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あらゆる道を制する! 進化したドゥカティ新型「ムルティストラーダV4 S」はどうだ!?

バイクのニュース / 2021年3月20日 11時0分

ドゥカティのアドベンチャーモデル、新型「ムルティストラーダV4 S」は、排気量1158ccのV型4気筒エンジン、市販バイクとしては初となるレーダーシステムを搭載するなど、2003年から続く進化と最先端の技術が盛り込まれています。その走りとは!?

■コンセプトに違わず、数段上を行くパッケージが素晴らしいの一言

 ドゥカティのアドベンチャーモデル「Multistrada(ムルティストラーダ)」が、「チェンジ・オブ・パラダイム」を開発コンセプトにモデルチェンジ。新型「ムルティストラーダV4」シリーズとなり、今回は「ムルティストラーダV4 S」に試乗しました。

ドゥカティ新型「Multistrada V4 S」に試乗する筆者(松井勉)

 高出力と滑らかさを持ち、メンテナンスサイクルも大きく伸ばしたV4エンジンを採用し、モノコックフレームを使ったシャーシコンセプトの進化、そして最新の電子制御技術も搭載しています。

 エンジンはMotoGPマシンに端を発し、「パニガーレV4」や「ストリートファイターV4」に搭載されるV型4気筒エンジン「デスモセディッチ・ストラダーレ」をベースに、ムルティストラーダが求める特性に合わせて開発された「V4グランツーリスモ」。従来の「テスタストレッタDVT」と呼ばれたLツインよりも1.2kg軽く、幅こそ20mm増えたものの、長さは85mm、高さは90mmも短縮されています。2気筒時代よりエンジン内で動くパーツが軽いため、振動、ノイズ面でも有利とのこと。

 また、エンジンでは吸排気バルブの開閉にコンベンショナルなバルブスプリングを採用。レースで蓄積した技術を応用した結果、バルブまわりのサービスインターバルを6万kmまで伸張することで、ユーザーの維持費低減にも貢献しています。

 新型「ムルティストラーダV4」シリーズのフレームは、鋼管トレリスフレームに換えて、アルミ鋳造のモノコックフレームを採用しています。そのメリットは、エンジン上部からステアリングヘッドまでの箱型フレームを取り付け、エンジンもフレームの一部とした構成部品の少なさと、モノコック内部をエアクリーナーボックスとして軽量化も可能にします。

 エンジン幅が増えても全体としてはコンパクト化、必要な箇所はスリムに、シート高を抑えられたほか、低重心化、理想的な前後輪への重量配分を生み出しています。

 ほかにも、バイクでは市販車初となるミリ波レーダー搭載によるアダプティブクルーズコントロール(ACC)とブラインドスポットモニター(ドゥカティでの呼称はブラインド・スポット・ディテクション=BSD)をトラベル&レーダーパッケージ車に搭載しています。今回のテスト車はまさにこのモデルなのです。

 ナニはともあれ、乗ってみて新型が本当にパラダイムチェンジなのかを確認しました。結論から言います。車名の由来である「どんな道でも」楽しめる性能がどこをとっても素晴らしい! ムルティストラーダのコンセプト「4台のバイクを1台に」のとおり、市街地、ツーリング、スポーツ、オフロード、それらを基本的に優れた車体、エンジン設計と電子制御技術で1台にパッケージする術が数段上がった印象なのです。

ボッシュ製レーダーシステムによるACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)機能を搭載。前走車を捉えて自動的に加減速しながら追従する

 ライディングモードは、アーバン(市街地)、ツーリング、スポーツ、エンデューロ(オフロード)の4つが用意されています。各モードに合わせ、サスペンション、ABS、トラクションコントロール、パワーデリバリーが変化し、バイクそのものが場面に馴染むよう変化するのが大きな特徴で、今回はそんな4つの場面を想定しつつテストコースでの試乗を行っています。

 市街地想定のコースでは、速度低めの市街地想定のテスト路では発進、停止、Uターン、スラロームなどで車体の特性を見ました。ムルティストラーダはアドベンチャーバイクらしく巨漢ですが、跨がるとタンクはスリムになっているし、足つき性も向上。サイドスタンドから起こす力も軽い! 4気筒エンジンは滑らかに回り、クラッチの操作力も軽く、発進もラク。とにかくとっつきやすい印象です。また、ブレーキングから停止したときの安定感も素晴らしい。Uターンもラクラクでスラロームだってイージー。乗り出してすぐにバイクと自分の信頼関係が醸成されるのです。

 次に向かったのはミニサーキットです。といっても道幅は狭く複合コーナーばかり。センターラインのない地方道のようで、攻めるよりも路上にとどまることに集中しないといけない道です。その場面でもムルティストラーダは楽しめます。歴代最強のエンジンはトップエンドなど使わずとも力強さを持ち、それを安心して引き出せるため、3ラップ目にはペースアップし、複合コーナーを攻めるラインを探る余裕が生まれます。

道幅の狭い複合コーナーが連続するテストコースでも余裕が生まれる

 ブレーキも尖ったエッジを丸めた特性で安心して右手右足の力加減を調整できるタイプで、サスペンションの電子制御も相まって姿勢はつねに安定感に満ちています。旋回性の良さ、エンジンが紡ぎ出すスムーズなパワー、ハンドリング成分が融合して半日でもこの道を楽しんでいられそうなのです。

 そしてツーリングを模した高速外周路でACC+BSD体験をしました。ACCはクルマでは経験があるもののバイクでは初めて。おっかなビックリでしたが、この機能はスゴイ! 設定速度内で前走車をレーダーが捉え、加速、減速を自動的に行ってくれます。必要であればライダーがシフトダウン、アップする必要があるものの、速度調整に関しては急ブレーキを掛ける「エマージェンシー」には未対応ですが、通常走行はほぼ任せられる印象です。もちろん、自動運転ではないので両手離しなど危険行為はもってのほか。ライダーエイドです。いずれにしても、体験前、体験後では人生観が変わるほど感動しました。

 テストは前を走る4輪について走る場面を想定して行いました。ミリ波レーダーが補足している感じがバイクの動きからしっかり伝わります。

 またBSDも斜め後方から近づく車両をしっかり捕捉。ミラー部にあるワーニングランプで左右個別にライダーに知らせます。接近速度によって点灯のタイミングを変えるなど、4輪でもよくある音波式センサーとも異なり、ミリ波中距離レーダー式だからこそ可能な検知機能です。

 また、最新の空力パッケージにより快適で風切り音が少ない快適さが印象的。パッセンジャーにも大きな恩恵アリ、とドゥカティは語ります。

アドベンチャーモデルとして、オンロードとオフロードの両方で乗りやすく、多用途な車体に仕上げられている

 手短にオフロードでの性能もお伝えします。エンジンの小型化やレイアウトパッケージの恩恵で、先代比最低地上高を46mmもあげた新型。エンジン下部をヒットする恐れが減少しています。

 エンジン特性の扱いやすさ、後輪と右手がしっかりつながっている印象から、コントロールがとてもしやすいのは市街地想定路同様。ペースをあげても「想像のかなり上」な線まで性能が上がっていたことを報告します。

 今回、手短に性能を体験するツアー的な試乗でしたが、長距離でこそ真価を見せるバイクだけに、いつの日か長距離テストをしたいと思う「ムルティストラーダV4 S」でした。

※ ※ ※

 ドゥカティ新型「ムルティストラーダV4 S」の価格(消費税10%込み)は288万円からとなっています。

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