2輪系ライターの、仕事とお金 ~ベテランと中堅の狭間にいる伊丹孝裕の場合~ Vol.2
バイクのニュース / 2021年3月23日 11時0分
バイク専門誌の編集長を経て、フリーランスのライター(テストライダー)、ジャーナリストとして2輪メディア業界で活動する伊丹孝裕さんの、仕事とお金のリアルなお話です(全11話)。
■Vol.2 収入の幅 2輪系ライター、伊丹孝裕さん(筆者)のおはなし
さて、当コラムをこの先も読んでもらう価値があるか、どうか。それは個人の期待値によります。結果として「時間の浪費だった」という印象を抱かれるのは筆者(伊丹孝裕)としても本意ではありませんから、主に2輪系媒体で仕事をしている僕が、月々どれくらいの金額を手にしているのか。まずはそれを明らかにしておきます。
なぜなら、「バイクに乗れて、最低でもそれくらい稼げるなら自分も目指そう」という人にとっては期待通りでしょうし、「年収を全部貯金しても素のポルシェ911すら買えないのか」とがっかりする人には期待外れでしょう。そういう、ひとつの判断材料にしてもらえると思ったからです。
というわけで、ズバリ書くと「今月は遊んでる日が多かったなぁ」という月で、30万円弱。「今月はずっとパソコンの前に座ってた気がする」という月なら、100万円強。これくらいの振り幅が、ごく普通にあります。豊漁と不漁の差が激しい漁師さんも、おそらくこんな感じではないでしょうか。
単純計算すると、30万円が続くと360万円/年、100万円が続けば1200万円/年が収入となります。一般的なライターには、一般的な商売でいうところの「仕入れ」がほとんど存在しませんから、30万円振り込まれれば、それがすなわち「収入」であり、そこから家賃、交通費、光熱費、通信費といった経費を引いたものが「所得」になります。
例えば、バイクを店頭に並べて売るには、バイクを仕入れなければいけません。30万円で販売する車両の仕入れ値が25万円だとすると、30万円儲けるために6台売る必要があります。つまり、150万円かけて180万円の売り上げを達成し、30万円が残る。こういう計算です。
これは商売の最も基本的なスタイルですが、ライターの世界にはあまり適用されません。原稿という商品の原材料は無きに等しく、仕入れの概念がないからです。その発生装置としてパソコンがあれば概ねOK。2輪メディアを主戦場とするのなら、運転免許の他、ヘルメットやウェアといった装具一式があれば充分です。乗らないのであれば、それだって持っている必要はなく、極めて少ない初期投資で、いつでもどこでもライターになれるのが、この仕事の実態と言えます。
とはいえ、名刺代わりになる基盤があった方がなにかと楽です。僕の場合、2輪雑誌の編集者時代がそれに相当するため、これまでの経緯を簡単に振り返っておきましょう。
2010年、スズキ「GSX-R600」でマン島TTに参戦(スーパースポーツクラス)した筆者(伊丹孝裕)。抱いている子どもは当時5歳の娘
高校を卒業した後、二十代のほとんどをアルバイト生活でやり過ごしていました。一念発起というほどのものではありませんが、28歳の時にひょんなことで出版社『ネコ・パブリッシング』(当時)に入社したことが、今に至るきっかけです。
ネコ・パブリッシングの発刊物には、クルマ、バイク、鉄道、模型、自転車といった趣味分野が多く、最初の3年半ほどは社長秘書(という名の鞄持ち)として勤務。2003年、31歳の時に2輪専門誌『クラブマン』へ異動して編集の仕事に携わるようになりました。
クラブマンには4年間在籍し、2007年4月に退社。以降は、フリーランスのライターとして今に至ります。
2輪業界でできるだけ長く生きていこうと思っていましたから、退社と同時に始めたのがレース活動です。編集生活のスタートも遅ければ、こちらも相当遅きに失した感が否めないものの、ライダーとしてのスキルが高い方が仕事には有利なため、3シーズンほどかけて国際ライセンスへ昇格(食べられるかどうかは別として一種のプロライセンスのようなものです)。以来、マン島TTやパイクスピーク、鈴鹿8耐といったレースにも参戦しています。
2021年で50歳になります。年齢的にはベテランの域にありつつも、はじめの一歩が遅かったため、フリーランスのライター生活はこの春で14年ほど。キャリアとしては、中堅以上、ベテラン未満といったところでしょう。
そういうライターが、日々どんな仕事をこなしているのか。次回からはそれをお届けしていきます。
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