カワサキ「Ninja ZX-10R」新型モデルはミドルクラスのストリートスポーツのような軽快さ
バイクのニュース / 2021年4月9日 11時0分
カワサキは愛知県のスパ西浦モーターパークにおいて「カワサキプラザスタッフ向けNinja Team Green Cup講習会」を開催しました。そこでは新型の「Ninja ZX-10R」が展示されるとともに、コース使用の合間を縫って新型10Rを走らせることができました。ジャーナリストの和歌山利宏さんは新型モデルにどのような印象を抱いたのでしょうか。
■ミドルクラスのストリートスポーツのような軽快さ
発表されて間もない2021年型カワサキ「Ninja ZX-10R」(以下:10R)に、早くも試乗の幸運が訪れました。愛知県のスパ西浦モーターパークにおいて「カワサキプラザスタッフ向けNinja Team Green Cup講習会」が行われ、コース使用の合間を縫って新型10Rを走らせてもらうことができたのです。
そこで見た10Rは、明らかに10Rそのものであっても、従来モデルとのデザインの狙いの違いがはっきり伝わります。従来型はデザイン屋さんが目一杯腕を振るったという感じで、芸術点としては高いでしょうが、この新型は空力の追及から生まれてきたと思わせます。
それにしても、この空力特性の改良が、これほどまでに新型の走りを刷新していたとは、意外でした。
ピットロードをゆっくり走り出し、軽くスラロームしたら、何と、実に軽快で素直なのです。ミドルクラスのストリートスポーツを思わせるほどです。フォークオフセットが2mm大きくされ、トレールが小さくなったことによる操舵が軽くなっていること、ヘッドライトが450g軽量化されたことなどのおかげもあるのでしょうが、それ以前に、バイクがリーンし、向きを変えていく3次元的な動きを空気が妨げていない印象です。
■ダウンフォース向上による安定感
ここスパ西浦には、コーナーとコーナーの間が少し“く”の字に曲がっていて、フル加速しながら向きを変えていくところが2か所ありますが、おかげでそこでも軽快な素直さが維持されている気がします。
カワサキ「Ninja ZX-10R」最新モデル。空気抵抗が7%低減し、バイクの動きそのものに対して抵抗が小さくなったように感じられます
空気抵抗が7%低減していることはともかく、バイクの動きそのものに対して抵抗が小さくなった感じです。これからすると、従来型は車体にたくさんの空気がまとわり付いていたかのようです。
ダウンフォースが17%高められた効果も絶大です。フル加速中でも、軽くなりがちな前輪荷重がしっかり保たれ、安定しています。ウィンドシールドが40㎜高くなり、伏せ姿勢でヘルメットに掛かる風圧もなく、快適です。
一度、中途半端に上体を起こしたまま、3速でフル加速したら(車速で200km/h超)、軽くなる前輪荷重にさすがにステアリングに振れが生じましたが、それすら増幅する不安はありませんでした。従来型だとちょっと冷や汗を掻いたかもしれません。
そして、走り出したときに低速域で感じた素直な軽快さが、コーナリングでのハンドリングにそのまま反映されています。コーナリングの自由度が高く、ラインも修正しやすいのです。そのことには、フロントフォークのバネのソフト化やピボット位置の1㎜低下によって、スロットルワークで姿勢変化を生じさせやすくなったこと、フォークオフセットの増大で舵角を入れやすくなったことのおかげも大きいのでしょう。
■操りやすいライディングポジション
ライディングポジションは、ハンドルが10㎜前方で絞り角も開かれ、ステップは5㎜高くなりました。シート座面も後部が高く前傾角を強められています。先鋭度を強める方向ですが、競合車と比べ決して尖っているわけではありません。微妙にスポーツ度が高められ、マシンの操りやすさに貢献しているのです。
カワサキ「Ninja ZX-10R」最新モデル。シート座面も後部が高く前傾角を強められていますが、操りやすいライディングポジションを実現しています
また、アンダーブラケットのクランプ幅が下側に拡大され、剛性が高められています。これによりブレーキングから一次旋回に掛けて、マシンから安定した手応えを掴みやすくなっています。
ブレンボキャリパーのフロントブレーキの効きもコントロール性も抜群です。握り代の変化からも状態を把握しやすいものとなっています。ただ、サーキットを攻めるなら、握り代の変化をもう少し抑えたほうがいいかもしれません。実際、高性能バージョンの「Ninja ZX-10RR」はホースがステンレスメッシュ製になっており、サーキット走行を主体に楽しむならそちらへの換装もいいでしょう。
■ズボラな走りにも応えるエンジンの柔軟性
エンジンの基本は従来型から引き継がれますが、改めて上質なコントロール性には感心させられます。今回はサーキット走行ということもありフルパワーモードで通し、トラクションコントロールは介入度がやや多めのモード3に落ち着きました。標準装着タイヤのままさほど攻めない走りで、制御が程よく感じられたからです。
カワサキ「Ninja ZX-10R」最新モデル。ミッションのワイドレシオ化などにより柔軟性が増しています
新型は、ミッションがワイドレシオ方向に変更され、1~3速でややショート化されています。1コーナーに進入してから最終コーナーを立ち上がるまで、2速キープというズボラな走りも可能で、エンジンの柔軟性とワイドレンジさも思い知らされます。
この新型10Rは、多岐に改良の手が入れられることで、見事に完成度が高められています。スポーティさを高めながらも、より多くのライダーを受け入れられるものへと変貌していました。
しかも、高められたコーナリングの自由度の高さが、10Rの持ち味、そしてレースでの強さが明確に感じられるものとなっています。では、その持ち味と強さとはいかなるものなのか、それは次回に譲るとしましょう。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
どんな違いがあるのか!? 通常モデルとは違う仕様が用意されている中型バイク3選
バイクのニュース / 2024年11月21日 9時10分
-
また乗り始めたい! リターンライダーにオススメのバイクは、どんな車種?
バイクのニュース / 2024年11月20日 9時10分
-
迫力があってカッコイイ! ストリートファイターってどんなバイク?
バイクのニュース / 2024年11月10日 9時10分
-
ヤマハの自動変速機構「Y-AMT」搭載車に注目が集まるが…… 「MT-09」の最上級モデル「SP」は何が凄い?
バイクのニュース / 2024年11月5日 8時10分
-
“車”についてる「謎の板」意味ある? ド迫力な「羽」は日常でも“効果アリ”ってマジ? 賛否分かれる「リアスポイラー」の効果を試してみた
くるまのニュース / 2024年11月4日 15時30分
ランキング
-
1「トイレでスマホ」が招く危険...長時間座りっぱなしの健康リスクとは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月27日 17時50分
-
2「無性にコーヒーが飲みたい…」 実は鉄分不足が原因? 疲労増&集中力低下も
オトナンサー / 2024年11月27日 8時10分
-
3「小銭入れると落ちる恐れ」 しまむらの新作財布に不具合……「申し訳ございません」 販売中止に
ねとらぼ / 2024年11月27日 19時20分
-
4ユニクロ感謝祭「最強アウターが大幅値下げ」「ヒートテックも割安」絶対に買い逃してはいけない5アイテム
日刊SPA! / 2024年11月27日 8時54分
-
5大阪府の「お米クーポン」3億円分使われず 今月末期限、子育て世帯対象に配布
産経ニュース / 2024年11月27日 21時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください