PCX」シリーズ同様、アイドリングストップが明確なる効果を見せつけました。往復総合で2km/lアップです。これは伸張率を考えるとなかなかではないでしょうか。
the「燃費」研究班としては“アイドリングストップに効果有り”と太鼓判を捺すことにします。
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