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初心者にもできる!? プロカメラマンに聞いたバイクレースをカッコよく撮影する方法

バイクのニュース / 2021年3月22日 11時0分

毎年、さまざまなサーキットに行って、バイクのレースを取材している私(先川 知香)ですが、実はカメラは自己流。プロのカメラマンとは、機材のレベルも違えば、知っている知識や経験の量も違います。でもやはり、どうせなら「カッコいい写真が撮りたい!」もの。そこで、プロカメラマンに、サーキットでの写真の撮り方を聞いてみました。

■上級モデルでなくても撮れる、カッコいい流し撮り

 毎年、さまざまなサーキットに行って、バイクレースの取材をしている私(先川 知香)。コースサイドで走行写真も撮っていますが、実はカメラはド素人。レースの写真を撮るために最低限の機材を購入し、自己流で必死に撮影しているに過ぎません。そこで、プロカメラマンに、サーキットでの写真の撮り方を聞いてみました。

 教えてくれたのはカメラマン歴35年、モータースポーツの撮影から建築写真、イベント撮影、ポートレートなど、なんでもこなすスーパープロフェッショナル、奥隅 圭之さんです。

桶川スポーツランド

 撮影場所に選んだのは、埼玉県にある桶川スポーツランド。多くの有名ライダーを輩出する、全長840m、最大直線155mのミニバイク用サーキットです。

■まずは、普段私が使っている撮影機材のチェックから

 奥隅さん「モータースポーツを撮るには、コースの規模にもよるけど、300㎜から400㎜ぐらいの望遠レンズが欲しいですね」

 ということで、私が普段使っているカメラ、キヤノン「EOS 7D マーク2」と望遠レンズ、シグマ「100-400mm F5-6.3 DG OS HSMキヤノン用」を使い、早速レンズの設定に移ります。

シグマ「100-400mm F5-6.3 DG OS HSMキヤノン用」

 まず、走りだけを撮るならフォーカスリミッターは、「FULL」よりも「6-∞」がおススメだそう。

 奥隅さん「まあ、俺はFULLで撮っていますけど、6-∞に設定しておいた方が、ピントが外れた時に被写体が遠くに行ってしまわないので、復帰しやすいと思います。
 
 ∞というのは、遠くのエリアに制限なくピントが合うっていうモード。ちなみに、・-6は、近場にしかピントが合わないモードです。走りを撮るときは、近くのピントは要らないので、6-∞にしておいた方が、被写体が居なくなりづらいと思います」

 次に、手振れ補正機能。一般的な撮影に適しているのはC1で、モータースポーツ等の流し撮りに最適なのはC2なので、今回はC2に設定するのがおススメだそう。

 奥隅さん「キヤノンの設定だと、モード2がモータースポーツでの横走り用。モード1は、人の顔写真のアップを撮るときなどに使います。なので、シグマは分かりませんが、キヤノンと同じなら、C2にしておいた方が、走行写真はキレイに撮れると思います」

キヤノン「EOS 7D マーク2」

 続いては、カメラ本体の設定へ。ちなみに、私が普段コースサイドでの撮影で使用しているのは、絞り優先の「AVモード」。絞り値を自分で設定し、シャッタースピードはカメラ任せの、半自動のモードです。

 奥隅さん「それは、ダメですね。M(マニュアル)で、真横を向いているバイクを撮るときは、シャッタースピードを125から200の間に設定します。シャッターの速度が遅い方が、背景が流れるから、かっこよくなるんです。
 
 前から向かってくるライダーを7:3(サイズ)とかで狙うときは、シャッター速度が遅いとブレてしまうから、シャッター速度はだいたい320から400辺りがいいですね。露出はモニターを見ながら、絞りを調節する感じかな。走っているバイクを撮るときは、絞りよりもシャッターが優先だから。

