2輪系ライターの、仕事とお金 ~ベテランと中堅の狭間にいる伊丹孝裕の場合~ Vol.4
バイクのニュース / 2021年3月29日 11時0分
バイク専門誌の編集長を経て、フリーランスのライター(テストライダー)、ジャーナリストとして2輪メディア業界で活動する伊丹孝裕さんの、仕事とお金のリアルなお話です(全11話)。
■Vol.4「フリーランスになって以降」2輪系ライター、伊丹孝裕さん(筆者)のおはなし
2007年の春からフリーランスのライターとして活動するようになりました(筆者:伊丹孝裕)。それ以前、出版社に勤めていた頃の月収は、確か手取りで36万円から37万円ほどだったと記憶しています。当時の年齢は35歳。その世代のサラリーマンとしては、平均的なものだったのではないでしょうか。
前年に子どもが生まれていましたから、のんびりと自分探しをしているわけにもいかず、収入レベルは維持しなければいけません。ただし、この頃も今も2輪媒体の世界は人手不足が常態化していたため、仕事にはそれほど困りませんでした。
高望みせず、嫌がらず、面倒なことを言わず、努めてにこやかに応対し、常日頃から時間を守り、なにより締め切りを破らず、携帯には出て、出られなければ可能な限り早く折り返すこと。最低限求められる資質はこれくらいでしょう。
これくらいなのですが、不思議なことに、時間にルーズな人が異様に多い業界でもあります。とくに集合時間に対する感覚は異常と言ってもいいほどで、20分や30分の遅刻は当たり前。その理由が、寝坊ならまだ分からないではありません。だって、寝ちゃってたんだから、そこに理由なんてないでしょう。目は覚めていたけれど、布団の中でダラダラしていたのなら責められて然るべきですが、睡眠は意識を喪失する生理現象です。不可抗力の要素も強く、ある程度までは寛容であるべきでしょう(もちろん対策は講じて頂きたい)。
しかしながら、遅刻の理由として最も多いのが「道路が渋滞していて」というものです。これは(少なくとも僕には)理解不能。クルマなりバイクなりで移動するのなら、それが起こり得るのは分かりきったことでしょう。2重にも3重にも対策し、プランCくらいまでは用意しておくのが当然だと考えているのですが、「だってしょうがない」が普通にまかり通る不思議な仕事場です。
世の中の大半のことは、時間とお金で解決することができ、とくに時間に関してはトラブル予防の最善策だと思うのですが、誰もがそれを放棄し過ぎ。雑誌編集の仕事が、時間に追われてブラックだと言われるのは、そういう意識の積み重ねが引き起こしている気がしてなりません。
「朝6時に編集部」と言われれば、朝6時に到着するのではなく、朝6時に出発できる体勢を整えておく。たったそれだけのことで、後々のスムーズさがまったく違うのですが、いかがでしょう? と誰にでもなく、言っておきます。
このあたりを深追いすると、「じゃあ、お前の締め切りの感覚はどうなってんだ?」という声が聞こえてきそうなので、話題を変えます。
バイクやタイヤの新製品発表試乗会などがあれば積極的に参加(筆者:伊丹孝裕)
フリーランスのライター、というよりも僕がどんな仕事をこなしているのか。思いつくままに並べると、おおよそ次の通りです。
■ライターとして
・バイクやパーツにまつわる取材
・開発者や広報担当者のインタビュー
・ショップ訪問取材
・ツーリングやドライブを通した紀行
・各種発表会への出席
■編集者として
・企画立案
・カメラマンやライダー、取材対象者の選択と設定
・取材現場におけるディレクション
・レイアウトを提案するためのラフ制作
・出来上がったレイアウトや原稿のチェック
■ライダーとして
・バイクやパーツのテスト
・試乗会への参加
・イベントや走行会におけるインストラクター
■その他
・PVやカタログのライダー役
・トークショーやイベントでの登壇
・ディーラーや販売店向けの報告書作成
・広報車両の慣らし運転
ざっと、こんな感じだと思います。意外と多いような気もしますし、まだあるかもしれませんが、Vol.1で書いた通り、ひっくるめると「バイクに乗って生活する」ということになります。多少なりともバイクに興味があれば門戸は広く、実際多くの編集部ではのべつまくなし、スタッフを募集しているのが現実です。
次回からは、それぞれの業務内容と、ギャランティに関して述べていきましょう。
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