 とはいっても、絞りも最低8ぐらいは絞りたいから、足りないときはISO感度をあげて、調節するといいと思います」

■機材の設定が終了したら、いよいよ走行写真の撮り方に

 奥隅さん「望遠レンズを使って流し撮りをするときは、できれば一脚があった方がいいですよ。200㎜ぐらいの望遠なら手持ちでもいいですが、300㎜をこえてくると、一脚で構えた方が確実です。一脚を使うと、上下の動きがなくなるので、横の動きだけになって、かなり撮りやすくなります」

流し撮りレクチャーの様子

 今回は、一脚を持っていなかったので、できるだけ安定して流し撮りをするためのカメラの持ち方を教えてもらうことに。

 奥隅さん「自分の利目は知ってる? 利目を使って撮った方が、ビシッとした写真を撮ることができます」

 ちなみに利目を調べる方法は、なにか目標物を決め、その目標物を真正面に見て、両目で見た状態で、自分の指と目標物を重ねます。目標物と自分の指が重なったら、片目ずつ閉じてみて、目標物と指がズレなかった方が利目になるそうです。

 調べた結果、私の利目は右目!そのため、カメラのファインダーは、右目で覗くことになります。

 奥隅さん「僕の利目は左なんですよ。だから、一脚がなくても、肩にカメラを置くことで、安定した写真を撮ることができるのですが、右目が利目だと、その方法はできないので、やはり一脚は持っておいた方がいいですね。また、左手はできるだけ望遠レンズの先の方を下側から支えるように持った方が安定します」

 ちなみに、カメラを構える時の体勢は、体は被写体に向かって正面を向くのではなく、被写体に対して体はほぼ真横。そして体をねじっていくことで、被写体を追いかけるのが正しい姿勢だそうです。

流し撮りをする際の正しい姿勢

 奥隅さん「流し撮りをする際に、被写体に対して体が正面を向いていると、どうしてもぶれやすいので、横向きで体をねじった方がブレの少ない写真を撮ることができるんです。

 昔はマニュアルフォーカスだったから、ピントを合わせるポイントを見ながら、全体をフレーミングのどこに置くかというのも見ながら撮らなきゃいけなかったんだけど、いまはオートフォーカスがすごく進化してるから、全体像だけ見ていればいい。それで、なんとなくバイクをどこに入れるかっていうのを決めればよくなっています。

 だから、最初は広角レンズで練習したほうがいいかもね。例えば、135㎜ぐらいの状態でフレーミングの左隅にバイクを置いて撮ってみる。それができるようになったら、右上で撮ってみるとか。バイクを好きな位置に置けるようになったら、だんだん望遠にしていくって感じで練習していくといいと思います。

 まずは、真ん中に置けるかどうかだけど(笑)」

自由自在に被写体を配置するイメージ

 この、フレーミングの好きな位置に猛スピードで通り抜けていく被写体を置くというのは、カメラ初心者の私にとっては至難の業。これまで自分の撮った写真はトリミングが必須だったので、オフシーズンはまず、フレーミングの決めた場所にバイクを置く練習をしようと、心に決めた瞬間でした。

 実践練習もひととおり終わった後は、最後に私のカメラでプロの技を見せてもらうことに!

奥隅カメラマンがキヤノン EOS 7Dマーク2×シグマ100-400mm F5-6.3 DG OS HSMキヤノン用で撮影した写真

 同じ機材を使っても、奥隅カメラマンは簡単にフレーミングの真ん中に被写体を配置しただけでなく、ピントもバッチリ決まっています。

筆者(先川 知香)がキヤノン EOS 7Dマーク2×シグマ100-400mm F5-6.3 DG OS HSMキヤノン用で撮影した写真

 一方で、私の写真は被写体がはみ出ているうえに、どうしてもトリミングが必須。奥隅カメラマンの写真と比べると、カメラの性能の違いなど、言い訳でしかありません。

 まずは今シーズン、ワンランク上のカッコいい写真を記事に使えるよう、今回教えてもらった内容を、猛特訓したいと思います。

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